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【演目その9 『二つのF』(4)】
「ふう……」
幕間、少しばかりの小休止に、紅葉はひとつ息を吐きます。
役柄としては忙しいものではありませんでしたけれど、何せ彼女はストーリーテラー役として、全編に語りを入れているのです。そうしながらも、クリスティーヌの友人メグを演じ、更には客席へも語りかけて観客たちを舞台へと巻き込む、なんて芸当も交えながら、彼女は何だかんだで大忙し、でありました。
「ほい! ようやく第二幕だな。喉、大丈夫か?」
「あ、ええ。大丈夫、最後まで行けるわ」
望月が手渡したのは、水分補給用のペットボトル。キャストや裏方ひとりひとりのために、彼が用意してきたものです。紅葉はそれを受け取りきゅっとキャップを開けて、ごくりと一口。なかなかに酷使している喉を、冷たい水が通り抜けて、少しばかり癒してくれました。
「……ん。ありがと、さて、行ってくるわね」
「ああ、頼んだぜ!」
紅葉が取り上げたのは、小道具のひとつ。艶めく紫の翼が目を引く、美麗なバタフライマスクを目元に当てて、彼女は再び準備の整った舞台へと躍り出ました。
「……半年後の、大晦日……」
メグの差し伸べる手に誘われ、一歩足を踏み入れれば、そこは華やかに賑わうオペラ座。色とりどり、形も様々な仮面を被った紳士や淑女達が談笑し、楽団が緩やかに楽しい楽曲をかき鳴らし、きらびやかに眩しい舞台の上で、人々は優雅なステップを踏む……新たな年を前に、開かれたオペラ座にて催される、それは仮面舞踏会。
「これは、どうも! ようこそ、お越しくださいました……」
このところは不穏な騒ぎやおぞましい出来事は鳴りを潜め、客達を接待する支配人の表情は、にこやかです。
舞踏会には、ここ半年を心穏やかに過ごし、逢瀬を重ね、ますますその絆を深めた二人。今や密かに婚約を交わした、クリスティーヌとラウルの姿もありました。
手を取り合い、被った仮面の穴と穴を通じて見つめ合い、二人は踊ります。とても、とても幸福な一時。このまま緩やかに、目の前の愛しい相手と結ばれるその日を、迎えることができたなら……。
しかし。その願いは、叶いませんでした。
クリスティーヌは気付き、はっとしてラウルの手を強く握り締め、ラウルは彼女の異変に眉をひそめます。
このようにきらびやかで、光に満ちた空間へと、彼が現れたのです。
怪人が。ファントムが。
目の前へと。
「……どうした、クリスティーヌ。私を忘れてしまったか?」
「忘れたのか? 君の『音楽の天使』を!」
ラウルがクリスティーヌをかばい、ファントムの前へと身を差し込みます。しかしファントムは彼を嘲笑い、取るに足らないとばかりに踵を返して、高らかに声を上げました。
「君たちに、渡すものがある! 支配人! 出てきたまえ」
人々はすぐに、気付きました。半年も前にこのオペラ座を騒がせた、悪逆にして残虐なる怪人のことを、誰しも忘れてはいなかったのです。
瞬く間に騒然とする舞踏会を横切り、支配人が彼の前へと急ぎやってきて、
「お、お前が……お前が、怪人なのか? 私の部下を殺し、私の劇場へと恐怖を振り撒いた、お前があの、怪人なのか……!?」
「要求を伝えよう。支配人!」
二の句を告げさせる間もなく、ファントムはこの場の誰にも余さず聞こえるよう、良く通る素晴らしい声で述べました。
「君たちのため、私がオペラを書いた。『ドン・ファンの勝利』だ! 君たちは次なる演目として、これを演じるのだ」
「な、何をばかな……」
「そして!」
取り出した楽譜を支配人の胸へと叩きつけながら、ファントムはなおも告げました。
クリスティーヌを指差しながら。
「あのカルロッタなどという高慢な女の、潰れたヒキガエルのような醜い声は聞くに耐えぬ。『ドン・ファンの勝利』の主役を演ずるのに最もふさわしいのは、彼女! クリスティーヌだ! 支配人、彼女を主役の座へ着かせるのだ、さもなくば……私の要求が呑まれねば。君は分かっているはずだな? 支配人」
渡されたスコアを手に、呆けたように立ち尽くす支配人には微塵の興味もないと、ファントムは歩き出します。
悠々と人々の怯えた目線を横切り、クリスティーヌの元へと近づいて。
そっと、告げました。
「……クリスティーヌ。クリスティーヌ……君にも、渡すものがあるのだ。私の席を見るといい」
何がと尋ねる前に、怪人はきらめく舞踏会の隅に差す闇へと潜り、刹那の間に忽然と姿を消してしまいました。
なぎさが袖へ戻った直後に。
「ねえ、クリスティーヌ、あれは何かしら?」
メグ役、紅葉が手をかざし、指し示してみせたのは……観客席。二階席の、右手から5番目の席。
ぱ! とすかさず薫がスポットライトを当て、そこに照らし出されたのは、
「……え?」
「ええっ? どうしよう拓郎、私たち、見られてる……!?」
志波 拓郎
と
高梨 彩葉
! カップルで並んで観劇中の二人でありました。唐突に観客たちの視線を一心に受けて、彼らはひしっと、お互いの手を握り合ったり。
と、拓郎ははっと気付いて、
「あ……渡すもの、って……これ、か……?」
いつの間にやら、客席の一番前に差し込まれていた、一枚のメッセージカード。拓郎はそれを取り上げると、まぶしいライトへと照らすように、すっと掲げてみせました。そこには何か文字が記されていて、拓郎や彩葉にはそれが読めましたけれど、周囲の観客たちには見えません。
途端。
「……君は光を浴びることができる。私を追ってはいけない……F」
拓郎の兄、武道の声がスピーカーから流れたもので、二人はもう一度、びっくり! でありました。
