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深い青の眼に睫毛の影を落とし、
黒依 アリーセ
は石積みのホームの下の線路を見下ろす。瓦屋根の軒から吊るされた提灯の赤い光が、不安を煽るように揺れる。
(どうしようかしら?)
部活帰りに電車に乗って、それだけでこんな得体の知れない場所に放り出されてしまった。うなじの横で纏めた黒髪を震わせ、周囲を見回す。
(と言っても逃げるしか無いのよね)
手にした持ち物を確かめる。部活の帰り、そんなに荷物は多くない。専用ケース入りのソプラノサックス、楽譜や作詞ノートが数冊入った通学鞄。
(これだけね)
今手にしているものだけで、刀や弓を持つ化物の相手をしなくてはならない。
(勿論、逃げる事が最優先よね)
けれど、万が一ということもある。
(カバンで矢くらいなら受けられるかしら?)
鞄と楽器をお守りのように胸に抱き、瞼を閉じて幾度か深呼吸する。瞳を開く。線路を辿り歩き始めている、知り合いやそうでない人達の背中を見送る。
(よし、心の準備はできた)
意を決し線路に降りようとして、その足が止まる。やっぱり一人ではどうしても不安が残る。
消せない不安を抱いて立ち尽くすアリーセの腕に、
「アリーセちゃん!」
真央が抱きつく。
「っ、と」
元気印の少女の右手に左手を掴まれていた修が軽くたたらを踏む。
「後木さん」
「一人なのだ?」
人懐っこい猫のような緑の眼をくるりと丸め、陸上部Tシャツに部活ジャージ姿の真央は身軽な動作で軒に吊るされた提灯を取る。赤い火をゆらゆらと楽しげに揺らし持った左腕をアリーセの腕に絡め、右手で修の左手を掴む。
「一緒に逃げさせて貰っていいかしら?」
「勿論なのだ!」
アリーセがそっと問うた言葉に、真央は力いっぱい頷く。
「一緒に歩いて行こう」
部活用競技ライフルの入ったケースを肩に担ぎ直し、修が切れ長の眼を和らげる。整備の為に持ち帰る途中だったのは幸運だった。レーザー式のライフルは射撃の用は足さないが、もしもの際の鈍器にはなる。
(殴ったら壊れるよな)
帰ったら業者修理に出そうと決めて、修は線路に降りる。友人二人が高いホームから線路に降りるのに手を貸し、三人で線路を歩き始める。
夜よりも深い色の闇に占められた古びたトンネルの前、一人で入念な準備運動する少年の姿がある。
「浅沼、一人か」
修に声を掛けられ、柳司は短い茶髪の頭を巡らせて振り返る。
「お、八神か。ええな、両手に花や」
強面を強面たらしめる鋭い眼に明るい笑みを浮かべ、柳司は足首を回す。
「何してるのだ?」
「ほらトンネルの中で足痛めたら洒落にならんやんか」
提灯に部活ジャージの上着を被せながら問う真央に答え、
「そっちこそ何しとるん?」
逆に問い返す。
「できたのだ」
一方向以外に光を漏れにくくした提灯を皆に掲げ、真央は得意げに笑う。
「これなら見つからないかもなのだ」
「ああ、なるほどなあ。それもええな」
「一緒に行かない?」
アリーセの誘いに、その場で飛び跳ねつつ柳司は首を横に振る。
「おおきに。けどさっきの面の兄ちゃんも二三人で行けて言うてたし、俺は一人で行ってみる」
準備運動を終え、柳司は大きく伸びをする。息を整える。
「とりあえず振り返らんとダッシュや」
ほなな、と軽く言うなり、その言葉の通り振り返らずに猛烈な勢いで駆けて行く。
「気をつけてね」
「あとでお茶しばこー」
アリーセの気遣いに返事代わりのナンパな言葉を返して、見た目不良な少年の背中が暗闇に消える。
「行っちゃったのだ」
真央は目前に立ち塞がる闇を仰ぐ。修の手を掴む。提灯を落とさないようアリーセの腕に腕を絡める。
「私達は見つからないように行きましょう」
「分かったのだ、静かに移動なのだ」
声を落とすアリーセに倣って声を潜めて頷く。トンネルの壁際に身を隠し、声も足音もなるべく立てず静かに歩き始める。
「修ちゃん?」
「……いや、大丈夫」
真央に繋いだ手を引かれ、修は視線を先へと伸ばす。
(此処は、何処なのか)
脳内を巡る、猩々面の男と交わした会話を息ひとつ吐いて追い出す。興味は尽きないが、振り返りはしない。こういう場所で振り返ることはご法度なのだろう、とオカルト方面の知識を引き出す。
