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日暮の立つ橋を離れ、
宮祀 智瑜
は夜色の町をひとり走る。足元を照らす灯篭は少なく、揺れる光は頼りない。
大通りの入り口でこの町のみんなを追い回していた手足の長い大きな鬼の姿は無い。誰かを追ってどこかの小路に入り込んだのか、だとしたら追いかけられた誰かは大丈夫なのか、智瑜は黒い瞳を心配げに瞬かせる。
夜が明けるまでどうしようかと、もう一度不思議の町を見回して、智瑜が見たのは自分目掛けて突進してくる大きな黒い犬。
「えっ!? ちょ、」
三角耳をぴんと立て、大きな口元から鋭い牙と赤い舌を剥き出し、どちらかと言えば攻撃的に突っ込んでくる大きな犬に、智瑜は首を横に振ってみせる。
「ちょっと待って!」
躊躇無く飛び掛られ、転びかけつつなんとか避ける。石畳に爪を立てて体勢を立て直し、再び縋りつこうとしてくる大犬に背を向け、智瑜は咄嗟に逃げ出す。道端に山と積まれた桶や木箱の上によじ登る。木箱の枠を掴んだ拍子に外れた木切れを、普通の犬にするように投げて気を引こうとしてみるも、額に小さな布袋を貼り付かせた大犬は構わず智瑜がよじ登る木箱の下に駆け寄ってくる。
「食べ物持ってないですよー」
幾重に積み上がった木箱の天辺、智瑜は足元の木箱をがりがりと引っ掻く大犬に優しい声で呼びかける。
(さっき食べてたアンパンの匂いがついてたのかな?)
掌に鼻を近づけてみれば、確かに微かにパンの匂い。お腹を空かせたあの子はこの匂いに惹かれたのかもしれない。
(そうだ、この前行ったお茶屋さん)
あの茶屋なら、この子にあげる食べ物があるかもしれない。
八百屋を営む祖父母を手伝ってほぼ毎日を自転車で配達の手伝いをしているため、足には自信がある。少し距離はあるけれど、この程度なら犬に追いつかれまいと見て、智瑜は木箱の上から飛び降りる。背後に犬の吠え声を聞きながら、勢いつけて走り出す。
通りがかりに見つけた小さな神社で、けれど立ち止まる余裕なく、
(日暮さんの言っていた『鬼』から逃げ切れますように)
短く願い、鳥居の前を走り過ぎる。背後に大犬の足音を聞きながら、小路に走りこんだ先、屋根よりも高く伸びて繁る椿の大樹を見つけた。
(久しぶりに木登りしてみようかな)
小さい頃はよく登っていた。得意なのは今も変わらない。掴むべき枝を迷い無く選んで掴み、木の高い梢に登る。
周囲の屋根よりも高い梢から夜の町を一望し、智瑜は夜の闇に溶けてぼやける天狗面の男が居るはずの橋へと眼を凝らす。
(日暮さんは大丈夫だったかな? 怪我してないかな?)
ここからは見えないこの町の知り合いを心配して瞳を伏せる。今日がこんな状況でなければ、折角また会えたのだからお話をしてみたかった。学校の事を話したり、普段何をしてるのか聞いてみたかった。
(ワンちゃんは)
高い梢から見下ろす。大犬は駆けてきた勢いを殺さず跳び、思いがけず高い枝にまで前肢を届かせたものの、大柄な体を持ち上げることは出来ず地面に落ちた。
「ごめんなさい、あげられるものは持ってないんです」
丁寧に詫びながら、ふと不思議になる。どうしてそんなに必死になって追って来るのだろう。
小学生の頃、何匹もの猫と犬に追いかけられたことを思い出す。今になって思えばただ懐かれていただけと分かるけれど、追われてから暫くは犬や猫が怖くて仕方がなかった。あの頃は犬や猫の気持ちは分からなかったけれど、ろっこんの不思議な力を得た、今なら。
(私は、役に立てますか?)
