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紅色格子が目立つ怪しげな雰囲気の店の前、
新井 すばる
立ち止まる。座敷牢じみた格子の中の小部屋には、幾本もの行灯が明々と火を揺らしているものの、人影は見当たらない。見渡す限り、大通りに開く店は全て空のようだった。その代わり、石畳の道を大小様々の妖が恐慌きたすあまりほとんど無目的に駆けずり回っている。
提灯の淡い光が揺れる奇妙な景色の中、妖を追い回して見える小さな影を見つけて、すばるは眼鏡の奥の茶色の眼を軽く見開く。
「おっと、もう来なすった」
明るい口調で呟いて、素早く取り出した自作のちくわを指先に装着する。
橋のところで鬼のことを教えてくれた天狗面は自己責任だと突き放すように言っていたが、
(ちくわガンがきけばご喝采)
すばるは鬼に攻撃を加えることを選ぶ。
子どもが走るほどの速度で地面を滑る、薄っぺらな小さな影に向け、
「せいっ!」
ろっこんを発現させ、ちくわの先から冷凍ビームを発射する。宙を走った冷たい光は石畳の一部を凍らせ、小鬼のかたちした影は驚いたように動きを止める。
「お、きいた?」
とは言え、時間かせぎにしかならなさそうだと判断し、すばるはちくわを指にはめたままその場を離れる。
(今のうちに安全な所へ)
足早に駆け出して、ちらり首を傾げる。
(……って安全な所ってどこだ?)
周囲を見回せば、町の住人達は何処へ行くでもなくただうろうろと逃げ惑ってうろたえるばかり。少なくとも彼らは『安全な所』を知らないらしい。
背後の夜に瞳を凝らす。小鬼は白く凍った地面を不思議そうに見下ろし、細い足で蹴飛ばし、考え込む振りをしてから興味を失くす。影にしか見えない口元に白い歯を覗かせ哂う。周囲を逃げる妖達を見回し、提灯の光の輪の中に立つおかっぱの少女を獲物と定める。再びの鬼ごっこを始める。
「え、わあっ?!」
真直ぐ向かってくる小鬼にまん丸の眼を更に丸くし、踵返して逃げ出そうとした
岡野 丸美
が石畳の少しの段差に躓いてよろける。
「おっと」
少女に襲い掛かる影に向け、すばるは咄嗟に冷凍ビームを撃つ。白霜を全身に纏わりつかせ、小鬼は動きを止めた。
「あ、ありがとうね」
「お互いがんばろう」
少女に向けてウィンクひとつ、すばるはちくわ生やした手を振って夜の町を走り出す。
助けてくれた少年の背中を見送り、丸美は自分も逃げなくちゃと足を踏み出しかけて、凍った石畳に足を滑らせた。ものの見事に転んでお尻を打ち付ける。
「痛ったー……」
両手でお尻を押さえて、慌てた。霜塗れの小鬼を下敷きにしてしまっている。
「ごっ、ごめんなさいっ?」
土下座の勢いで頭を下げる丸美の脳裏、ひらり、見たことのない綺麗な翅の蝶が過ぎる。寝子島にも本土にも存在するはずのない蝶の正体を、いつだったか友達と議論しあった。
――地底の空洞を通ってきたんだよ
――異次元からやってきたんだよ
「……え? あれ? あれれ?」
頭にふわりと浮かんだいつかの思い出が、けれど霧が風に流されるように消えて行く。蝶と友達との思い出を追いかけようとするかのように立ち上がって、気付いた。足元に居たはずの影の小鬼が、いつの間にか地面を滑り、壁を伝い、大通りを駆けて行く。
鬼に奪われた記憶を取り戻す方法も分からずに視線だけを伸ばし、妖達に紛れて大通りを疾走するさっきの少年の背中を捉える。
「あっ」
道端の石灯篭の光に照らされて伸びる少年の影を小鬼が踏んだように見えて、丸美は何故とも分からず声をあげた。
「……おっと」
駆ける足が意志に反して止まって、すばるは眉をひそめる。不審に思って振り返れば、己の影を踏んで満足げに笑う影の小鬼の姿。
音も無く己の背後に迫られ、すばるの明晰な頭脳が一瞬凍る。同時にゆらり、心の奥から幼い頃の記憶が浮かび上がる。
髪を高く結い上げ、天眼鏡を片手にしたその女の人。
――初歩だよワトソンくん
悪戯っぽく笑ってウィンクするその人に初めて会ったのは、買って貰ったばかりのネッシーの玩具をなくした晴れの日。
どこでなくしたかも見当つかず、海岸の砂浜や公園の遊具の下をでたらめに探していて、
――キミも探し物?
天眼鏡を手にしたお姉さんに声を掛けられた。泣き出しそうに頷けば、
――私もここではぐれちゃったウサギを探してるの
お姉さんはそう言って頭を撫でてくれた。
どこから来たのと尋ねる幼いすばるに、よその町からよとそのお姉さんは答えた。一緒に探そうと笑ってくれた。
お姉さんの探し方は変わっていた。
草叢をわけるでもなく、物陰を覗き込むでもなく、
――すばるくんのネッシーはどのくらいの大きさ?
そんな問いかけから始まり、朝からどこへ行ったのか、なにを食べたのか、いつまで持っていた記憶があるのか、延々と問いかけられた。挙句には靴の裏を見せてと真剣な顔で言われた。
――そう、このドロが決めてなの
――服についてるこの種は……
そんな事を言いながら、天眼鏡ですばるの手や服をじっと見つめていたかと思えば急に、
――初歩だよワトソンくん
決め台詞のように気取って言った言葉を、ウィンクした顔を、はっきりと思い出す。思い出して、けれどその先の記憶が靄のように霞む。
確か、お姉さんにシロツメ草のたくさん生えている河原が近くにあればつれていってと言われたんだっけ?
言われるままに案内したその河原で、探し物のネッシーは見つかった。
手品みたいだと、思った覚えがある。
これが推理よ、探偵術よとその時教わった気がする。
――ボクにも出来る?
――もちろん
そんな言葉を交わしたのは確かだと思う。そうして今愛用している天眼鏡をあの人に貰った。それは間違いない。癖になっているウィンクだって、あの人譲りだ。
(そうだ)
探偵を目指したのは、あの時だ。
(なんでこんな大事なことを今まで忘れてい……)
「この……!」
ちくわガンを向けた途端、小鬼はキャッキャと笑い声響かせ、飛び跳ねる動きですばるの傍から逃げ出した。
小鬼を追わず、すばるはちくわ嵌めた手を力なく下ろす。何故だろう、心の奥がひどく、寂しい。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年01月21日
参加申し込みの期限
2015年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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