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満月の夜に
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「皆、お疲れ様だ」
寝子島交響楽団に舞台を譲り、舞台裏を少し離れたエリカが明朗な声を仲間達に掛ける。
「お、おつかれさまでした!」
智が深く頭を下げる。そのままその場にうずくまってしまいそうになって、よいしょと渾身の力で体を起こす。
(なんだか疲れちゃったなぁ)
舞台に立って演奏に集中していれば、曲に入り込んで恥ずかしさや躊躇いは全部なくなってしまっていたけれど、終わってしまえば疲れが一気に襲いかかって来る。
「これからどうする? 私は暫く屋台を見て回ろうと思っているが……」
「みなさんと屋台に行きます!」
身支度を整えながらのエリカに、逢莉が駆け寄る勢いで近寄る。人懐っこい子犬のような仕種に、
「そうか」
エリカは鷹揚に頷いた。
「せっかくだし皆で、だな。暁桜もお疲れ様、よくがんばったな」
「はい!」
めいっぱいの笑顔で答えて、逢莉は舞台裏から外へと飛び出す。駆け出そうとして、ぴたり、足を止める。皆の前では元気な振りをしていようと思っていたのに、空元気は月明かりに掻き消されてしまった。暁の瞳を伏せる。
(間違えてしまいました)
舞台の上で音を外してしまったことに、小さな肩をしょんぼりと落とす。ぎゅっと瞳を閉ざして、小さな掌を拳にする。間違えてしまったことは本当に悔しい。まだまだたくさん、これから練習しなくては。これから先、またこんな機会を得たときに、今度こそ間違えないように。
でも、今は。
(……気をとりなおしてまいりませんとっ)
瞳を上げる。
(うつむいていたら迷子になってしまいます!)
落ち込みがちな心を鼓舞して、逢莉は白い頬を両手でぺちぺちと叩く。笑み浮かべた顔で、後からやってくる皆を振り返る。
「おこづかいはお祖母さまにヒミツでいっぱい持ってきました!」
「いいですね」
艶やかな黒髪を秋風に揺らし、皆と一緒に舞台裏を離れたサナリアナが優しい笑みで応じてくれる。
「暁桜さんは何が食べたいですか」
舞台で響き始める寝子島交響楽団の音楽を背に聞きながら、演奏を終えたNCCの面々は参道に並ぶ屋台へと歩き始める。
ヴァイオリンケースを片手に皆の後に続こうとして、日和は足を緩める。舞台から降りて初めて、肩が緊張に強張っていたことに気がついた。深呼吸して空の月を見上げる。閉じているだけで自然と笑みの形になる唇に、心底からの楽しげな笑みが浮かぶ。
緊張はしたけれど、やっぱり楽しかった。
(お父さん)
月の光に父を思う。
(音楽は順位だけがすべてじゃないと思うんだ)
そう伝えれば、栄誉のない音楽に意味などないと父は激怒するだろうか。この手からヴァイオリンを取り上げようとするだろうか。
(いつかそんな日が来ても、私は音楽を諦めない)
月に誓う。決意宿した瞳を地上に戻して、
「……あ」
いつのまにか舞台裏から居なくなっていた征一郎の姿を客席の端に見つけた。椅子には座らずに腕を組み、最高に不機嫌な顔で立っている。
(神嶋君、またあんなすみっこにいる……)
あまり人と接するのは苦手なのかなと前からずっと思っていた。孤高の人っぽくてカッコいいなとも思ったりもしていた。けれど。
「神嶋君!」
日和は孤高の人の前に思い切って立つ。出来る限り朗らかに声を掛けてみる。
険悪な表情を隠さずに見据えられても怖じず、征一郎の顔を覗き込む。
「一緒に屋台見て回ろう! それでプチ打ち上げをしよう!」
眉を寄せる征一郎に、嫌かな?、と問いかけて、悪戯っぽい笑みを零す。こんな時にはとっておきの呪文、
「『音色同盟』の可愛いお願い発動だ!」
己の『弱み』を知る者からのおどけたお願いに、征一郎は唇を僅かな笑みに歪める。
(少しは気が紛れる)
「リンゴあめに綿あめに、甘いものをいっぱい食べたいです!」
「ああ」
