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彼岸の門のその向こう
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迷い込んだ橋の上に立ち尽くし、黄昏の空を仰ぐ。刻々と暮れてゆくはずの夕空は、けれどいつまで経っても茜の色のまま。
伊予 祐
は空の朱を映した琥珀色の瞳を細める。
(常に逢魔時、か)
橋から視線を伸ばせば、山門の向こう、彼岸花色した木柵に囲われた古びた町を、ひととは違うもの達が賑やかに行き交っている。
(昔は妖怪になりたいって思ったもんさ)
己とかたちの違う彼らを遠目に眺め、祐は恐れを知らぬ風に微かに笑む。橋を渡りきろうと歩き出して、橋の半ばの欄干に腰掛けて酒をあおる猩々面の男と眼が合った。
「あれ猩々面さん、この前会わなかったっけ?」
軽い口調で話しかけて、ひらひらと手を振って返された。気のない返事にも明るく笑い、祐は門を潜る。奇妙な住人達の遊ぶ町へと向かう。
黒眼がちな美しい単眼持つ少女と擦れ違う。
二股に分かれた尻尾をしなやかに揺らし、黒猫が足元を掠めて追い抜く。
人外のもの達と擦れ違う度、反射的に凍る背筋の冷たささえ楽しんで、明るい金の瞳がわくわくと輝く。どうしてだろう、昏く明るいこの町で、懐かしい誰かに会える気がした。
山門近くで緑の葉を夕風に揺らす柳の大木の下に陣取り、二本足で立つ獣達が宴会を楽しんでいる。
木の碗に注がれる馥郁とした香りの酒。朴の葉には香ばしく炒られた木の実、青白い人魂が抱えて煮込む鍋には得体の知れない肉塊。
(うまそうだなあ)
宴会の輪を横目に過ぎて、その隣、敷物を広げてイモリの黒焼きに始まる見たことのない品を並べる露天商の前で足を止める。黒犬が店番する露店の傍らには、『薬』の看板。
黒犬の前には小さな瓶がズラリと並ぶ。『毒薬』『劇薬』『火薬』、物騒な品名に混じって、
「び、媚薬!?」
祐は商品の前にしゃがみこむ。
心に浮かぶは、美しい黒髪を持つ気になる女性。
買ってしまおうかと薬に掛けられた値札を見れば、『憎悪一年分』。ぎくりと並んだ品物を見回し、対価が時間と心であることを確かめ、危うく差し出すところだった己が心を守って片手で胸を押さえる。失くしたい過去など持っていない。
首を傾げる黒犬に頭を下げ、薬屋から撤退する。
砂利まじりの石畳の道を足早に歩きながら、思い出す。
(黄泉戸喫だっけ)
物品と引換に己が記憶を差し出さなければならないこの世界の仕組みと、あの世の食物を口にしてしまえばこの世に戻ることができなくなってしまうというその伝承は、少し似ている。
(だって記憶を取られたらその部分は帰れない)
黒髪の頭を左右に振って、大通りの入りに店を構える大店に視線を奪われた。甘やかな香のにおいが溢れるそこは、
「人屋?」
焼杉壁に黒瓦屋根、紅色千本格子のひどく目立つ店の入り口に掲げられた店名を呟き、首を傾げて、檻にも似た千本格子の向こうに幾人と座す女達の姿に気付く。
はだけた着物から薄紅色に染まった乳房や肩を覗かせ、女達は道行く人々を艶っぽく手招きする。
きらびやかに飾り立てた女達のうちに、艶やかな黒髪を腰まで垂らしたどこか儚げな雰囲気の少女。想い人と同じ長い黒髪に気を取られていて、うっかりと目が合った。
「……っ、」
髪だけでなく、顔かたちさえ、声や体さえも想い人とそっくり同じで、祐は思わず声を漏らす。
彼女の姿で、女が誘うように微笑む。白い頬だけでなくはだけた胸元まで薄紅に染め、細い手を格子の向こうから差し伸ばす。
くらり、まるで酔ったように目眩がした。
(少しだけなら)
ぼんやりと近寄り腕を伸ばして、
「責任者を呼びたまえ!」
人屋の入り口に仁王立ちして店の者を呼ばわる朗々とした少年の声に我に返った。
(いや、駄目だ!)
