this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
黄昏空のその向こう
<< もどる
1
…
7
8
9
10
11
つぎへ >>
スーパーの特売に向かうべくアパートのドアを開けたら異世界で、
「えっ」
高城 律
は黒い眼をきょとんと瞬かせる。
「なにこれは」
やっぱりいつも通り引き篭ってニートしてようとマイスイートホームたる故祖父から継いだボロアパートの管理人室のドアのノブを掴もうとした手は空を切る。冷や汗かきながらまさかと振り返れば、ついさっき出てきたはずの自室が消えている。
代わりに視界を埋めるは見たことのない古びた町。しかも夜の闇に眼を凝らせば、何だか妖怪じみたナニカまで大量にうろついている。
「何処だここ」
ここが何処だろうと面倒くさいからどうでもいいけれど、スーパーの特売に遅れるのはやっぱり困る。出口は何処だ。
半ば混乱気味の頭で踏み出した足元を二股尾っぽの猫にすり抜けられ、傍らを人の顔した牛に足音高く通り抜けられ、律は頭を抱える。
(あああマジでリアルすぎるんだけど映画村かお化け屋敷か?)
耳に響くは人外の者達のおどろおどろしい悲鳴。見回せば、彼らは何かから必死に逃げているらしい。こんなものを追いかけるものは何だと見遣ったその先には、花模様の赤い着物纏った黒髪おかっぱの幼女。
うっかり目があった途端に少女に微笑みかけられ、意外な駿足で真直ぐ迫られ、律は戦慄する。
「やめて、本当やめてお兄さんお小遣いとか持ってないから!」
特売品を買うための小銭をズボンのポケットに握り締め、律は首を激しく横に振る。
「噛み終わったガムならあるけど!」
牽制すべく喚いてみるも、少女の足が鈍る様子はない。能面にすら見える朗らか過ぎる笑顔を白い頬に貼り付けて駆けて来る少女に、律は背を向ける。とりあえず周りに倣って逃げるべきな気がする。
「引きこもりのこの小鹿のような健脚を舐めるなよ!」
声を上げて走り出して、すぐに息が切れた。生まれたての小鹿のように足ががくがくし始めた。
転がっていた木製の樽に迷うことなく潜りこむ。
(なんで俺こんな目にあってるんだ妖怪のせいなのかそうなのか)
体を丸め、乱れる息を必死に整える。
「もういいかーい?」
身を潜めた樽のすぐ隣から聞こえた少女の声に思わず息を呑む。
「もういいかーい?」
樽の枠に赤い着物の裾が覗く。見つかった、と思うが早いか、少女の挙動を確かめもせず律は樽の中から飛び出す。
「みーつけた」
少女の声を背中に聞き取きながら、石畳の大通りの所々に光を灯す店舗を頼りに走って逃げる。
恐ろしげな姿した人外の者達を追い回して見えるとは言え、相手はどう見てもあどけない子供。手を出すわけにはいかない。
背に幼女の笑い声を受けながら、茶屋らしい野立て傘が林立する長椅子の影に蹲る。そっと顔だけ覗かせ様子を窺う。
(と、いうか何が目的なんだ)
おかっぱの髪を揺らして夜の町を見回す幼女の前、明るい栗色の髪した少女が飛び出す。赤猫リュックを背負った少女は、駆け寄る幼女に手を差し伸べた。律が見ている間に、幼女が少女に抱きつく。少女がそれを受け入れる。
(挨拶のハグ?)
律に見られているとも知らず、
後木 真央
は少女の姿した鬼を両腕で力いっぱい抱きしめる。おかっぱの耳元に唇を寄せる。
お腹が減っているのに独りで居るしかない時が一番寂しいのを、真央は知っている。
「いつか追わなくても奪わなくても遊んでくれるお友達ができますように、なのだ」
最後のお守り袋を少女のかたちした鬼の手に握らせる。袋の中に忍ばせた布切れには、精一杯の願いを籠めて文字を書き留めた。
――いつかみんなに逃げられないでおなかいっぱいに幸せになれますように
真央は鬼のために祈る。祈るまま、弟が生まれて姉になったときの温かな嬉しさや、いい姉になろうとして母の手伝いをしてほめられた時のくすぐったい喜びの記憶を、無遠慮に奪われる。
どう見ても日本人な幼女の躊躇いのない抱擁を受けて後、少女が膝から崩落れて、もしや新手の親父狩りかと律は戦慄する。
(日本の将来が心配です)
そもそもここが日本かどうかも怪しいから、と自分で自分に突っ込む。それに最近の風潮的からして、幼女に抱きつかれる大人の絵面はいかにもあらぬ誤解を受けるに違いない。
(絶対に逃げないと社会的に死ぬっていうかヒキニートはそもそも社会的ライフはゼロで、)
幼女が満面の笑みで少女の傍を離れる。迷いのない足取りで身を隠した長椅子に近寄って来る。
「もう勝負はついてるんだヤメテ」
堪らず駆け出そうとして、木製椅子のささくれに手を引っ掛けた。痛み覚えて咄嗟に見た掌に、血。
「……ッ、う」
新鮮な血の色に息が詰まった。瞳に焼き付いた親友の姿が一瞬のうちに心の全てを凍らせる。己で己の命断ち切った親友の、鮮血に塗れた姿が眼前に横たわっているような錯覚に襲われ、律は悲鳴さえ上げられず瞼をきつく閉ざす。足がもつれ、その場にへたりこむ。血の臭いに鼻腔を衝かれ吐き気に襲われ唇を押さえる。
恐慌状態に陥る律の前、額に小さな角持つ少女が立つ。黒い目で律を見、律の掌を汚す血を見、――律のろっこんに色覚を奪われ、不思議そうに瞬く。けれど然程動じた風も見せず、律の頭に着物の両腕で抱き着く。
――ありがとう
瞼を離れぬ血みどろの親友の姿が、病床で日の下に出られなかった頃の親友の姿と入れ替わる。
――綺麗な空
己の描いた空の絵を見つめ、そう言って泣き笑う彼女の顔が、何より嬉しかった。自分の絵で人を笑顔に出来るんだと、その時は信じた。
けれど。
それが切欠になって彼女は自殺した。
彼女が自殺してから気がついた。一生見られない、憧れているものをしたり顔で見せられるのはどんな気持ちなのだろうと。
画家さえ目指した絵を辞めた、その最たる切欠を、温かいけれど思い出すたびに泣きたくなるその記憶を、律は奪い去られた。
胸を引き裂く冷たい血の記憶だけが残って、律は夜の町に疲弊した瞳を迷わせる。
<< もどる
1
…
7
8
9
10
11
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
黄昏空のその向こう
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年01月21日
参加申し込みの期限
2015年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!