【体育祭】熱闘！　寝子高伝統の騎馬戦！｜リアクション

【体育祭】熱闘！　寝子高伝統の騎馬戦！

　そんな事情を全く知らないで、辺りを興味深げに見回すチャラ男が１人。
（画像はイメージです）

「なんだかどこも気合が入ってるね！　よぉ～し♪　小麗ちゃん、春彦君、彰尋君。一緒に頑張ろうぜぇ～♪」
　陽気なホスト部部長、八城昌也がメンバーとハイタッチを交わした。
「ホストとして騎手の小麗ちゃんを勝利へとエスコートしないとね♪」
「昌也よろしくなのだ！　春彦も彰尋も頑張ろうなのだ！」
　小柄な体に有り余る元気を爆発させる李小麗が飛び跳ねてハイタッチ！

「みんなで騎馬戦なのだ、がんばるのだー！」
　楢木春彦も闘志を滾らせながらハイタッチ。
「ああ、とうとう騎馬戦がやってきたな！　絶対勝つぞーっ！　白猫には負けねぇっ」
　メンバーの中で一番熱く燃えていた。
　それもそのはず、先ほど友人の呉井陽太との会話で……。

「借り物競走の雪辱は晴らさせてもらうよぅ？」
　と、呉井から挑戦状を叩き付けられていたのだ。
　楢木も売り言葉に買い言葉で、
「返り討ちにしてやるからなっ！」
　とライバル宣言をしたばかりだ。
「小麗を護るのは必須だろ。それに敵の鉢巻も奪わねぇとな。俺たちが一体になって頑張ろうぜ！　な、鴻上！」
「そうだな……。俺は誘ってもらっただけでもすごく嬉しいけど、やるからには黒猫組が勝てるよう、できる限り積極的にハチマキを取りにいきたいな」
　体育祭準備期間中、メンバー募集をしていた鴻上彰尋を李たちが誘った。
　そして作戦を一緒に立てている時間や練習など、一緒に何かを過ごすことが鴻上にとって非常に有意義な時間であった。
　生来の負けず嫌い（本人は短所だと捉えているが）もあって、何があっても負けたくないと固く決めている。

「李さん、八城さん、楢木さん……、誘ってくれたみんなには感謝している。精一杯頑張って勝とう！」
　やる気に満ちた鴻上もハイタッチを交わした。
「春彦の考えた作戦があれば大丈夫なのだ！　チーム【肉まん】、えいえいおーなのだ！」
「「えいえいおー！」」
　青春の爽やかな１コマがそこにあった。

　　そして、後木真央、桜崎巴、響タルト、森蓮、八神修の５人組のチーム【練】もスタンバイ完了。
　今までの特訓の成果を披露する時が来たのだ。
「ねぇねぇ！　お揃いのワッペン作ってきたんだ！　練の字と猫のシルエットをあしらってみたよ」
　響がチームメンバーに手作りワッペンを手渡した。
「これがタルトちゃんデザインのチームワッペンなのだ？　かわゆすなのだ～♪」
　猫好きの後木、やる気が俄然湧いてきた。

「うん、これはいい出来だ」
　八神は緊張がほぐれたようで表情が柔らかくなった。
　桜崎も満更でもない様子。
「ありがとうございます、タルトさん。一致団結して参りましょう」
　森がワッペンを袖口に付けながら感謝の意を述べた。
「そういえば、競技途中で体育科の先生たちがボーナスキャラとして登場するそうです。騎手はまゆ先生だとか」
　誰もが小柄の相原まゆ先生が繰り出すスピーディな攻撃を予測した。
　と、ここで森が口角をくいっと釣り上げて閻魔めいた雰囲気を発し始めた。
「下克上は混沌の極みです。我々でまゆを地べたに這わせましょう」
　いつもの森では考えられないような攻撃的な発言に、一同は絶句してしまう。
「……森君って、いざ戦うとなると性格変わるんだ？」
　響はワイルドな森を物珍しそうに見詰めていた。