this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
夕闇橋のその向こう
<< もどる
1
…
7
8
9
10
11
蛍光灯の光に照らし出されて、見慣れた寝子電が停車している。
艶やかな黒髪を乱したまま、凛は黒い瞳を光に細める。
「凛」
ぎゅっと繋いだ手の先、るるかが泣き笑いの顔をする。
「これで帰れる」
トンネルの中にいる間中ずっと、前を歩いて庇っていてくれた響也が振り返って安堵の表情を見せる。
「うん、……」
二人に応えて頷いた途端、涙が溢れた。
「うわーん! やっと出られた! 怖かったよぉ!」
るるかと響也、二人の友達に抱きつき、凛は幼い子供のように声を上げて泣く。泣きながら喜ぶ。
「……ほんまここどこなんやろ……」
線路よりも高いコンクリート製のホームによじ登ろうとして、柳司は片腕に走った痛みに顔を顰める。
「腕を、見せて」
暗い森に囲まれたトンネルの出口付近で修や真央との再会を喜んでいたアリーセが柳司の元に寄る。
「いつやられたんやろ、気付かんかった」
首を捻る柳司の傷付いた腕を取り、アリーセは左手に巻いた包帯を解く。手の甲に施された刺青に口づけ、願い籠めた歌を囁く。
「何してくれるん」
眉を顰め、悪人顔を更に悪人顔にする柳司の手の傷口に、安全ピンで傷つけた指先から滴る血を垂らす。それだけで、柳司の腕の傷は見る間に治癒した。
「おー、えらいもんやなあ。おおきに」
「私こそ、助かったわ」
痛みの消えた腕を擦り、柳司はトンネルへと視線を投げる。暗闇の向こうに消えたあの電車は、一体何処に向かったのだろう。
「おじちゃんが乗ってなかったら次の駅だと思うのだ」
柳司の脇を擦りぬけ、真央が身軽な動作でホームの縁に両手を掛ける。陸上部中距離ランナーの体力で、猫のようにひょいと小柄な体をホームに持ち上げる。
「乗車前に確認なのだ」
見た目はいつも見る寝子電と同じ。猩々面の男の言葉を信じるのならば、これに乗れば元の世界に帰ることが出来る。
開いた扉から明るい車内を覗き込み、真央は顔を輝かせる。車内に面を掛けた怪しい人影は無い。
「おじちゃん居ないのだ! 乗ろうなのだ、修ちゃん! 皆!」
真央の底抜けに明るい声に呼ばれ、ホームや線路上に集まっていた皆がゆっくりと電車に集まる。
「皆、無事に戻ったか」
電車の扉の前に立ち、トンネルに入る前に確かめた人数と、電車に乗り込む人達の人数を確かめ合わせながら、祐はふと首を傾げる。何か忘れている気がする。猩々面に起こされ車内から摘まみ出された、あの時。
「あ!」
忘れ物を思い出して、祐は思わず頭を抱えてへたりこむ。
「俺の限定地酒忘れてたー!」
「みんな無事で良かったです」
綾花は嘆く祐の隣にしゃがみこむ。祐に優しく笑いかけて慰めながら、安心した途端体に一気に圧し掛かってきた疲労に小さく息を吐く。必死になって忘れていたけれど、そう言えば体力は無い方だった。
元の世界に戻る電車に乗り込み、車内を見回す。同じ境遇に陥ってしまった人達が全員揃っている様子に胸を撫で下ろす。
「あの電車……」
窓の外に見えるトンネルへと視線を投げる。ホッとしてしまえば、あの朱色の仮面をつけた男の乗った電車の行方が気になってしまった。
「人以外の霊や妖などか利用してる電車だったんでしょうか?」
電車の最後尾の窓から、綾花と同じようにトンネルを見詰めていた智瑜が綾花に視線を向ける。どうでしょう、と瞬く綾花に淡く笑み、もう一度トンネルの暗闇へと瞳を向ける。命を妬まれ狙われはしたけれど、
(落ち武者さんたち、大丈夫でしょうか)
それでも、彼らが心配だった。命を喪い、血肉を失い、骨だけになって尚も生きようともがく、ひとでない人達。
「歴史を感じる素敵なお骨でしたぁ」
いおねが窓際の壁に背中を丸めてへたり込みながら、疲れ切った、けれどうっとりとした満足げな呟きを零す。
「ああ、あのぼろぼろの膝蓋骨……きっと何度も何度もぶつけたに違いないのですよ……!」
周囲の人々にどう思われようとも、骨を見られれば本望とばかり、いおねは一目も憚らず桜色に上気させた頬を両手で押さえ、ツインテールをふるふる震わせて興奮する。
「見事な落ち武者さんでしたねー」
最後尾よりの座席に姿勢よく座り、五月が眼鏡の奥の眼をゆっくりと瞬かせる。元の世界へ戻るための列車の中から、トンネルをもう一度振り返って、
「あ、手ですー」
トンネルの闇の中から手招きする、痩せた真っ白な腕を見た。
「指骨です? 中手骨です?」
「残念、皮膚付きのようです」
マイペースな会話をするいおねと五月を眺め、マキナは小さく笑う。
「ま、無事に帰りつけたら一安心だよ」
最後まで線路上に残っていた月詠が、皆の無事を確かめて回っていた轟と刀に背中を押される様にして電車に乗り込めば、神魂による異変に巻き込まれた者全員の乗車は完了する。
マキナは周囲を見回す。多少怪我をした者は居るようだが、動けないほどの重傷者はいない。
「ああもう、疲れた!」
不貞腐れた声で松生が座席に深々と腰を下ろす。くまの浮いた眼の下を擦り、鞄からお茶を取り出そうとして、そう言えば投げたんだっけ、とむくれる。仕方なしに眠気覚まし用ドリンクを取り出して一気飲みする。
「やっぱり『きさらぎ駅』じゃないみたいね」
「先輩に怪我がなくて本当に良かったです」
隣同士に席に着き、米太郎と翠子がなんだかちょっぴりずれつつも仲良く話し合い、笑み交わし、うっかり手と手が触れ合って頬を染める。
(守れたかな)
恐怖から一応解放され、賑やかに話し合う車内の人々の様子を見ながら、刀は最前列の窓際に立つ。
それが自己満足だというのは自分でもよく理解していて、だからこそ、
(帰ったら、今日も特訓だな)
そう思う。
誰かを守るために。自分を守るために。
人気のない静かな構内に発車のベルが鳴り響く。
暗闇を切り開くように、電車の前照灯が灯る。運転席に運転士の姿もないまま、車両の扉が閉まる。
電車が動き始める。暗闇に浮き上がる捻じれた木々の森が遠ざかる。見えないトンネルを潜ったかのように外にも車内にも、一瞬だけ一切の光が消えて、次の瞬間。
「おい見てみろ、寝子電スタジアムじゃねえ?」
誰にでも馴れ馴れしい声が僅かに弾んで車内に響く。
夜空に煌々と光を放って、寝子電沿線の多目的スタジアムが窓の向こう、――見えた。
車内に安堵と歓喜の声が湧く。
寝子島に帰って来ることが出来た。フツウの日常に戻ってくることが叶った。
窓の向こう、遠く、月の海がいつものようにさざめいている。
<< もどる
1
…
7
8
9
10
11
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせ致しました。
『夕闇橋のその向こう』、お届けにあがりました。
トンネルの向こう側からこちら側までの冒険、いかがでしたでしょうか。
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
ご参加、ありがとうございました。
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
夕闇橋のその向こう
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月26日
参加申し込みの期限
2014年07月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!