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想いが籠ったお弁当
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荷物の見張り番をしていた珪がケータイの時刻を目にして立ち上がる。
「皆、そろそろお弁当にしようか!」
近場にいた真央が逸早く反応して、賛成なのだー、と声を上げて走ってきた。
「底なしの体力に付き合って俺も腹がペコペコだ」
竜也は首を回すような動きで後に続く。
「綾花ちゃん、早く行こうよ」
「お弁当、楽しみです」
二人は手を繋いで軽やかに向かう。修はカメラの画面を見ながら歩いた。あおいと修が笑顔で写っていた。
「ありがとう、綾辻」
少し離れた場所で流木をスケッチしていた月詠が立ち上がる。
「楽しい昼食の始まりだね」
スケッチブックを閉じて歩き出した。
最後に蓮がリヤカーを引っ張ってきた。全員が集まると修は気掛かりな様子で口にした。
「食べる前に手をどうしようか」
「海で洗いましょうか」
蓮の言葉に修は、しかし、と暗い顔で答えた。
「修ちゃん、手のことは大丈夫なのだ。真央ちゃんが水を必要としない殺菌ジェルを持ってきたのだ」
真央は猫を模したリュックに手を突っ込んだ。ガサゴソと探して底の方からポンプ式の容器を引き抜いた。シートに座っていた理紗子が、あら、と声を漏らす。
「病院のロビーに置かれている物と同じね。ほぼ無臭で手荒れの心配もいらないから安心して使えるわよ」
「そうなのですか」
修の疑問を含んだ声に理紗子は頷いた。
「勤務先でいつも見ているから」
「医者なのですか」
「研修期間を終えたばかりの駆け出しの内科医よ」
理紗子は恥ずかしそうにして答えた。初対面にも関わらず、修は踏み込んで聞いた。
「医者の生活はどのようなものですか」
「とにかく忙しいわね。病院と家を往復する生活よ。帰ったとしても安心は出来ないわ。患者の容体で深夜出勤もよくあるし。ごめんなさい、暗い話になって」
「俺が無理に聞いたからです」
修は表情を切り替えた。殺菌ジェルで手を擦り合わせたあと、リュックサックから漆塗りのような光沢のある重箱を取り出した。
「俺も重箱なんだけど、量が凄いことになってないか」
竜也は各人が取り出した数々の容器を眺めて言った。
「私が持ってきたのはトマトとキュウリなので、先に皆さんに配っておきますね」
蓮はトマトとキュウリを一組にして配って回った。受け取った修は野菜の表面をじっと見て、真央に視線を向けた。
「真央ちゃんは蓮ちゃんの野菜の愛好者なのだ。食べ方はとても簡単なのだ」
キュウリを手に持つと、ジャージの袖口で軽く拭いた。磨かれて光る先端を白い歯で齧り付いた。
「こうやって豪快に食べればいいのだ」
説明を程々で切り上げて真央はリスのような速さで先端を齧る。膨らんだ頬で呆けたような表情を浮かべた。
「魅惑のキュウリなのだ~」
竜也はキュウリを掴んで、先端を噛み砕いた。咀嚼の途中で、これがキュウリの味なのか、と興奮した様子で言った。
皆がキュウリの味を褒めちぎる。蓮は驚きながらも心底の笑顔で、ありがとうございます、と嬉しそうに言った。
月詠はトマトを手にした。コートの袖で表面を拭くと、赤い丸みの一部を口に含んだ。劇的な変化を見せることなく、一個のトマトを平らげた。
「フルーツ並みの糖度と汁気の多さにびっくりだよ」
「月詠さんにも喜んでいただけて、私も嬉しいです」
「森に私のお弁当を分けてあげるよ」
「私は菜食主義なので気にしないでください」
遣り取りを見ていた修が声を上げた。
「取り皿を持ってきたので、よかったら使ってください」
白い小皿を重ねた物を人の手を介して回した。早速、月詠が蓮の皿におかずを乗せていった。
「菜食主義の森でも食べられる物を選んだよ」
「これならば私でも食べられます。ありがとうございます」
蓮は小皿を受け取った。星形のニンジンに色鮮やかなブロッコリー。プチトマトが横に添えられて、近くではリンゴのウサギが蹲る。
「卵焼きは無理なのだね」
「卵は食べられません」
蓮は力ない笑みで頭を下げた。真央は持参した透明な容器の蓋を立て続けに開けた。
「真央ちゃん自慢の手料理の明太子入り卵焼きも、パンの耳揚げ砂糖塗しも食べられないのだ?」
「おにぎりは大丈夫です。具は梅に限りますが」
「あるのだ、梅のおむすびがあるのだー」
真央は小さな身体で目一杯の喜びを表現した。はいなのだ、と笑顔で蓮に手渡した。
「俺の重箱も開けるか。おにぎりは塩と梅だから、森も食べられるよな」
竜也は重箱の中身が見えるように置き直した。
「これがあたしのお弁当よ」
あおいは四角いお弁当を中央に押し出して蓋を開けた。おにぎりやタコのウィンナーの他に綺麗に巻かれた卵焼きがあった。目にした綾花が顔を綻ばせた。