想って見たのは、
――喰イタイ
肉を食むことでは癒されない、目が眩むほどの空腹。
「ワンちゃんが、『鬼』なんですか」
立ち竦む智瑜を悔しげに見上げて後、鬼は鼻先を町の何処かへと向ける。鞭のような尻尾を振りたてて駆け出す。
『鬼』が向かう先を視線で追って、智瑜は路地を出て来る高校の同級生を見た。
「『鬼』です、逃げてください!」
智瑜に出来るのは、注意促して叫ぶことだけ。
少女の声に導かれ、
八神 修
は茶の瞳を上げる。牙剥き涎撒き散らし、襲い来る黒い大犬を映す。
(あれが)
此方の世界に迷い込んだ際、天狗面の男から粗方の説明は受けた。町が今どんな状況なのか、町を襲う『鬼』が何を為すものなのか、修は解している。
犬に背を向け、砂利の小路を走る。大通りに出れば人外の妖が多くうろついている。『鬼』が獲物と見做す彼らのうちに紛れてしまえば、逃走は易くなるかもしれない。
例え奪われるのが嫌な記憶だとしても、精神に干渉されるのは好まない。トラウマも嫌悪感も、
(こういう形で無くすべきではないのだよ)
追われる中にあって、冷静に思う。道端に打ち捨てられた箒を素早く攫い、影が肉を持ったかのような大犬を一瞬振り返る。あれが影であるならば、と夜よりも濃い物陰に身を潜め己が影を消すも、大犬は構わず影の中に踏み入る。
(此処は、記憶や想いを喰らいあう場所なのか)
それとも、と手近な窓の枠に手を掛け足を掛け、そう高くはない古民家の屋根に登る。
(想いによって形成された世界と言えるかもしれないな)
手がない犬には登れないだろう、その見当は大犬が体重を感じさせぬ跳躍を見せた途端に外れた。瓦を蹴散らし迫る鬼を、修は瞳に力籠めて睨み据える。手にした箒を大きく振りかぶり、近づく犬の顎目掛け薙ぐ。
犬の鋭い牙が箒の柄に食い込む。みしり、竹製の柄が軋む。間をおかず砕けて折れる。
「……ッ!」
箒の柄を食い破り、鬼はじゃれかかる犬の動きで修の肩に前肢を掛ける。修を半ば押し倒しながら顎開き、肩口を噛む。
耳元に虫の羽音を聞いた気がして、修は犬に噛まれたことよりも動揺した。心に深く傷となって残る、物心付いた頃の記憶が眼前に広がる。
春も間近な暖かな午後、八神家の広大な庭の一角を歩いていて、羽虫の大群に纏わりつかれた、その記憶。
ただただ気持ちが悪かった。気味が悪かった。
小さな手でどれだけ払っても、無数の小さな羽音が服や肌に纏わりつく。視界に小さな虫が入る。目にも口にも侵入してくる気がして、慌てて瞼を固く閉ざし、口を両手で押さえた。
それでも虫の気配は消えない。ただの羽虫だと分かっていても、感情が受け入れることを拒否する。だって腕にたかるそれは、馴染んだ動物達とは全く異質で異形で、
――コレハナンダ
――キモチガワルイ
粟立つ肌もそのままに走って逃げて、迷い込んだ大木の下で、虫の羽音とは違う危険な蜂の威嚇音を耳にした。見上げた梢にぶら下がっていたのは、蜂の巣。本能的に危険を感じ取った瞬間、虫に対する気持ち悪さに恐怖が加わった。
堪えていた悲鳴が口をつく。
広い庭を闇雲に走る。駆ける先に池を見て、迷わず飛び込んだ。薄い羽の蟲は水の中には入れない、そう考えたから。
水に潜って隠れて、大量の水を飲んで、――気がついた時には屋敷のベッドに寝かされていた。叫び声を聞いて助けてくれた使用人が心労に憔悴しきった顔で己を覗き込んでいた。
「うッ、……!」
耳元の羽音に身を固め、悲鳴を呑み込んで、気付く。
(何故、蟲がこうまで苦手なんだ?)
呆然と考え込む修から犬のかたちした鬼が離れる。知らぬ顔でひょいと屋根の上から飛び降り、次の獲物を探して駆け出す。
夜に消える鬼の背中に、修は記憶を奪われたことに思い至った。悔しさに拳を固く握り締める。
(……蟲)
失った記憶のキーワードとなり得る言葉を心に刻む。元の世界に戻ればすぐにでも日記を漁ろう。そうすれば、
(再獲得とまではいかないまでも)
奪われた記憶の手掛りを得ることくらいは出来る。
怜悧な瞳に強い意志を失わず、修は夜空を仰ぐ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年01月21日
参加申し込みの期限
2015年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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