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遠く、大勢の悲鳴が聞こえる。
眼鏡の奥の黒い瞳に夜を映し、
斑鳩 遙
は短い黒髪の頭を巡らせる。見慣れぬ古びた町並に、漂う不穏な気配に、
(なんだここは)
白衣纏うた身を緊張に固くする。人気の無い路地裏を慎重な足取りで歩き始める。
(また神魂の影響か)
木と漆喰と紙の平屋で形作られた複雑に入り組む小路が不意に開けた。赤く燃える炎の色に射られて細めた瞳に映ったのは、恐怖に震える悲鳴上げて石畳の大通りを逃げ惑う数多の人の形成さぬもの達。
大路を走る妖達を追うものを探せば、提灯や灯篭の揺れる灯の中、地を這い壁を伝う影の色した小鬼の姿。
(捕まったらとって食われるのか)
妖達がこうまで必死に逃げるのは命が懸かっているためかと、冷静さ失わぬ眼差しで推測しつつ、小鬼が執拗に狙うのが妖本体ではなく光に浮き上がる影であることを醒めた観察眼で確かめる。
それもいい、とどこか投げやりに思う心の一方、
(理由もわからず追われるのは腑に落ちない)
何もわからず不合理な存在に不合理に殺される事に理系の合理主義者の理性が抵抗する。
(何もせず捕まるのも少し癪だな)
妖を追い回す小鬼が己を向いたように見えて、思わず瞳を歪める。
大路を埋める耳障りな大勢の悲鳴に白衣の背を向ける。闇の多い小路に再び踏み込む。嘲笑うかのような笑い声を背後に聞いて、遙の足取りは速度を増す。
月のない空から降る星の光を受けて揺れる己の影を砂利の小路に見ながら、護身用の武器になりそうな物を探す。
(角材、棒、何でもいい)
小路を挟む家屋の一戸に開け放たれた木戸を見つけ、飛び込む。土間を経た畳の間に人影は無く、鉄瓶掛けられた火鉢ばかりが妙に暢気な熱を上げている。
無言のまま行灯に照らされた畳の間に上がりこみ、火鉢の灰に半ば埋まっていた鉄製の火箸を掴む。武器にするには心許ないが、得体の知れないものを相手取るに素手よりはいい。
木戸が軋む。通りから差し込む影に油断無く火箸を構えて、
「ひゃっ?!」
戸口に立った猫のような緑の瞳した茶髪の少女に悲鳴を上げさせてしまった。
「……ああ、すまない」
「真央ちゃんこそすまんのだ」
火箸を下ろす白衣の青年に向け、
後木 真央
は明朗な笑みを浮かべた。小路を振り返り、星影の路地裏に小鬼の笑い声を聞く。何かの意志を固めようとするかのように深呼吸する。
「こっちに」
そのまま駆け出して行きそうな少女の手を遙は掴む。火鉢の傍に引き入れ、白衣の背に庇う。
「協力を頼めるか」
「遙ちゃん」
温かくてちょっぴり寂しいいつかの夢の中で出会った、末っ子で年上な遙の名を呼ぶ。返事は無かったけれど、夢の中で兄弟だった遙は確かに小さく頷いてくれた。
「同じ鬼から逃げているなら、囮を増やすほどに攪乱できる」
木戸の向こう、音も無く影の小鬼が現れる。薄っぺらな体を地に這わせ、滑るように近づく鬼を見据えたまま、遙は火鉢に掛けられていた鉄瓶を躊躇わず掴む。
(家主にはすまないが)
重い鉄瓶ごと沸騰した湯を畳にぶちまける。
湯がかかったのか鉄瓶が当たったのか、影の鬼はひゃあと泣いて畳に縫い付けられたように動きを止めた。
(これで少しは時間が稼げる)
「あれは影を狙う習性がある」
真央の手を引き、遙は動きを止めた鬼の横を過ぎる。外に出る。足早に歩を進めながら、大通りで確かめた鬼の行動を頭になぞる。
「ならいっそ影の中に隠れてしまえばどうだ」
木を隠すなら森の中、と推理小説の一節を口にする。
己より更に大きな影と同化し、個の境界を消せば、影のかたちした鬼は、
「そうすればあれは『俺の影』を踏む事は物理的にできなくなる」
ただ、と足を止める。星の光に出来た家々の影に己の影を埋めてみせる。
「影の範囲が拡大する危険性もある賭けだが……試してみるか」
「遙ちゃんは頭がいいのだ」
静かに問う遙に、真央は疑いもせず笑顔で頷く。弟を褒める姉の口調で真直ぐに言われ、遙は眼鏡の蔓を押し上げる振りをして視線を逸らす。
「影ができそうな光源は避けて素早く移動しろ」
低く言い捨て、その場を離れる。
角を曲がって消える遙の背中を見送って、けれど真央はその場を動かない。星の微かな光に照らされ地に落ちる己の影を見下ろし、地を駆けて迫る影の小鬼へと視線を伸ばす。
「影ちゃん」
笑みさえ含んだ口調で呼びかける。小鬼が哂いながら己の影を踏むのをただじっと見つめる。
お腹の底、もうずっとずっと忘れていた、今は一緒に住んで居ない母が作ってくれたクリームシチューの温かさの記憶が蘇る。蘇って、泡のように消える。奪われる。
それでも、胃のあたりに全ての不安を消す柔らかな温かさが残った。温もりを抱きしめて、真央は己が傍から離れようとする影の小鬼に手作りのお守り袋を差し出す。
「……ありがとなのだ」
何かあったかい記憶があった。それを思い出せただけで充分。
記憶を奪って罵られこそすれ、礼を言われることなど無かった小鬼は、不満そうに不思議そうに首を傾げる。真央の手のお守り袋を小さな指先で摘まんで持ち上げる。
「いつか影ちゃん自身楽しい記憶積めますように、なのだ」
祈るような笑みを向けられ、小鬼は何だか居心地が悪くなる。落ち着かなげに視線を彷徨わせ、鉄瓶を受けたときと同じ悲鳴を上げてその場を逃げ出す。
提灯や灯篭の赤い光の下を、星の仄かな光の下を、鬼は走る。己に向けられる妖達の悲鳴を身に受け、やっぱり此方が己には似合いとくすくすと笑う。記憶を差し出した少女から思わず受け取ったお守り袋をぽいと投げ捨て、己を見つめる白衣の青年を見つける。脅してやろうと近づいて、動きを止める。
(失敗したらそれまでだ)
全身を余さず影に埋めた遙は、光と影の境界に立ち尽くす鬼を見据える。感情を消した瞳の奥、自殺することで己の内に消えない影を落とした友人を思う。
(俺はずっと影の存在だった)
時任彼方と言う男の、影。
影である己にも分からぬ理由で自殺した友人を、緊迫した今の状況にあって思い出すのは何故だろう。
(影に溶けて消えるのが似合いじゃないか)
自殺した友人を最初に見つけたはずなのに、その記憶が己の内から欠落しているのは何故だろう。
影の内に踏み込めず、鬼が悔しげにキィキィと喚く。
己が記憶の影に溶けた記憶を掬い上げることが出来ぬまま、果たしてそれが己にとって良いのか悪いのか判別できぬまま、遙は誰に向けるでもなく笑む。
それは蔑笑にも似て、憫笑にも似て。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年01月21日
参加申し込みの期限
2015年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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