女のもとに行ってしまえば、己の内の何かを間違いなく失くしてしまう。己の一部が元の世界に戻れなくなってしまう。
差し伸ばした手を引き戻す。手に爪を立て、その鋭い痛みで気を保つ。
「ごめん」
俯いて瞳を逸らし、一言だけ告げてその場から逃げ出す。
(黄泉醜女の如く追っかけてきたりしないよな……?)
体に絡みつく女の匂いに思わず振り返りそうになって止める。
(橋から飛び降りて帰ろう)
未だ火照る体にどうしようもない罪悪感を抱きながら、人外のものが跋扈する町を全力で駆ける祐の背後、
「紳士としては見過ごせないな!」
八十八旗 信彦
は入り口から姿を現した狢姿の忘八親父に傲然と胸を張る。
「身請は可能かい?」
金なら幾らでも出そうと頼もしく胸を叩く。
信彦は紅の檻に閉じ込められた幾人もの美女達を流し目で見遣る。金色に染めた髪をかき上げ、救世主の笑みを浮かべる。
「今すぐここから出してあげるよ、レディ達」
一番近くで物憂げに煙管を吹かしていた女が紅をまぶした目元を妖艶に細める。煙管を挟む白い指の先の爪が人ならざるほどに鋭く尖っていようと、まろい肩を滑る妖しく輝く白銀の髪から飛び出た耳が獣の形をしていようと、淫らにはだけた着物の裾から幾つにも分かれた白銀の尻尾が覗いていようと、信彦は一切気にしない。
妖怪であろうと人外であろうと、レディはレディ。少々外見が違うからと言って扱いを変えたりしないのが紳士が紳士たる由縁。信彦が信彦たる由縁。
尻尾もケモミミも立派なアイデンティティじゃないか、と信彦は女達に熱い視線を送る。ここで紳士的に彼女達を助け出せば、超個性的な彼女達は間違いなくこの自分の虜となる。メロメロとなる。はず。
彼女達をナンパ、もとい紳士的にお近づきになれる為ならば、仲良くなる為ならば、金は惜しまない。
華やかな女達に囲まれる未来を思い描いて口元を緩ませて、ふと脳裏を過ぎるのは、勿論いつもいつだって心の真中に居る愛する彼女。それに勿論、自分にだって好みはあるけれど。
(レディには等しく愛を以て接するのが紳士ってものさ)
言葉が通じれば、心も通う。
心が通えば、愛も伝わる。
信念を固く胸に抱いて、愛の紳士は女達に満遍なく爽やかな笑顔を向ける。
「なんだテメェ」
「何だも何も、」
胸の高さでひょこひょこと揺れる親父の獣耳を見下ろす信彦の胸を、親父はけむくじゃらの前肢でどんと突く。
「うちの妓の髪一筋もテメェなんぞにやれるわきゃねェだろうが」
「そうまで言うなら」
女達を身請しようと躍起になるあまり、胸元に隠した無敵の印籠、高額貸付可能なクレジットカードを取り出そうとする信彦の手を狢の親父は前肢で掴む。濡れた獣の黒い鼻とつぶらな黒い眼を近づける。レディ達の手前、信彦が一歩も退かずに睨み返せば、狢の親父は透明な髭をひこひこ動かし悪い笑みを浮かべた。
「女が欲しいってェならあんたが大事に抱え込んでる記憶を出しゃァがれ」
「記憶、だと……?」
「そうさなァ、まずはここ何ヶ月か分の女達との逢引の約束全部と、――お、
若ェ女連中の身体情報
なんざ覚えてやがんのか、それも寄越せ」
「なッ……?!」
眉間に皺寄せる信彦の傍ら、一人の女郎に腕を抱かれる格好で、年若い黒髪の少年が擦りぬける。
「坊っちゃん、どうぞしっぽりお楽しみ下せぇ」
狢の親父に馴れ馴れしく肩を叩かれ、
来栖 棗
は不快気に黄金の瞳を顰める。普段なら邪険に振り払ってやるのにと思ったのは、女郎が豊かな胸を腕に押し付けてくるまでのほんの一瞬。
十二の少年は己と肩を寄せ合う女に投げやりな視線を向ける。
つい先程までは、妙な姿の者ばかりの町に立ち、戸惑うばかりだった。あの島で腐ってるよりはまだいいだろうと歩き出して、――紅格子の前、母親とよく似た女郎に袖を引かれ足を止めた。
茜、と母の名を呼び捨てて、人違いに気がついて、けれど、
(煙管の煙のせいだ、きっと)
母によく似た女郎に乞われるまま、女郎が纏う煙の匂いに朦朧と酔うたまま、人屋の看板掲げる店の敷居を跨ぐ。
