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黄昏空のその向こう
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あれれ、と
岡野 丸美
は黒い瞳をくるり、丸くする。
さっきまでは抜けるような青空の下、いつもの道を歩いていたはずなのに、瞬きひとつの間に見慣れない場所に出てきてしまった。
視界を染める黄昏色の暗さに、ちょっぴりふくふく気味の手で瞼を擦る。夕暮れの空気に冷えた頬もついでに撫でて空を仰いで、
「ふわー……」
思わず声を上げてしまうほどに綺麗な夕焼けがそこにはあった。口も眼も丸く開いて夕空を見つめている内に、空は思いがけない早さで藍色に暮れてゆく。
(秋の日はつるべ落としね)
のんびりと思う。菫色した空気の中、見たことのない朱色の石橋の上に立って、橋の向こう、厳つい山門の奥に広がる古びた町を見遣る。
やっぱり見たこともない町を、なんだかちょっと変わった姿した人達が忙しげに行き来している。橋の半ば、欄干に背中を預けて座り込む和装の人も、顔には紅色の天狗の面。
(……ん?)
どんどんと暗くなる空の下、人とは違う姿した人々が悲鳴上げて逃げ回っていることにようやく気付いて、
(どうしたんだろ……?)
柔らかなたれ目を不思議そうに瞬かせるばかりの丸美の脇を、
「おいちゃん」
寝子高指定ジャージに赤猫リュックを背負った茶色い髪の女の子が駆け抜ける。体育科の子かな、と丸美がやっぱりのんびり思っている内、女の子は天狗の面の人の前にひょいとしゃがみこんだ。
「おいちゃんはグレちゃんとは別の人なのだ?」
天狗の面の下に見える目を覗き込もうとしながら、
後木 真央
は人懐っこく話しかける。佇まいは確かに以前『日暮』と名乗った男のものだが、あの時の男は狒々にも似た赤い猩々の面を掛けていた。
「三度目ましてか初めましてか真央ちゃん挨拶に悩むのだ」
「三度目まして、やな」
「三度目ましてなのだ、グレちゃん!」
名を知る天狗面の男に満面の笑みを向け、真央は酷く騒がしい町へと視線を向ける。前はいつまで経っても茜色だった空が、今は見る間に暮れなずんで行く。闇が濃くなって行く。
「この前の猩々のお兄さん?」
暗くなる空や町を不思議そうに眺める真央の背に、ふわり、影が差す。
「円ちゃん」
振り向いた翠玉の眼に友人の姿を映し、真央は日暮に向けたのと同じ明るい笑みを浮かべる。
「今日は、真央ちゃん」
深い森の色に染め、波打つ髪に夜の色を落として、
桜庭 円
は緋色の眼を笑みに細める。
「今晩は、かな」
おどけて笑いながら、円は華奢な身を真央の隣に並べる。
「今は天狗?」
「……強なった気になれるさけ」
言い訳じみて天狗面の目を逸らす男の傍、
「日暮さん!」
制服のスカートの裾を揺らし、黒髪の少女が嬉しげに駆け寄る。
「また会えました」
宮祀 智瑜
に声を掛けられ、天狗面は曖昧に頷く。少女達に囲まれ、居心地悪そうに立ち上がる。それよりも、と町を指差す。夜が訪なうと共に町を襲う鬼の存在を告げる。
「どんな鬼なのだ? 鬼に触り続けたら際限なく記憶喰われるのだ?」
真央に胸倉を掴まんばかりの勢いで問われ、天狗面は町を襲う鬼の種類を吐く。
「鬼一匹につき一人記憶一欠けずつ、てとこや。空っぽになるまで持ってったりせえへんよって、まあ安心――」
「お兄さんは何故、何時も通りで居られるの」
天狗面の下、平坦な声を響かせる男に、円は低い声で詰め寄る。小柄な少女に真っ向から見据えられて、天狗面は困惑したように首を傾げた。ついと夜の町へ顔を向ける。
「何時もの事やさけ」
低く呟く。それよりも、と指先を町へと向ける。
「来よるで」