逢莉のはしゃぐ声やそれに応える響也の声を見送り、征一郎と日和はNCCの面々とは別の方向へ足を向ける。
「みなさん、お店は見えますか!」
参道の人混みに入り込み、逢莉は傍を歩く響也やサナリアナを見失うまいとひっきりなしに周りを見回す。藍色の髪がぱたぱたと揺れる。
「わたくしは背が低くてよく見えないです!」
「暁桜さん、手を繋ぎましょう」
ともすれば人波にのまれてしまいそうになる逢莉を見かね、サナリアナが手を伸ばす。
「ありがとうございます!」
その手に両手で掴まり、逢莉は嬉しい笑顔を浮かべる。
「綿あめ! 綿あめをいっしょに食べたいです!」
それから人形焼もリンゴあめも、とサナリアナの手を引いてわくわくと屋台に向かいながら、逢莉はちょっぴり晩ご飯の心配をする。
(晩ごはん、お腹に入るでしょうか)
それでも、
「暁桜、たこ焼き食べるか」
「月見団子もありますよ」
「はい、いただきます!」
屋台の食べ物を手にした響也と智に誘われれば、育ち盛りなお子様は元気な返事をする。跳ねる足取りで先輩達の傍に走る。
逢莉やNCCのメンバーに月見団子を一串ずつ渡して、智は月見団子の紙袋を手に周囲を見回す。先に立って歩くエリカを見つけ声を掛けようとして、
(……伊勢先輩)
声を呑む。凛と背中を伸ばし堂々とした態度のためか、身長よりも大きく見える背中を艶やかに滑り、歩む度に月の光を弾いて跳ねる銀色の髪の美しさに見惚れる。
智の凝視を背に受けて、エリカはふと不審げに意志の強い眉を寄せた。躊躇わず振り返って、視線の主と視線を衝突させる。
「って榛宮か」
不思議そうにちらりと首を傾げるエリカと数秒見詰め合って、
「ハッ?!」
(しまった、見惚れてた……?!)
智は漸く我に返った。
「ん……どうした、榛宮」
「あぁっ、いや、なんでもないです……!」
「……?」
まさか見惚れていたと素直に口にするわけにはいかず、
「月が綺麗ですねーなんて」
(ってそれだとそういう意味になっちゃう!?)
誤魔化し笑いを浮かべて口から滑り出た言葉に、余計に焦る。手にした月見団子をあわあわと持ち替え抱え直し、そう言えばこれがあったと思い出す。
「そ、それより、ほら、月見団子、一緒に食べませんか?」
「団子か……ああ、そうだな。いただこう」
「お、美味しそうじゃないですか! ね!」
団子を差し出す。矢継ぎ早に言いながら半ば押し付け、赤くなる頬を隠して自分の分の団子にかじりつく。
(あうぅ……変な事考えたせいで変に緊張しちゃった……)
秋風も冷たいのに頬を真っ赤にする智を見、智からもらった団子を見、エリカはまあ良いかと月を見上げる。月見に際して、そう言えば月見団子はまだ食べていなかった。
屋台の並ぶ石畳の参道の端に寄り、智や他の皆と並んで月を見ながら団子を食べる。こうして賑やかに仲間と過ごす満月の夜が嬉しくて、エリカは笑う。
「うむ。誰かと食べると美味いものだな」
「美味しいですよね」
エリカの傍らに立つ智が気弱な笑みをふうわり浮かべる。
「人形焼もどうぞです! サンマさん焼というものもありました!」
「ああ、ありがとう」
響也は逢莉が張り切って配るサンマさん型の人形焼を受け取り、お返しにと焼き栗を渡す。屋台を冷やかしながらのんびりと歩き始めるNCCの仲間の後に続く。月見の人々のざわめきが、蒼い色に満ちる夜空に上る。今も舞台で奏でられている音楽が、天高く、天の川のように夜に煌き流れて行く。
人波の中、遠く聞こえる音楽に髪を撫でられ、ふと立ち止まる。
響也が見上げれば、きらめく音楽の衣を纏った満月。
(やっぱり)
改めて思う。
(今日は月が綺麗だな)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月01日
参加申し込みの期限
2014年12月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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