土間に靴を脱ぎ捨てる。女に手を引かれ、障子に挟まれた薄暗い廊下を渡る。室内にあっても空気を満たすは黄昏の色。
どこからか流れ来る紫煙を胸に満たして、その甘過ぎる匂いに目眩が一層酷くなる。女が振り返り妖しく微笑む。甘えるようにしなだれかかられ、柔らかく熱い体を押し付けられてしまえば、
(この匂いのせいだ)
いくらそう否定してみても、勝手に体温が上がる。劣情がそそられる。
廊下の先、黄昏色の光揺れる灯篭の置かれた障子の前、女が足を止める。緩んだ着物の端から白い脛を覗かせ、女がその場に正座する。
思いがけぬ女の仕種と白い脛に、黄金の眼がぎくりと開く。反抗心に覆い隠した純情をうっかり曝け出して狼狽えて、女に気取られぬよう足を踏ん張る。女の濡れた瞳を睨むように見据えて、
「……っ、」
途端、いつか見た光景が瞼の裏を過ぎる。
見知らぬ男の前に裸を晒す母、
男に腕を伸ばししがみつく母、
男を受け入れ嬌声を上げる母、――
障子に掛けようとしていた手を引き戻す。女が不思議そうに伸ばす手を怯えた瞳で振り払う。紫煙を呑んだまま忘れていた息を思い切り吐き出し、母に似た女に背を向ける。振り返りもせずに廊下を駆け、外に飛び出す。物の怪溢れる町を、無茶苦茶に走る。
あのまま女に己を呑ませてしまえば、何か大事なものを失くしてしまう気がした。
(大事なもの)
例えば、今ではプロ級の腕前と自負するヨーヨーを始めたきっかけ。
幼い頃、初めて手にした安っぽいヨーヨーを思い出す。
母が縁日で買ってくれたちゃちな玩具を、遊び方も分からぬままに糸を絡ませた。だめね、と笑われ、上手になって見返したいと思った。褒めてもらいたいと思った。その一心でがむしゃらに練習して、
「ああ、くそ!」
ずっと忘れていた下らない記憶を、罵声と共に地面に叩きつける。頭から離れない女郎の媚態を叩き捨てようと地面を蹴る。苛々と黄金の瞳を上げて、その瞳に迷い込んだ路地の道をその巨大な腕骨で塞ぎ四つん這いでやってくる巨大な骸骨の物の怪を映す。
道を挟む平屋の屋根の高さから虚ろな眼で見下ろし、ガチガチと歯を鳴らして笑うがしゃどくろの姿に、棗は怯えもせずに不敵に歯を剥き出し笑う。
「憂さ晴らしにゃもってこいだ」
道の真中に仁王立ち、ヨーヨーを構える。
「来いよ、小骨にバラしてやる!」
挑発も兼ね、人の大きさほどもある骨の手に向けて円盤を投擲する。ろっこんの力を帯びたヨーヨーは黄昏の風を裂いて物の怪の手首にぶつかる。相手の悪意に応じて破壊力を増すヨーヨーは、けれど悪意無きがしゃどくろの固い骨に簡単に弾かれた。
舌打ちして手首を返す。手元に戻る円盤を握り締めて、瞬間、がしゃどくろが吠えた。
街道のど真ん中で唐突に始まった喧嘩をやんやの喝采で眺めていた物の怪の野次馬達が蜘蛛の子を散らすようにその場を逃げ出す。
「やろうぜ、オラァ!」
胸に渦巻く言葉にならぬ苛立ちをヨーヨーに込め、手首だけでなく身体全部を使って糸を操る。自在に動く円盤が敵意抱いて振り下ろされる腕骨を掻い潜る。髑髏の額を打ち砕く。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ★(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
SF・ファンタジー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年10月20日
参加申し込みの期限
2014年10月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年10月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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