this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
夕闇橋のその向こう
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
11
つぎへ >>
「全員ちゃんと無事に戻れるようにしないとな」
「はいなのですよ!」
祐から受け取った提灯の柄を握り締め、
稲井 いおね
は赤色セル眼鏡の奥の琥珀の瞳にきゅっと力を籠める。
「適当にバラけてー」
「はいなのですよ!」
暗い森の中で唯一明るい構内に集う皆の世話を焼く祐の声に応えて大きく頷く度、栗色のツインテールが頬の横で人懐こい子犬の尻尾のように元気に揺れる。
勉強会帰りの辞書や筆記用具の入った肩がけ鞄の紐をぎゅっと掴み、いおねは周囲を見回す。寝子高生は何人も居る。同じクラスの男子も居るけれど、別の子とトンネルに向かう様子。
(一人で行くのは危険そうなのです)
ちっとも悩まず躊躇わず、いおねは元気な声をあげる。
「いおねは骨を見慣れてるので骸骨の落ち武者は怖くないのですよ! 足手まといにはなりませんので一緒に連れてって下さい!」
帰るのが遅くなってしまえば、
(おじい様とおばあ様が)
きっととても心配する。だから早く帰りたいは帰りたい。
(ああ、でもでも!)
骨マニアないおねは、暗がりに包まれた線路の向こうのトンネルへと眼を向ける。あそこには骸骨の落ち武者が出るという。
(動く骸骨さんも見たい!)
怯えよりもときめきが先に立つ。
(どんな骸骨さんに会えるでしょうか)
ドキドキする胸を押さえてホームに佇むいおねに、
「良かったら、一緒に」
「いいか、生徒さんはあんまり無理しないこと!」
綾辻 綾花
と、提灯を配り終えた祐が声を掛ける。
「確か、隣の組ですね」
「はいなのです、お見かけしたことありますのです」
うなじで切り揃えた黒髪を耳元で揺らして、綾花は黒の眼を和らげる。
「綾辻綾花です」
「稲井いおねなのです」
名を名乗り合って、少女達は先にホームから線路へと身軽く飛び降りた青年を見る。
「伊予祐だ! 星ヶ丘寮の執事やってる。気軽にタスクさんと呼んでくれよな」
短い黒髪の下、蒲公英色の眼を明るく笑ませ、祐は慣れた仕種で少女達が線路に降りる手助けをする。
「じゃ、行くか」
「逃げ切りましょう」
「一緒に電車を目指しましょうなのです」
祐が先に立って歩き出す。綾花が手にした懐中電灯で祐の足元を照らす。綾花の隣を歩くいおねが提灯で自分達の足元を照らす。
「懐中電灯なのです」
「寮まであまり街灯がないから、一応持って来て正解でした」
よく(骸骨が)見えます、と眼を輝かせるいおねに、綾花は白い頬を紅くする。
「寮までの道で街灯がないとこってあったか?」
星ヶ丘寮で新米執事を勤める祐がちらりと首を傾げる。
「猫鳴館なんです」
「あー、あそこか」
祐の主な仕事は、寮生に快適安全な暮らしを提供すること。それは星ヶ丘寮生に限ったことではない。
「何かあったら呼んでくれ。すぐに駆けつけるぜ!」
祐は肩越しに振り返って快活に笑み、
「……さて、と」
顔を前に向けてその笑みを消す。暗闇の中にあって更に暗い闇の口を開くトンネルに向け、明るい瞳にほんの僅か、凶暴な笑みを滲ませる。
「落ち武者は出来るだけ俺が引き受ける!」
綾花はお盆用に購入していた線香の束に火をつけながら、祐の頼もしい言葉に小さく頷く。
猫鳴館の節電の為に部屋の電気を早めに切ることもある。暗いところは慣れている。けれど、綾花は戦える道具を持たない。逃げるしかない。
「煙の効果があるかは分かりませんが……いおねちゃんも今のうちに」
「ありがとうなのです、綾花ちゃん」
「タスクさんは、……持つと邪魔になるでしょうか」
「ん、俺はいらねぇ。綾花さんといおねさんが持ってな」
提灯を片手に、もう片手に綾花に火をつけてもらった線香を持ち、いおねは祐の背を見遣る。
「ほんとにいらないです?」
「俺はかーなーり強いからな。任せろ!」
おどけて笑って見せながら、本当は。
(……実は、思いっきり蹴りたくて堪んねぇんだよな)
皆の安全を確保したい。けれどそれも、本当だ。
「準備できたか」
「はい」
「はいなのです!」
「じゃ、行くぞ」
薄紫の煙を纏い、三人は暗いトンネルに入る。駆け出す。
光源の一切無い暗闇に入り込んでしまえば、綾花の持つ懐中電灯の光は眩しいほど。
先を照らすことを綾花に任せ、いおねは二人に合わせて走りながら、わくわくと煉瓦造りのトンネル内を提灯の赤い光で照らして眺める。トンネルの奥から反響して聞こえてくる物音に耳を澄ませる。
