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「こめ君、寄りかかっちゃってごめんね、重かったでしょ?」
肩までの髪を揺らして、
霧切 翠子
が振り返る。軒や柱に結わえ付けられた提灯の赤い光を柔らかく反射する栗色の髪と、色素の薄い灰色の眼がとても綺麗で、
新井 米太郎
は眩しげに瞬きする。
「僕こそ、短期バイトに付き合わせちゃって」
すっかり遅くなって、電車に乗った。疲れた翠子が眠ってしまって、だからゆっくり寝かせといてあげようと寝入る横顔を見詰めて。柔らかそうな頬にかかる線の細い髪や長い睫毛に見惚れた。ふと、本当にふと、手を握りたくなって、
「ここ、どこだろうね」
翠子がホームを見回して言った声に、米太郎は同じように慌てて周囲を見回す。
(結局、先輩とは手を繋げないまま)
うっかりそう思って、思ってしまった自分を軽く嫌悪する。今はそんなことを考えている場合じゃない。
電車に乗る前、桜花寮生の翠子は門限を気にしていた。
――こめ君まで巻き込んじゃってまさかこんな長引くとは……
――長く一緒に居られたのは、……嬉しいけど、私のわがままだよ
気遣ってくれる言葉のひとつひとつが嬉しくて、でも折角の気遣いにも眼を合わせて上手く応えられない自分がどうしようもなく嫌だった。
「もうとっくに付いててもおかしくないのに」
(門限間に合わなかったら伯父さんの家にこめ君と泊めさせてもらおうかな……)
ホームに立ち尽くし、翠子は眼を伏せる。
『電車から降りたらそこは見知らぬ奇妙な駅でした』。ネットで噂される、そんな都市伝説のひとつを思い出す。都市伝説での駅の名前は、確か、
「……『きさらぎ駅』!?」
駅の名前を口にして、もう一度周囲を見回す。提灯の不安定な赤い光に照らされる古びた線路、線路の向こうで薄気味悪いくらい暗く佇む静かな森、森の奥で真っ暗な口を開ける煉瓦造りの古いトンネル。
(やだ、本当に来ちゃうなんてどうしよう……)
折角だから写真とっておこう、と携帯電話を取り出しカメラを起動させるも、シャッターを切った途端に画面が暗く切り替わる。何度やっても結果は同じ。この世界で写真を撮ることはできないらしい。
それに、ホームには結構人も居る。噂に聞く駅ではなさそうだ。
(一応、駅名を)
石積みのホームに眼を走らせる。ホームの端に木製の立て看板を見つけて近寄る。風雨に晒されひどく汚れた看板には、達筆過ぎて読めない墨で書かれた文字。
「先輩」
「トンネル潜れば出れるのよね」
後を追ってきた米太郎に、翠子は駅名が分からなかった少しの落胆は見せず明るく笑う。
ネットの都市伝説の『きさらぎ駅』は、トンネルを潜ってはいけない感じだった。ここが『きさらぎ駅』かもしれない不安は残るけれど、
「こめ君とならいけるよ」
大切に思う先輩を安心させたくて、米太郎は大きく頷いて見せる。ろっこんは使用時間超過でもう使えないけれど。
「大丈夫、先輩は僕が守りまひゅ……す!」
思わず噛んで、
(別に噛んでないよ!)