「教室で私が教えた卵焼きなのですか」
「そうよ。練習でだいぶ焦がしたけど、これは上手く出来てるよね」
「はい、とても綺麗に巻けています」
あおいの出来に喜びつつ、綾花は自身の弁当を見せた。バスケットを模した容器の中にはサンドイッチが詰め込まれていた。もう一方には猫の顔のおにぎりがラップに包まれていた。
あおいは猫の愛らしさに喜び、真央は興奮して飛び付いた。
「いいのだ? 貰ってもいいのだ? 真央ちゃんがお持ち帰りしてもいいのだ?」
「たくさん作りましたから、遠慮しないでください」
「やったーなのだ!」
猫のおにぎりに頬ずりしながら真央は元の位置に座り直す。
「その、わたしのお弁当は食べて貰うように作ってないので、どうなのかしら」
自信がなさそうな声で理紗子は一つの弁当箱を開いた。三色の俵のおにぎりが目を引く。タコウィンナーとサラダは隙間を埋めるように収まっていた。
竜也はざっと弁当を眺めて言った。
「俺の作ったきんぴらごぼうは被ってなかったようだな」
「まだ修君の重箱があるわよ」
あおいが修に笑みを向ける。そうなのだー、と真央が身を乗り出した。
「俺のは、あれだ。秋をテーマにした懐石風の和重だよ」
「八神、板長を目指しているのだね」
月詠の言葉に珪は生真面目に、そうなのかい、と聞いてきた。
「いや、そんなつもりはなくて、ですね」
返答に困りながら修は中身を見せた。その場の全員が腰を浮かした。料亭みたい、とあおいが溜息にも似た声を漏らす。
格子状に別れた中に煌びやかな器が収められ、八寸のような作りの逸品が繊細な色合いで秋の風情を醸し出していた。
月詠は一目で頷くと修の方に向き直る。
「八神、板長の就任、おめでとう」
「この和重は、うちのシェフが作ったんだよ。まさか、全員が手作り弁当でくるとは思わなかったんだ」
「まあ、気にすることはないよ。僕なんか、手ぶらだからね。それではいただこうか」
珪が手を合わせると、全員がそれに倣う。
「いただきます」
それぞれが思いを込めて復唱した。個々の弁当は寄り集まって一つとなり、賑やかな昼食が始まった。
その中、真央は猫の顔のおにぎりを見つめている。気になった綾花が声を掛けた。
「真央ちゃん、食べないのですか」
「食べたら無くなってしまうのだ。美味しそうなのに食べられないのだ~」
「カメラで写して食べればいいだろう」
新聞部
の部長らしく、修はきっぱりと言った。そうなのだー、とインスタントカメラを持ち出した真央は愛らしさを次々と一枚の写真に封じ込めていった。
「美味しいのだ。これでお腹いっぱい食べられるのだ」
ご飯ものが集中して少し喉を詰まらせる。真央はランチジャーから汁物を取り出した。蓋を開けて一気に半分を啜ったところで目をキョロキョロとさせた。
「具だくさんの豚汁風の味噌汁を皆にも持ってきたかったのだ。でも、美味しい状態を維持したまま、持ってくる方法がわからなくて自分だけにしたのだ。ごめんなのだ~」
「真央さんは優しいですね」
蓮は小皿のブロッコリーを食べて、美味しいです、と笑みを零した。
「そうなのだ。温かい味噌汁は無理でも冷たい水でうす茶糖やうす茶あられは作れるのだ。インスタントコーヒーには練乳もあるのだ。箸休めにはこのタクワンがいいのだ」
「緑茶は私も持ってきたのだよ」
月詠は水筒を掲げて見せた。珪はサンドイッチを手にして、助かるよ、と笑みを浮かべて言った。
「よく見たら、このサンドイッチには白猫がいるね」
珪は優しい眼差しを綾花に向けた。
「……パンを焼く時に猫型の銀紙を乗せてみました」
「それに味もいいね。見た目だけではなくて味のバランスが取れている。とても美味しいよ」
綾花は熟れた果実の顔で、嬉しいです、と小さな声を出した。良かったね、とあおいに耳元で囁かれ、ただ大きく頷いた。
「でも、綾花ちゃん。よく思い付いたね。私も食べていいかな」
「……あ、はい。私はあおいちゃんの卵焼きを食べてみたいです」
いいよ、とあおいは気軽に返す。
「俺もいいかな」
早口の修には、もちろん、と笑顔を見せた。
修は卵焼きを小皿に乗せた。微妙に震える箸先で切り分ける。小さな一口を口に含むと、美味い、と一言を発した。
「修君、演技してるみたいに見えるよ」
「いや、本当に美味いよ! 前の試食会の時の美味しさを超える味だよ」
「大勢で食べると美味しくなるのかもね」
あおいは照れ隠しに片目を閉じた。修は夢心地な表情で呟く。
「あおいの手料理が毎日、食べられたら幸せだろうなあ……」
「プロポーズの言葉に聞こえるよ」
月詠の言葉に修の挙動が怪しくなる。唐突に乾いた笑い声を上げると、意味もなく前髪を手で掻き上げた。
「それくらい美味いという、一つの表現ってことでよろしく!」
「顔が真っ赤だね。私の持ってきた冷たいものをあげるよ」