「後木さん、八神さん」
アリーセが震える声で示すその先、暗闇に蒼白い光の塊が揺れる。それが幾つもの人魂を伴った隧道に巣食う落武者達だと気付いて、気付いた時にはもう、生者を求める死者達は甲冑の擦れる音も高く駆けて来る。
「真央、黒依、」
ケースからライフルを取り出して銃先を握り締め、修は二人の前に立つ。
「逃げろ」
「一緒がいいのだ!」
真央が修の手を離すまいときつく掴み、悲鳴のように叫ぶ。
(刀はカバンも切っちゃいそうよね)
寄せてくる落武者の何人かが持つ刀を見開いた瞳で見詰め、アリーセは乱れそうになる息を静かに整える。
ソプラノサックスなら受けられるかも、と混乱気味に思って、
(いえ、駄目よ)
慌ててその考えを打ち消す。大事な楽器を盾には出来ない。
(でも、命には替えられないし)
「俺も男だからな、守りたいんだ」
真央の手を掴んで離させ、修は低く呟く。次の瞬間、身を翻す。落武者の群に飛び込む。修目掛け、死者の兵が刀を振り上げる。別の兵が弓弦の切れた弓を振りかざす。
「修ちゃん!」
修を追うか、言われた通りアリーセと先に逃げるか。咄嗟に動けなくなる真央の背を、
ソプラノサックスの激しく力強い音が、叩く。
暗闇が震えるその音に空っぽの骨身を揺さぶられ、落武者達がたじろぐ。
「アリーセちゃん、先に行くのだ!」
サックスの音に弾かれ、真央が修の後を追う。獲物に飛び掛る猫の動きで地を蹴り、駆ける。
「後木さん!」
「必ず後から行く!」
「のだ!」
拒絶を許さぬ強さで二人に言われ、アリーセはサックスを手に僅かだけ迷い、
「――信じるわ」
強い光宿した瞳で二人の背を一瞥し、トンネルの先を目指し駆け出す。
「それでいい」
修は囁く。肩へと振り下ろされる錆びた刀を、持ち前の反射神経で以て銃把で受け止める。
「できれば、真央も」
骨だけで出来た腕で振るわれるその刀は、けれどその癖酷く重い。刀に圧され、銃先を持つ手が震える。
「嫌なのだ!」
落武者に押し切られそうになる修の脇、提灯を片手に真央が駆け寄る。地を這うほどに小柄な体を更に小さく屈め、修を襲う骸の兵の胴に全体重を籠めた蹴りを放つ。
刀に掛かっていた力が外れる。よろめく兵目掛け、修は銃把を思い切り叩き込む。頭蓋骨が頸を離れて飛ぶ。
頭を失くした兵が倒れる。骨の指から刀をもぎ取る修の手を、真央が掴む。陸上部の体力で脱兎の如く逃げ出す。
ジャージの上着を巻きつけた提灯の赤い光が激しく揺れる。
「真っ暗なのだ」
追い縋る兵の足音はもう聞こえない。足を少し緩め、真央は小さな声で囁く。先の分からない闇に、微かに声が震えた。震える声を気取られぬよう、真央は努めて元気な声を出す。
「振り向いたらどっちから来たか分からなくなると思うのだ。だから前だけ見て進もうなのだ」
斜め後ろを付いて来ていた修が足を早める。真央の隣に並び、握った手に力を籠める。
「修ちゃん?」
ぼうやりとした光に浮かび上がる友人の横顔を仰ぎ、真央は柔らかく笑む。
「……何か心強いのだ」
呟いて、持ち上げた視線の先、トンネル内よりも遥かに明るい光が見えた。半円の形したそれは、
「修ちゃん、こっちなのだ!」
トンネルの出口。
再び駆け出す真央に手を引かれながら、修は片手に掴んだ刀を見下ろす。土産代わりにと回収した落武者の刀は、日の光で崩れるだろうか、残るだろうか。
(少なくとも、持ってるうちはホームに辿り着けないことはなさそうだ)
もしもの時の為、鍔や打ちの特徴を頭に叩き込む。彼らは何時の時代の者達の念なのだろう。
後で真央にも教えてやろうと思いながら、修は小さく首を捻る。 刀の特徴が、知る限りのどの時代のものとも一致しない。
(……こちらの世界の者ですらない、ということか)
――刀は、トンネルの外に出た刹那に塵と消えた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月26日
参加申し込みの期限
2014年07月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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