誤魔化すように線路の先のトンネルを睨む米太郎の、十五歳の年よりも幼く見える横顔を、翠子は優しく見詰める。
体に重く疲労が沈んでいる。この疲労ではろっこんを使えばきっと眠ってしまう。
(なるべく物理で切り抜けなきゃ……)
鞄を探って武器になりそうなものを探るも、見つかったのはGペンとトーンカッターのみ。
(……うわぁ頼りない)
鞄の中、ペンとカッターを握り締め、翠子は小さく嘆息する。
「先輩、僕達も行きましょう!」
ホームから線路に飛び降り、米太郎が翠子に手を差し伸べる。ホームに残っていた人もほぼ全員がホームを離れ、トンネルに向かっている。
「そうね」
線路を歩いて行く人達が手にしている、提灯の赤い光や懐中電灯の白い光が不規則に揺れて線路を照らす。線路の左右に広がる暗い森を照らす。トンネルの上に覆い被さる暗い山を照らす。
気紛れに伸びた誰かの懐中電灯の一条の光がトンネルの上の山を伝い登る。光につられて視線を伸ばして、翠子は山の木々に群がり此方を覗く、何か得体の知れないものを見た気がした。
慌てて眼を逸らす。米太郎の手を握り、線路に下りる。山の中のものと眼を合わさぬよう、足早にトンネルに向かう。
「走れますか、先輩」
「うん、頑張るよ」
トンネル内を埋める暗闇の濃さに怖じぬよう、米太郎はそっと深呼吸する。なるべく自然に、下心なんか一切ないように、言ってみる。
「先輩、はぐれないようにその、手とか握っていいですか……っ」
(下心とかないから!)
心の中で全力で叫びながら、翠子の手をそっと取る。翠子に断られるのが怖くて、断られない間に駆け出す。闇の中に駆け出してしまえば、握った手にぎゅっと力を籠めることが出来た。
この手を、離してはならない。
行く手を遮り、闇に蒼白い人魂が揺れ動く。薄い光に浮かび上がる、何体もの骨のお化け達。
「とりあえず先輩には傷一つつけさせないぞ!」
翠子と手を繋いで駆けながら、米太郎はがむしゃらに空いている方の手を振り回す。足を振り上げる。当たるを幸い、ほとんど鎧兜の重みしかない落武者のお化けを殴る。蹴り倒す。
「こめ君を傷つけるのは骨だろうと許さない!」
(Gペン拳法を披露する時よ翠子!)
米太郎に手を引かれ、庇われながら、翠子は野武士よろしく雄々しく言い放つ。空手で鍛えた拳にGペンを握りしめ、拳を鋭利な刃に変える。鋭い突きを落武者の顎にお見舞いする。
「先輩!」
それでも、米太郎の声を聞いた途端、体に溜っていた疲労がぶわりと膨れ上がった。思わず足がもつれて倒れそうになる体を、痩せているように見えてそれでも強い男の子の腕が抱えてくれる。
半ば抱えられ、追い縋る落武者達から逃げる。
「ごめんね、こめ君」
「怪我はない?」
闇の中に聞こえる気遣わしげな米太郎の声がとても心強かった。二人で手を繋ぎ、闇を駆け抜ける。背後から聞こえる落武者達の足音にも振り返らず、息を切らせて走って走って、
――不意に、視界が光に満ちた。
「こっちだ」
出口に魔方陣を描いたメモ紙を撒き散らし、月詠が呼ぶ。米太郎と翠子を追い、トンネルの出口付近にまで現れた落武者がメモ紙に吸い込まれて消える。
トンネルのその先には、コンクリート製のホームが見える。駅舎に見覚えはないけれど、駅の屋根には眩しい白熱灯の光。
光に照らされて、見慣れた寝子電の電車が見える。あれに乗れば、元の世界に帰ることが出来る。
翠子と抱き合う格好で、米太郎は枕木の上にへたりこむ。目の前の翠子に怪我がないことを確かめて一先ずホッとする。
「こめ君、腕に血が」
「先輩に怪我がなければいいんです」
知らぬ間に落武者の錆びた刀を掠められ、腕が浅く切られている。でもこれくらい、翠子が怪我をすることに較べれば何てことはない。それに、今はそれよりも。
「ご、ごめんなさい」
翠子との距離が近すぎることに気付いて、米太郎は飛び跳ねるように距離を置く。頬を赤く染めて俯いて、呟く。
「先輩のこと、自分でもよくわからないけど、……守りたいんだ」
ずっと、この気持ちに目を背けていた。特定の誰かを大切にしてしまえば、その人を不幸にしてしまうと思っていたから。あの時みたいに、また。
それなのに。
(……これってどんな感情、なのかな?)
彼女を大切に思う気持ちが、消えない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月26日
参加申し込みの期限
2014年07月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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