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赤茶の髪の下、
篠崎 響也
は黒の眼を頭上を覆う梢へと仰がせる。光を浴びたことすら無さそうな、闇色の葉と捻じれた枝が重なり合う梢のずっと上には、星月さえ見えぬ漆黒の空。
薄墨を流したように暗い足元には、赤錆びたレールと苔さえ生えて古びた枕木。
視線を伸ばせば、トンネルの真っ暗な入り口がある。
「何ここ、不気味……」
背中に
最上 るるか
の柔らかな手が縋りつく。緊張しているのか、手がひどく冷たい。
「だよね、何ここ!? 暗いし薄気味悪いし怖いよー!?」
るるかの隣で
雨寺 凛
が賑やかな声で喚く。響也が肩越しに振り返れば、同窓生の少女二人は互いの手を固く握り締め、青褪めた顔で同行者唯一の男子を見仰いだ。
「凛、響也、絶対に離れないでね!」
るるかが凛の手をぎゅっと握り締める。不安に大きく開いた栗色の眼で周囲を見回す。湿った風に頬を撫でられ、びくりと細い肩を震わせる。響也の背中に縋りつく。
「ひとりにしたら怒るからね!」
子どもが怯えるように上ずった声で喚くるるかに、
「早かったか」
響也は無愛想に言って視線を前に戻す。背中に隠れるるるかの手はそのままに、女子二人と歩幅を合わせる。二人を庇う格好で前に立ち、線路を辿る。
「電車に乗ってただけなのに……!」
るるかの手を両手で握り、凛は艶やかな黒髪を震わせる。夏休みの楽しみのひとつだったライブに友達三人で行って、その帰りに電車に乗っただけだった。それだけだったのに、どうしてこんな不気味なところに迷い込んでしまったのだろう。
何気ない日常を過ごしているだけで、不意に違う世界に紛れ込んでしまう。
(寝子島らしいな)
常ならぬ異変に対してそう思うほど、響也は落神伝説の残る寝子島に馴染んでいる。
「やだ~何ここ!?」
響也の背中に隠れたまま、るるかは隣に並ぶ凛の手を引き寄せる。おばけとかホラーとか苦手なのに、と子猫のような丸い眼を泣き笑いに顰める。真っ暗なトンネルの中では、落武者のおばけが襲いかかって来るみたいだけれど、
(武器に出来そうなモノなんてフルート位っきゃないよ)
専用ケースに納めて肩から提げたフルートをちらりと見下ろす。これで殴れば、ちょっとくらいおばけを遠ざけられるだろうか。
一歩先を歩いていた響也が足を止める。細いけれど、それでもやっぱり男性的な固い背中にぶつけた鼻先を僅かに赤らめ、るるかは響也の背中越しに目前の闇を見上げる。
闇色の口を開けて、トンネルがある。
「三人で、トンネルを抜けるんだ。……元の世界へ帰るぞ」
煉瓦を重ねたトンネルを見据え、響也が宣言する。
「早くこんなとこ出よう!」
凛が怯えながらも力いっぱい頷き、
「ひとりにしないでね? 約束だよ?」
るるかが凛の手と響也の背中の服をぎゅっと握る。
響也を先頭に、トンネルの闇に向け歩み始める。暗闇に眼を凝らし、光のひとつも無いトンネルを貫く線路を進む。
少女二人を背に守りながら、響也はトンネル内に落ちている瓦礫や石を手に拾い集める。
「それ、どうするの?」
響也の背中に隠れた上でるるかと手を繋いで、小さな物音にも小動物のようにびくびくと体を震わせながら、凛は必死に震える足を前に進ませる。雑談で恐怖心を紛らわせようと瓦礫を拾う響也に話しかける。
「何かが出てきた時の対策の為だ」
響也は真直ぐに闇の先を見据える。
すぐ前から聞こえる響也の落ち着いた声に、るるかは小さな吐息を零す。視線を上げれば、真っ暗闇に響也の赤茶の髪に半ば覆われたうなじが見える。夏服の布地越し、薄い筋肉に覆われた肩が見える。
しがみついた響也の背中が冷えた掌に妙に熱く感じられて、るるかはふわり、頬を熱くする。
(こんな時だけど)
二人を背に庇って進んでくれる響也が格好良かった。
(おとぎばなしの騎士とお姫様みたい)
そう思えば、暗闇を進む恐怖を胸のときめきが凌駕した。けれどそれも一瞬。こちらを押し潰して来そうな闇の深さに、トンネルの天井に反響してどこから聞こえてくるかも分からない呻き声のような風の音に、恐怖がぶり返す。
繋いだ凛の手が震えていることに気付いて、るるかは自分と凛の恐怖心を誤魔化そうと口を開く。
「凛は夏休み帰省するの?」
「えっと、」
響也に倣い、線路近くに転がる棒切れを拾いながら、凛はるるかの声に黒の眼を上げる。
「夏休みは東京の実家に顔出す予定だよ……」
雑談に恐怖心を紛らわせようとしても、話す声はどうしても震える。自分の声に自分の恐怖を自覚しながら、それでも凛は話す。
「パパやママにこっちでも元気でやってること伝えないと……」
話しているうち、この場にいない両親に急に会いたくなってくる。パパもママも、今頃どうしているだろう。
(うう、無事に帰れるよね……?)
