【体育祭】熱闘！　寝子高伝統の騎馬戦！｜リアクション

【体育祭】熱闘！　寝子高伝統の騎馬戦！

　この戦いはハチマキを取るだけでなく、騎手を落馬させれば大量得点のチャンスが伺える。
　故に落馬にこだわる騎馬も少なからず存在する。
　この【一騎当千】チームもそんな落馬狙いの騎馬だ。
「そーいえば、寝子高の騎馬戦って男女混合なんですねー」
　騎手の屋敷野梢が物珍しそうに周囲の騎馬の様子を眺めた。
「流石に騎手は白黒両方とも女子ですね。フジコ先生と同系統のゴリラが騎乗していたら真っ先にぶっ潰そーと思ってましたが」
　チッと笑顔で屋敷野は舌打ちした。
「……ですが、まぁ……あの騎馬は不憫ですねー……」
　同じ黒猫組チーム、なぜか完全女装の騎馬が異様なオーラを放っていた。
　それを見た屋敷野は目を逸らして見なかったことにした。
「あ、ゴリラは私たちのチームにもいましたねー」
「あら、梢ちゃんったらヒドイわぁ？　ま、あの戦いで息ぴったりだったあたしたちのパワーを見せてやりましょう？」

　ゴリラと呼ばれた尾鎌蛇那伊はしなを作ってウィンク。
　妙に様になっていた。
「体育祭の最終競技だし、一発逆転も狙えそうね。……血沸き肉踊るわ」
　スゥゥゥーッハァァァーッやらコオオォォォ……とやらの独特の呼吸法で気を練って戦闘モードへ移行する尾鎌。
「全力で勝ちに行きたいよな」

　御剣刀も言葉少なにその意気込みを語る。
　――ところで、そのＴシャツのセンスはツッコミ待ちなんだろうか？
　チームメンバーは敢えてスルーを決め込んだようだ。
「……白猫組、には……兄貴には、絶対、負けたく……ない！」

　志波拓郎の兄、武道は白猫組の騎馬で出撃する。
　負けん気の強い拓郎は、必ず活躍して黒猫組を勝利させたいと強く願っている。
「ナイトウォーカー先輩……、誘って、くれて……ありがとうございます。皆さん、よろしくお願いします……！」
「こちらこそ頼む、志波。良い目だな、勝ちにこだわる強い意思を感じる目だ。一緒に勝ちに行こうぜ」

　この騎馬を取りまとめたシグレ・ナイトウォーカーが力強く頷いた。
「チーム名に恥じない活躍をしようじゃないか。紳士たるもの、パーフェクトにいこう」
「紳士ですかー……、志波君は確かに紳士ですねー」
　屋敷野が御剣と尾鎌の顔を交互に見遣った。
「あら、あたしも紳士よ？」
「俺は紳士だ！」
　２人は同時に答えた。
　何か言いたげな屋敷野だが、それは飲み込むことにした。
「……まぁ、いいでしょー。尾鎌君は先頭お任せしまーす！」
「お安い御用よ、金的事故対策にファールカップは着用してるんだから。こういう備えは肝心よね」
　紳士的装備よ、と尾鎌はさらりと言ってのけた。
「御剣君はお尻は触らないでくださいよ！？」
「お尻は触らないよ！　というか何故、俺への指示がピンポイントでそこなんだ？」
　解せぬ、と自らの業の深さを実感する御剣であった。