町の住人達から悲鳴に近い喚声があがる。人と同じ声のもの、獣の吠え声のようなもの。様々に上がって耳をつんざく声に、丸美は流石にぎくりと町を見遣る。
「何? 何なの?」
門の向こうを横切ろうとした少年の顔持つ子犬が頭の重さに転ぶ。ころりと前転し眼を回して蹲る人面犬の背、地響き伴って巨大な人影が立つ。平屋の軒に届く頭を巡らせ、思いがけず速い腕の動きで人面犬の胴を鷲掴む。
「え……」
丸美が息を呑み込む僅かの間だけ手足の長い鬼に捕らえられて後、少年の顔持つ子犬はぽいと地面に捨てられた。子犬は呆然と町を見回し、哀しい泣き声ひとつだけ上げて夜の色に満ちた路地へと逃げる。
「今のであの子は記憶をいっこ失うた。早う逃げ、こっち来るで」
「日暮さんは逃げなくても大丈夫ですか?」
少女達を追いやるように手を振る天狗面を、智瑜は心配気に見つめる。一緒に、と言いかけて、断固と首を横に振られ拒否された。
「夜が仕舞いになったらまた戻って来ィ」
橋の央に仁王立つ天狗面に半ば追われ、少女達は山門を潜る。のっそりとした足取りを向ける背高い鬼から逃れるべく、駆け出す。
「グレちゃん!」
それぞれに駆け出す少女達のうち、真央だけが山門の奥から振り返る。学校ジャージの背に負った赤猫リュックを揺すり上げ、声を張る。
「物々交換できる場所とかってあるのだ?!」
「今はどの店の主も逃げとるわ」
「ありがとなのだ!」
頷いて両手を振り、真央は人外の妖が悲鳴上げて駆けずり回る夜の町へと踏み込む。
口元から凶暴な牙を覗かせ、手足が異常に長い鬼は自分の周りから離れようと走り去る者達を大きな目玉で見回している。
(真央ちゃんの方が弱いけど)
日暮に『鬼』と呼ばれ、この町の住人の記憶を奪う彼らは、ああして誰からも逃げられ続けるのだろうか。
「そんなの哀しいのだ……」
奪うのは記憶を食べるためだろうか。だとしたら、お腹が減って誰にも満たされない鬼達は、
(可哀想だ)
高鬼を見つめるために足が止まっていたことに気付き、真央は家屋の軒先から吊るされた提灯や窓の隙間から頼りなく揺れる蝋燭の光を頼りに夜の町を走る。積み上げられた樹の樽をよじ登り、そう高くない位置の雨樋に取り付く。全身を使って家屋の屋根に登る。見渡す中で一番に高い屋根を目指し、瓦を踏んで走る。
(記憶は生きてさえいればこれから何度も積めるのだ)
瓦に足を滑らせながら、屋根に高く備え付けられたうだつの影に身を潜める。屋根に取り付けられた祠の形した防火壁の中には、水蛇の形した守り神。
「お邪魔しますなのだ」
囁いて、真央はリュックから引っ張り出した裁縫セットの裁ち鋏で部活Tシャツとジャージ上着を躊躇い無く切り裂く。口を結い、簡単な小袋を四つ作る。
(高鬼、走鬼、影鬼、隠鬼、)
日暮から聞き出した鬼の種類を呟きつつ、油性ペンで表に『高』『走』『影』『隠』、それぞれ一文字ずつ記す。袋の中には余りの布に別の文字を書き込み畳んで入れ、
「お邪魔しましたのだ!」
軒を借りた家の守り神に挨拶ひとつ、真央は祠を飛び出す。
夜気に冷えた瓦を踏んで思うのは、祖父の背中。漁師仲間に頼りにされた祖父は、傍に居ると安心できた。両親の仕事の関係で転校を繰り返すことが辛くて、けれど子供すぎてその気持ちを説明できずにただ逃げ込んだ自分を受け止めてくれた祖父を思う。力強い背中を思う。
あの背中に追い着きたかった。
そのためにも、ただ逃げることはもうしない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年01月21日
参加申し込みの期限
2015年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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