「兄貴、の……こんな演出、仕込んでたのか……」
「あはは、びっくりしちゃったね! でも……皆、すごいなぁ」
彩葉はついつい舞台に見惚れて、再び物語へと没入していきます。
怪人の要求に応えるべきか、否か。支配人、クリスティーヌ、それにラウルも交えての話し合いが続きます。
ラウルは紳士的でありながら、婚約者たるクリスティーヌをこの手で守らんとする意思、勇壮さも持ち合わせる、強かな若者でした。そしていざというその時には、身を捨てて彼女を救う覚悟もまた。
ラウルはクリスティーヌの手をしかと握り、これは好機であると説きました。
「支配人、この『ドン・ファンの勝利』を次の演目とし、彼女へ主役を与えてください。要求を呑むと見せかけ、怪人を誘き寄せたところを捕らえるのです」
「しかし……」
楽譜を前に、支配人は渋ります。このようなことを、あのオペラ婦人が歓迎するはずはありません。
パトロンの意向もあり及び腰な彼を、ラウルは必死に説得し、そして震えるクリスティーヌを励まします。
「心配はいらない、クリスティーヌ。何が起ころうとも、僕が君を守る。必ず、この身を差し出してでも、必ず。だから……」
「……いや!」
彼女の拒絶、振りほどかれた手を、ラウルは驚き見つめます。
クリスティーヌは首を振ります。彼女は未だ、迷いから抜け出せずにいました。
「彼を、天使様を騙して、罠にかけるだなんて……私には……」
「それは違う、君を救うため……クリスティーヌ!」
ラウルの制止を振り切って、クリスティーヌは飛び出していきます。
音楽の天使。掛け替えの無い恩人。今でもクリスティーヌの中、彼の教えは絶対のものとして息づいているのです。
そして、気付いていたのです。どうしようもなく救われない、仮面の向こうへと覆い隠された、絶望的なまでの、彼の孤独に。
(……っ、もう少し、持ってね……)
エリューシアの歌……それに演技の才もまた、それは素晴らしいものなのです。
惜しむらくは、彼女が身体的な強さに恵まれず、常に体力的な不安に苛まれていることだけ。
それでもエリューシアは、舞台を降りることなく、最後まで立ち続けるでしょう。だって今この瞬間、彼女はとても楽しくて、嬉しくて、充実しているのですから。
(やっぱり、私……舞台を諦め切れないです)
そのために練習を重ねて、体力作りだって、一生懸命に続けてきたのです。この劇に、賭けているのです。
どんな形だっていい。どんな役だって、どんな形だって、この場に立っていたい。
舞台に、立っていたい。絶対に……諦めたく、ない!
眩しいスポットライトを全身に浴びながら、そっと目を閉じて。
(……力を、ください……、様……)
浮かんでくるのは、彼の顔。力が、湧き上がってくるような気がしました。
悩みに悩むクリスティーヌが訪れたのは、亡くなった父の墓前でした。
死の間際に語った父の言葉を、思い浮かべます。父は言ったのです。
私が死んだら、お前のもとへ、音楽の天使をつかわすよ……。
だからこそクリスティーヌは、彼を、仮面を被った彼を父の語った音楽の天使と信じ、実際にそう呼びかけ、慕ってきたのです。
掛け替えの無い多くのものを自分にくれた、彼。ファントム。
「……彼を、陥れるなんて……」
「そう……私はお前の、音楽の天使。心を解き放つのだ、クリスティーヌ……」
声が聞こえました。聞こえるはずのない、心落ち着かせる、素晴らしいあの声が。
彼の声を聞くたび。彼の音楽へと浸るたび。クリスティーヌは……揺籃めいて心地良いその響きから、抜け出せなくなるのです。幾度も繰り返されたレッスン、彼の教えを通じて触れた、紛れも無い、ファントムの卓越した音楽の才を、彼女もまた認め、そしてその虜となっていたのです。
彼を否定することは、クリスティーヌにとってはもはや、半身を引き裂かれるような苦しみでした。
「私の声とお前の心は、今や一つに繋がっている。さあ、おいで、クリスティーヌ。君の恩師の元へ、音楽の天使の御許へ帰るのだ。さあ……」
ふらり、ふらりと。クリスティーヌは歩みを進め。
やがて、広げたマントの中、彼の腕の中へと……。
「クリスティーヌ!!」
「……! ラウル!?」
心の楔から解き放たれ、彼女が収まっているのは怪人の腕ではなく、愛しいラウルの胸の中でした。
「なぜだ!! クリスティーヌ……どうして、私を見てくれない!?」
「天使様……」
「逃げるんだ、クリスティーヌ!」
ラウルに手を引かれて去っていくクリスティーヌを、怪人は追いません。
ただ、叫びました。胸を焦がす情動に、まるで突き上げられるかのように。ただ、二人へと。
「いいだろう。クリスティーヌ。私はお前達二人へ、戦いを挑もう!! そして必ずこの腕の中へ、抱き締めてみせる……お前を! クリスティーヌ、お前を、私のこの腕の中へ……必ず!! ……その権利が、私にもあるはずだ。人並みの幸福を願い、掴む権利が、私にも……あるはずだ! そうだろう! そうだと言ってくれ……クリスティィィイイイヌッ!!」
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
160人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月14日
参加申し込みの期限
2015年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月21日 11時00分
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