「あたしのうちは寝子島だからどうしようか迷ってるとこ」
俯く凛の手を励ますようにしっかりと握り、るるかは努めて明るい声でお喋りを続ける。
「響也はマンションだっけ」
肩越しに小さく頷く赤茶色の髪を仰ぎ、るるかは栗色の眼を瞬かせる。冗談めかして笑う。
「どんな部屋に住んでるか興味あるし、泊まりに行っても……」
どさくさに紛れておねだりをしようとした唇が色を失う。
響也が背後の二人を庇い、片腕を広げる。手にした石をきつく握る。
「いやあああっ!? こ、来ないでー!!」
凛がよく通る声をトンネル内に響かせ、手にしていた棒切れを闇雲に振り回す。
――闇の中、蒼白い火の玉を伴って、骸の武者達。
肉の腐れ落ちた白骨の身に鎧兜を纏い、血の色の錆を浮いた抜き身の刀を手に、命持つ者の命を狙い近寄ってくる。
「……っ、」
背にしがみつくるるかの手を外させ、響也は己が身に宿ったろっこんを使うと定める。瞬きの間だけ加速する全身を使い、手にした石を素早く幾つも投げる。
鋭く飛んだ石が落武者の頭を打つ。僅かに頭髪の残った頭蓋が飛び散る。砂利の地面に落ちた瓦礫が砕け散り、骸の兵達の脛当てや鎧に当たる。空っぽの音が響く。
速度はあるが、正確に狙った箇所に石を当てられはしないと相手方が気付くよりも先に、威嚇がただの威嚇と気取られず落武者達が怯んでいるうちに、
「移動するぞ」
響也は背後の二人に声を掛けて、
「……最上?」
暗闇に呆然と立ち尽くするるかを見止める。るるかの名を呼んで、その途端。
「きゃーっでたー!?」
るるかが声の限りに叫んだ。怯え切った顔でフルートの入ったケースを振り回す。
「最上!」
楽器を振り回するるかに響也は思わず声を荒げる。
(注意している状況じゃない)
それは分かっている。おばけが苦手だと言っていたから、怖がって混乱に陥っての行動だとも理解している。けれど、それでも、
「楽器はそういう風に扱うものじゃないだろ」
止めずにはいられなかった。るるかの腕を掴もうと手を伸ばす。
「い、……」
人魂の蒼白い炎を受けて、誰かの腕が伸びてくる。るるかは狂乱に陥った瞳を見開く。唯一の武器であるフルートを力の限り振り回す。
「いやーっ来ないでー!」
叫び、喚き、怖いものを見ないように瞳を閉ざす。地を蹴り駆け出す。
一人飛び出した獲物を狩る好機と落武者達がぎこちない動きで群がろうとするも、
「いやーっ! いーやーっっ!」
るるかの大暴走は止められない。骨で出来た骸骨兵を勢いよくぶん回したフルートケースで薙ぎ倒し、スカートの裾を際どく翻らせて蹴り倒し、ついでにひとつに三つ編みにした見事な赤毛ではたいて、無敵状態の女子高生は暗闇の中を突っ走る。
「最上!」
混乱のまま走り出するるかを追おうとした耳元を、空気を裂く音が弾いて過ぎる。それと同時、頬に鋭い痛みが走る。反射的に押さえて、ぬるり、手が血で濡れた。
顰めた視線の先、弓を構える落武者の姿が蒼白い光に浮かび上がる。
「響也くん! やだ、血……!」
「落ち着け、雨寺」
響也の手を汚す血を見、るるかに続いてパニックになりかける凛の手を、響也は血の付いたのとは別の手で掴む。凛を放っておくわけにはいかない。
るるかの姿を視線で追うも、暗闇に阻まれて捉えられない。
「最上を追う」
言いつつ、ろっこんを使って石や瓦礫を投げる。じりじりと壁際に移動する。
「早く見つけてあげないと……!」
「ああ」
短く答え、拳よりも大きな瓦礫をろっこんを使い、投げる。狙いすました速い一撃が落武者の胴を激しく打ち据える。近寄ろうとする落武者達の動きが僅かに鈍る。
「行くぞ」
「うん」
凛の手を引き、響也は駆け出す。落武者達を引き離す。暗闇に周囲を確かめる余裕も無いが、トンネル内を走る線路は一本きり、幅もそう広くはない。追えばきっと見つけられる。
必死に駆けながら、
(こんな時に注意なんてするんじゃなかったな)
響也は唇を噛む。
凛が不意に立ち止まった。後から手を引かれ、響也はつんのめるように立ち止まる。
「どうした、早く最上を――」
「響也くん、何か聞こえない?」
急かす響也を遮り、凛は片手に持っていた棒切れを捨てる。手を耳に当て、静かに耳を澄ませる。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月26日
参加申し込みの期限
2014年07月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月03日 11時00分
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