【体育祭】白黒つける、玉入れニャン！｜リアクション

【体育祭】白黒つける、玉入れニャン！

　グラウンドに玉入れの道具が実行委員の手で運び込まれる。
「そろそろ私も移動しないといけないようですね」
　優菜は少し残ったビラを足元の箱に入れた。
「あの～、まだ玉入れの競技に間に合いますかぁ？」
「大丈夫ですよ」
　声の方に向くとおかっぱ頭の岡野丸美が立っていた。下がった目尻で微笑んでいるように見える。
「どちらの組で参加しますか」
「そうだねぇ。どっちでもいいかなぁ」
「勝負事ですよ。勝たせたい組に入るのが筋というものです」
　力説する優菜に丸美は照れたように笑う。
「私が入ったくらいで勝負に影響は出ないよぉ。皆と一緒に楽しめたらいいかな～、って感じの参加だから」
「そうですか。では、白猫組で参加してください。人数が少ないので」
「いいですよぉ～」
「ルールなので猫耳カチューシャを付けてください」
　手渡したあと、優菜は自身の頭の物を外した。丸美と同じ白い猫耳カチューシャに付け替えた。
「私も白猫組で参加します」
「一緒だねぇ、よろしくお願いしまーす」
　白い耳を付けた丸美は蕩けて落ちそうな目で笑った。まじまじと見ていた優菜は何かに気付いて両手を合わせた。
「あなた、どことなくタヌキに似ていますね」
　悪口にも取られ兼ねない発言に丸美は頬に両手を当てた。赤らんだ顔を左右に揺する。
「そんなに私、可愛くないですよぉ。困っちゃうな～。そんなこと、急に言われるとぉ」
「あなたも面白い人ですね」
「そうですかぁ」
「そうですよ。白猫組を勝たせる為に頑張りましょう！」
　おー、と丸美は笑顔で答えた。