動く骸骨さんはどんな足音を立てるのだろう。落ち武者というからには鎧を着ているはず。ということは重たい足音なのだろうか。そんな重たいものをずっと着込んでいるということは、すごく丈夫な骨に違いない。そうしてきっと今暗闇の向こうから聞こえてくる足音のような重たい足音と真っ白な頭蓋骨を持っているに――
綾花の持つ懐中電灯の光が、暗闇の中をこちらに向けて歩み寄ってくる全身の骨を鎧兜の隙間から晒した落ち武者を照らし出す。
「キャー出ましたぁ!」
悲鳴と言うよりは歓声に近く聞こえる高い声で叫ぶいおねの手を、綾花は咄嗟に握る。懐中電灯の光に真っ向から照らされて、けれどとうの昔に眼球の腐れて落ちた骸の武者は、眼を晦ませることすら出来ない。生きているものの気配に呼び寄せられるように錆びた刀を抜き放つ。
「落ち武者だろうが、か弱いものに手を出すのはナシだぜ」
綾花といおねを壁際に逃し、祐は懐中電灯と提灯の光に照らされる周囲を確かめる。近寄ってくる骸骨の兵の数は二。物音がしないだけで、闇の中にはもう何体かいるかもしれない。
暗闇にいくらか慣れた眼で、肉持つ人間よりは僅かにぎこちない動きの兵達を見据える。静かに呼吸する。息をするように自然に地を蹴る。枕木を軋ませ、低く駆ける。
何かを蹴ることで発動するろっこんの力を借りて、祐の身が宙に舞う。速度と体重を乗せた飛び蹴りが、骸の兵の刀の動きよりも速く、兜ごと頭蓋骨を吹き飛ばす。頭を失くした骨の兵が尻をつく。
ひとつ蹴ることでろっこんによる怪力を重ねて得た足で、祐は闇を駆ける。闇の向こう、弓兵が矢を番える。避ければ壁際の二人に当たると判断し、祐は足を緩めず突っ込む。祐の動きを読み切れず、弓兵の手元が狂う。
放たれた矢が祐の肩先を掠めて地面に刺さる。
兵の腕を弓ごと蹴り折る。その勢いを殺さぬまま、舞うように回転する。破壊力の増した回し蹴りを弓兵の胴に炸裂させる。重い鎧ごと、弓兵の体が地面に叩き付けられる。
「すぐ復活するっつてたが時間稼ぎにゃなるだろ」
錆びたレールに当たって砕けた弓兵の背骨に止めの一蹴りを加え、祐は呟く。
骨の砕ける乾いた音は、心の奥を不思議とゾクゾクさせた。
唇に淡い笑みが浮かんでいることに気付いて、手の甲で押さえる。凶暴な笑みを噛み殺して、祐は壁際の少女達を見遣る。
「来ないでください!」
綾花が必死の顔で線香の束を振り回す。多少は効力があるのか、首なしの骸骨兵は鬱陶しげに骨の手を振り回す。それでも、にじり寄ろうとする足は止まらない。
骨の腕が届く範囲にはせめて近寄らせまいと鞄を振り回して、けれどそれでは埒が明かぬと判断する。意を決して懐中電灯を握り締める。鈍器代わりに思い切って振り下ろす。
鈍い音が響く。鎧に弾かれた懐中電灯が砂利の地面に落ちる。
「綾花ちゃん!」
鎧を殴って痺れた手を押さえる綾花を助けようと、いおねが綾花の前に立ち塞がる。
(折角の動く骸骨さんだけど、)
いおねは素早く肩掛け鞄の肩紐を最大まで伸ばす。
「ごめんなさいですー!」
辞書入りの重たい鞄を振り回し、狙い済ました鞄の一撃を骸骨の胴にぶち当てる。懐中電灯に続けての鈍器の攻撃を食らい、兵が横っ飛びに倒れる。ついでに鞄の中で何かが壊れる音がしたものの、
「命には変えられない!」
息を荒げ、いおねは声を上げる。
しつこく這い寄ろうとする首なし兵を、勢いつけた祐が反対の壁際まで蹴り飛ばす。
「ほら、ぼさっとしてっと怪我するぜ」
「タスクさん、血が」
心配げな綾花に、祐は平気平気と軽く笑う。
「絶対怪我させねぇから安心しろ」
三人で出口に向けて再び駆け出しながら、いおねは地面に転がり蠢く骸骨達を振り返る。眼鏡の蝶番を抓み、ろっこんをこっそりと発動させる。鎧で見えない部分の骨も、ちらっとでも覗いておきたかった。
いおねの視界の中、骸骨達の姿がレントゲンにかけた如く骨だけの姿に映って見える。
(とってもボロボロ!)
ブレない骨マニアは鼻息も荒く骨の状態から骸骨達の生き様を妄想しつつ、連れの背中を追いかける。
(きっと壮絶な人生を送ったのですね!)
出口の光が見え始める。
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
11
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
夕闇橋のその向こう
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月26日
参加申し込みの期限
2014年07月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!