月詠は水筒を渡した。蓋を開けると吸い口があった。直でいいよ、という勧めに乗って修は咥えた状態で水筒を傾けた。瞬間、軽く咳き込んで口を離す。
「……これは飲み物なのか」
修は口を動かしながら月詠に聞いた。
「いつから杏仁豆腐は飲み物になったのだね」
「これは水筒だよな」
「その通りだね。水筒に入った冷たい杏仁豆腐なのだよ」
聞いていた竜也は噴き出しそうになって口を押える。毒気を抜かれた修は苦笑した。
「いや、悪い。話が微妙にずれてたのが妙におかしくてな」
「それはどうも。唐揚げを貰ってもいいかな」
淡々とした月詠に竜也は、ああ、と短く返した。少し緊張した面持ちで食べる姿を見守った。
「少ない油がいいね。冷えても美味しく食べられるポイントだよ」
「お、わかるのか」
「私なりの見解だよ。油もそうだけど、食べ物を傷まないようにする為に水分を減らすことも大事だね。梅干しや酢、醤油にも殺菌効果がある。海苔やおかかは余分な水気を吸い取ってくれるよ」
竜也は感心した様子で、なるほど、と口にした。
「あとは湯気が出なくなるまで冷ますことだね。早くに蓋を締めると、それだけで台無しになるよ」
「それ、わかるよ。俺も失敗したことがある」
「なんか、いいわね。皆さんの個性が輝いていて、今のわたしには眩しいわ」
理紗子は目を細めた。
「医者は誰もがなれる職業ではない。今の俺にはあなたも十分に眩しい存在ですよ」
修の言葉に理紗子は、ありがとう、と素直に返した。柔和な顔が一層の優しさで若々しく見える。
全員が分け隔てなく接して仲間と思える時間を過ごした。
食後は一変して撮影会となった。主に修が仕切って全員をカメラに収めた。真央はインスタントカメラの写真を、その場で配る。
「そろそろ帰りましょうか」
珪の呼び掛けで全員が移動を始めた。
リヤカーは竜也が引いた。空になった荷台には真央が乗り込んで、眠いのだ~、と目を擦る。蓮は帰り道を楽しむかのように明るい表情で歩いた。
「今日は楽しかったわ」
そんな言葉を残して理紗子は帰っていった。
修も途中まで皆と歩いた。車の迎えはあおいと綾花にやんわりと断られた。ピクニックの余韻を楽しみたいという話に修も納得した。
月詠は気付いた時にはいなかった。気ままな旅を再開したのかもしれない。
その頃、藤吾と杏子は寝子電の車内で揺られていた。星ヶ丘駅を出発して間もなく、杏子は眠りに就いた。肩に掛かる頭の重みを感じながら藤吾は後ろの窓に目を向ける。
海が太陽の光を浴びていつも以上に輝いて見えた。何気なく、少女の顔に目を落とす。
「そんな日もある」
藤吾は再び海に目を向けた。
机の上にはプリントされた写真が飾られていた。修とあおいが笑顔で写っている。その横には三人の写真も添えられた。修が三枚目の姿で写っていた。
「悪くはないな」
部屋の明かりを消して修は長い一日を終えた。
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あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
今回はリアクションを書いているだけでお腹が減る話になりました、はい。
真面目に手作りをする人がほとんどで、その作り方にも熱意を感じました。
卵(玉子)焼き、タコウィンナー、唐揚げは強力なおかずトリオで出番が多かったと思い返しています。
大まかな味の指針になる弁○は十段階ありましたが、弁一を指定する強者はいませんでした。
弁二の人はいました。リアクションの中で相方さんが楽しそうに苦しまれています。
今回はおかずの被りが多く、読み物としての面白さの為に泣く泣く削った部分がありました。
そのような場合は、どこかに何かしらの描写が加えられています(伝わればいいのですが)。
リアクションを無事に終えて私もどこかに出掛けたくなりました。
その時には早朝からお弁当を作って持っていくことになるでしょう。
シナリオに参加された皆様の、心とお腹が満たされるリアクションになっていれば幸いです。
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日常
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定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年10月26日
参加申し込みの期限
2014年11月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年11月02日 11時00分
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