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黄昏空のその向こう
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茜の色に染まるシーサイドタウンを歩いていた。海の匂いの混ざる夕風に短く刈った黒髪を好き勝手に惑わせて、当てもなく。
朝鳥 さゆる
は切れ長の茶色の瞳に暮れて行く空の緋を、藍を映す。陶器じみて白い頬に黄昏の色を受け、街を行き交う人々を眺める。家路を急ぐ男を、コンビニの前で暇そうに煙草を喫する男を、夕暮れの街に所在無げに佇む女を。
星ヶ丘の暗い自宅に帰るつもりは端から無かった。あの家でひとりで過ごす夜は長すぎる。
秋物のスカートの裾が際どく翻る。黒いストッキングで包んでも妖艶さの隠せぬ腿を潮風に舐めさせ、己と同じに虚ろな快楽求めて見える男の一人に声を掛けようとして、
――伸ばした視線の先、瞬きのうちに景色が一変した。
夜の闇にその殆どを占められた古びた町の只中に立つ己を認め、けれどさゆるは静かな息をひとつだけ零す。
異変に動じぬ冷静なまなざしを周囲に向ける。頼りなげな提灯の光がところどころに揺れるばかりの砂利の道を、人ではないナニカが怯えた様子で逃げ惑うている。
彼らを追うものが何であるのか見定めるべく夜闇に瞳を凝らして、細長い手足と膨れた腹持つ、長身持て余したように鈍い動き見せる影を見た。口元には鋭い牙、闇に輝く凶暴そうな金色の目、三本しかない指には剛い爪。背の高いそれは、御伽噺に出て来る鬼に思えた。
その鬼と、目が合う。
金色の瞳が獲物を定めた嫌らしい笑みに歪む。
己に向け、長い腕が伸びる。細長い足が迷うことなく自らに向けられる。金の眼に視線と身動きを絡め取られ、動きと息を封じられている間に鬼が間近に迫る。長い手が夜空に振り上がる。振り下ろされるその寸前、さゆるは動きを取り戻す。己を叩き潰そうとするが如く打ち下ろされた大きな掌を、ほとんど転がるように地面を跳び退って避ける。
砂利に擦れた膝からストッキングが伝線する。地を蹴って立ち上がる。高鬼に背を向ける。見知らぬ怪しい町を駆け出す。
(鬼ごっこね)
あれに捕らわれてしまえばどうなるのか、それは分からなかったが、面白くないことになりそうなのは間違い無い。
それでも、逃げるさゆるの紅い唇には破滅願望じみた危うい笑みが滲む。
「秋の夜長のヒマつぶしにしては、」
逃げる背に、己をつけ狙う鬼の視線が突き刺さる。
「いささかスリリングだわ」
唇には気儘な笑みを、
(どこまで逃げられるかはわからないけれど、時間つぶしにはなる)
心には己の身さえ捨て得る冷淡な思いを。
駆ける。背後に迫る鬼の足音を耳にしつつ、己が走るにも鬼を相手にするにも広すぎる大通りを嫌い、目についた手近な小路の暗がりに飛び込む。
鬼の素早い手の動きは厄介だが、あの図体と鈍重さならば、己の瞬発力と反応速度で対抗できるはずと読む。逃足の早さにもそれなりに自信がある。
夜闇を震わせ鬼が吠える。
足元を長い黒髪乱した女が四つん這いで駆け抜ける。濡れた髪の隙間から怯えた瞳を覗かせ必死の形相で背後の鬼から逃げ惑う女に、思わず足取りが狂う。もつれて遅れる己が背を、怒れる鬼の滅茶苦茶に振り回す腕のおこした風が叩く。
腕の長さと早さは矢張り尋常ではない。よろめきつつも、どうにか体勢を立て直す。肩越しに振り返り、鬼と己の距離を確かめる。可能な限り、あの長い手の範囲外に位置取らなければなるまい。
道を挟む平屋の壁に動きを阻害され、鬼の動きが尚更鈍くなる。呪いの言葉じみた呻き声を上げ、鬼が腕を振り回す。樹と土で作られた壁が湿った音を立てて砕ける。
小路を先に進む四つん這いの女の後を追うかたちで再び走る。
視界を覆っていた暗闇が不意に光と取って代わる。眩む瞳を細めて見れば、小路を出た先には大路。大路の入りには、野立て傘と長椅子が並ぶ、そこは人気の無い茶屋。闇に怯えるかのように、長椅子の上には明々と光点した灯篭が数多置かれている。
灯篭の火が揺れる度に淡い色の影がちらちらと踊る広い路に気を取られることなく素早く駆け抜ける。目についた小路に飛び込み、固く戸を閉ざした家屋の壁に背を預ける。駆け詰めで乱れた息を整えようと胸を押さえて屋根の隙間に覗く夜空を仰いで、
――目が合った。
屋根の上から己を覗き込む金色の目に思考が凍る。夜空を覆い隠して、鋭い爪持つ手が降って来る。
額に触れた冷たさはあの日全身を濡らした海の冷たさに似ていて、視界を埋める暗さはあの日の重い雲の色に似ていて、さゆるは十歳のあの日と同じ哀しい吐息を落とす。
あの日も、ひとりだった。
今は亡き両親は多忙でほとんど家に居らず、あの日もいつものようにいつもの堤防で遊んでいて、ふとした瞬間に吹いた強い海風に、母に買って貰った帽子をさらわれた。悲鳴を上げて追い駆ける間に、帽子は海に落ちた。冷たい海に飛び込んでも、手は帽子に触れられもしなかった。
遠ざかって波間に消え行く大切なものが子供心にとても悲しくて泣いて、――
「……え?」
頬を一筋伝う冷たい雫が何なのかも分からず、さゆるは細い首を傾げる。瞬く乾いた瞳に映るのは、重たげに体を揺すって遠ざかる鬼の姿。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年01月21日
参加申し込みの期限
2015年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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