想いが籠ったお弁当｜リアクション

想いが籠ったお弁当

　大きめの容器には海苔で巻かれた俵型のおにぎりが整然と収められていた。
「問題はおかずだな」

　御剣刀は出来上がったおにぎりを目にして言った。緩やかに息を吐いて瞼を閉じた。少し眉間に皺が寄る。徐に顔を上に向けた。
「……小山内と千歳の好きなおかずは――」
　呟いて腕を組んだ。妙案が頭の中に落ちてくるのを待つかのように静かな時を過ごす。
「そうだな」
　刀は目を開けた。冷蔵庫から抱えるようにして卵を取り出した。
「皆と一緒に食べれば何でも美味いよな」
　矢継ぎ早に卵を割ってボウルに入れた。箸で勢いよく掻き混ぜながら味を加える。心持ち甘さを強くした。
　そこで一旦、手が止まる。近くの鍋に水を張り、急いで火に掛けた。刀は冷蔵庫に引き返し、ほうれん草の束を掴み取る。
「茹でた物を巻いてみるか」
　思い付いた工夫に刀の口元が自然に綻んだ。