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満月の夜に
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足元にはふうわりとした燈籠の光、頭上には澄み渡る満月の光。
(彩葉さん、今日も可愛い……)
展望台に続く登山道をのんびりと歩きながら、
志波 拓郎
ははしゃいだ足取りで半歩先を行く
高梨 彩葉
をそっと見遣る。
中秋の名月の今日だけ、展望台への道が燈籠の光に飾られることを知って、
――展望台、燈籠が綺麗らしい……一緒に、行こう
――ふっふー、お月見デートだね!
照れながらではあるけれど、何とかデートに誘うことが出来て、本当に良かった。
手を伸ばせば触れられる近くを歩いてくれる『彼女』の姿に、拓郎は心底そう思う。
うなじで結った長い栗色の髪に月の光が跳ねて踊る。肩越しに振り返って笑う柔らかな眼の深い蒼が月明かり集めて鮮やかな空の色に透ける。
「お月さまも燈籠も綺麗だね」
スカートの裾をひらり翻し、彩葉が体ごと拓郎を振り返る。そのまま後ろ歩きする彼女のすらりとした足を、以前贈った猫のワンポイント付のストッキングが包んでいることに気付いて、思わず頬が熱を持つほど凄く嬉しくなる。
「……拓郎?」
燈籠の光を横顔に受けた彩葉に顔を覗き込まれ、思いがけず真直ぐに眼と眼が合った。恋人から眼を逸らすに逸らせず、拓郎は息を呑み込む。
彩葉が可愛かった。どうしたらいいのか分からなくなるくらい可愛らしかった。
贈り物を身に着けてくれていることへの礼も口に出せず、ただ見惚れることしか出来ない拓郎に、
「……なんかはしゃいでるのが私だけみたい」
彩葉は呟いて瞳を伏せる。お月見デートが嬉しくて楽しくて、ついたくさん喋ってしまっていたけれど、普段から無口な彼氏は何だか上の空。こちらの話も聞いてなさそうに見える。口数もいつにも増して少ない。
彩葉はちょっと拗ねた。恋人に背中を向ける。
「ごッ、ごめん、……楽しくないわけじゃ、ない、から」
「あれ?」
燈籠の道から外れた山の中、ふわり、月と同じ色して光るススキを見つけた。
「なんだろう。ススキが光ってる」
拗ねていたことも一瞬忘れ、彩葉は拓郎の服の袖を引く。
「ススキ?」
拓郎は彩葉しか見ていなかった眼を彩葉の示す方へ向けて、
「って、ここドコ!?」
ぎくり、身を固くする。
燈籠のかたちした物はあるものの、登山道を照らしていた淡い光は全て消えている。
登山道のあちこちに見えていた人の姿も全て見えず、ただ、頭上の月だけが異様に大きく見える。
「これ絶対神魂の仕業だよね、そうだよね」
「そう、……だと思う、ぞ」
彩葉の言葉に頷いて、背後に近づく足音と荒い呼吸音に気付いた。拓郎は反射的に彩葉の手を握る。背に庇うように引き寄せながら振り返る。
「な、なにあれ」
驚きに震える彩葉の声を背に、拓郎は月明かりだけの山道を駆け登ってくる黒い毛皮纏ったものを見る。背格好は人のかたち、けれど全身を包むは狼の強い毛。炯々と光る金色の瞳に宿るは憎悪にも似た凶暴な光。口元には容易く骨まで断ちそうな鋭い牙と赤い舌。
「逃げなきゃ!」
「拓郎、逃げよう!」
二人の言葉が重なる。
握り締めた彩葉の手を引き、拓郎は山頂に続く坂道を駆ける。明るい月の光に照らし出された山頂に見える展望台は、見たところ動くものの影は見えない。
狼男から逃れるべく、陸上部で鍛え上げた脚力で以って疾走する。
「っ、拓郎……!」
手を引かれ、懸命に走る彩葉が掠れた声をあげる。拓郎の足の速さに合わせられない。追いつけない。足がもつれる。転びかける体で、彩葉は先を行く恋人を巻き込むまいと繋いだ手を振り払う。一人、地面に倒れる。
「あっ!?」
「拓郎、先に逃げて!」
慌てて振り返る拓郎に、地に倒れこんだまま叫んで、
「ヤダ」
僅かの間もなくきっぱりと断られた。起き上がろうともがく体に拓郎の手が触れる。躊躇いなくお姫様抱っこのかたちに抱き上げられ、彩葉は驚きと恥ずかしさに言葉を失う。
再び力強く駆け出す恋人の、せめても邪魔にならぬよう、彩葉は拓郎の逞しい胸にしがみつく。
彩葉の肩と膝を抱えて坂道を駆けつつ、拓郎は背後に視線を流す。執念深く追い縋る狼男の目が月明かりに金色に光る。
(ずっと追ってきそうだ……)
夏の七夕では、彩葉の前で無様な姿を晒してしまったことを思い出す。あの時は気絶して彩葉を助けられなかった。同じ轍は踏みたくない。
逃げてばかりではいけない。
(意地だなこれは)
逃げる足を止める。息を整え、不審げな彩葉をそっと立たせる。
「……闘う」
「無茶だよ!」
拓郎から静かに告げられ、彩葉は思わず悲鳴じみて叫ぶ。このまま展望台まで逃げよう、と拓郎の手を取りかけて、その瞳に強い意志を感じ取った。掴みかけた拓郎の手を離す。
(男の子の意地、だね)
彼氏の決意を阻んではならない。ならば彼女として出来るのは、
「絶対に勝ってよ、負けたら承知しないから」
祈るように声援を送ること。敵に立ち向かう彼氏の背中を見つめること。
彩葉の応援を受け、拓郎は猛り狂い迫る狼男と向き合う。身に宿るろっこんを発現させるために両手で頬を打つ。
(ろっこん上乗せのタックルなら……)
地を蹴る。全力で駆ける。今度こそ、
「俺は彩葉さんを守るんだ!」
裂帛の気合と共、牙を剥いて吠える狼男の寸前で踏み切る。強い毛皮に覆われた身の唯一柔らかそうな喉元を狙い、突き上げるように体当たりする。
強靭な体同士が激しくぶつかり合う。衝撃に呻く狼男の声を聞いたと思った瞬間、狼男と拓郎はもつれあうように地面に叩き付けられた。坂道を転がり落ちる。
「拓郎!」
「……っ!」
彩葉の悲鳴を耳に、拓郎は勢いよく身を起こす。体の下には、泡を吹いて眼を回す、泥まみれ傷だらけの狼男。
彩葉の元に戻るためすぐさま立ち上がり駆け出して、気付く。あれだけ激しくぶつかりあった上に砂利だらけの道を転って、服は破れて裂けているのに体には傷ひとつ負っていない。
(……あれ?)
「拓郎、大丈夫? 怪我は?」
「大丈夫、どこも痛く、……ない」
飛びついて来る彩葉を胸に受け止め、拓郎は首を傾げる。ろっこんの力を得て跳んだその時だけ、体が恐ろしく頑丈になったように思えた。衝撃や傷に堪える力を纏うたように思えた。
「……行こう、彩葉さん」
ろっこんの進化を悟りながら、今は彩葉の手をそっと取る。山頂の展望台を目指して足早に歩き始める。
息を切らせる彩葉を気遣いながら、月明かりを頼りに坂道を登る。倒した狼男が起き上がり再び追いかけてこないか、別の何かが左右の森の暗闇から飛び出してこないか。警戒しつつも懸命に山道を登りきり、異様に大きく鋭い光放つ月を背負う展望台の下に足を踏み入れた瞬間、
「……あれ?」
「戻れた、かな?」
周囲を包む不穏な空気が一変した。
月の光が和らいでいる。
振り返った道に燈籠の光が満ちている。
展望台にも、山道にも、そこかしこに和やかな雰囲気で月見を楽しむ人々の姿がある。
無事に戻れたフツウの世界の前で、彩葉は震える息を吐き出て、必死に逃げているうちは忘れていた恐怖を思い出した。拓郎の手を握ったまま、その場にぺたり、へたりこむ。
「彩葉さん」
慌てて傍らに膝をつく拓郎を見上げる。応えようと唇を開いて、視界が溢れる涙に滲んだ。体が震えてどうしようもなくなる。自分で自分を抑え切れず、どうしようもなく拓郎の胸に縋りつく。
「怖かった、」
胸を震わせる恐怖を吐き出した途端、涙が止まらなくなった。
「怖かったよぉ……!」
「……っ、え、うわ、」
抱きついてくる恋人の体を受け止めつつも、朴訥な少年は抱きしめるに抱きしめられず、恋人の柔らかな肩と背中の辺りで両手をあわあわさせる。ただ頬を赤くする。助けを求めるように月を仰ぐ。
恋人の温もりに強張る体から力を抜こうと、一度深呼吸する。
ともかくも、戻れた。戻って来れた。
深呼吸は安堵の息になる。
「……怖いのは、月を見て忘れよう?」
泣き喚く彩葉の頭を片手でぽふぽふと優しく撫でる。胸の中、彩葉が小さく頷く。何とか落ちついた顔を上げてくれたのが嬉しくて、
「ね」
拓郎は照れと安堵の混ざった笑みを浮かべる。
拓郎の胸から離れ、彩葉は顔の涙を服の袖で拭う。
「……泣いちゃった」
照れ笑いする恋人に、拓郎は手を伸ばす。手に手を取って、二人は立ち上がる。手を繋いで、展望台のてっぺんまで一緒に歩く。
ふたりで、月を見ながら。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月01日
参加申し込みの期限
2014年12月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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