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「提灯使っていいってさ、もってけ」
状況を理解した祐が屋根から吊り下げられた提灯を取り、構内の皆に配って回る。
「足元に気をつけて歩けよー」
「ありがとうございます」
提灯を受け取り、智瑜は丁寧に頭を下げる。
「暗い中走るなんて」
同じように提灯を借りて、
塔尾 松生
は眠そうな眼を不機嫌に瞬かせる。
「ただでさえ得意じゃない運動が絶望的になっちゃうじゃない」
「私も、走るとすぐに転びそうになります」
不貞腐れた呟きに柔らかな声を掛けられ、松生は声の主を振り返る。
日傘に籠バックを持った黒髪の少女に、学校鞄を手にした松生は隈の浮いた茶の眼を僅かな笑みに細める。
見たところ、買い物帰りといったところだろうか。
(学校の帰りに巻き込まれるって前にもあったけど)
「お互い、ついてないったらないね」
「そうですね」
背丈も体格も同じ程に小柄な二人は小さな苦笑を交わし、ついでに名前を名乗りあう。
「一緒に逃げませんか、松生さん」
「あたし、帰ってやりたいゲームがあるのよね。宿題もでちゃったしさ」
智瑜の言葉に、松生は非日常に対面しても日常と変わらない、どこかふてぶてしい仕種で伸びをする。面倒に巻き込まれたことに対する怒りさえ含んだ声で言い捨てる。
「という訳で、とっとと帰ってやるんだから。走ればいいんでしょ、走れば!」
(こんなところから抜け出して無事に帰ってゲームをするわよ!)
行こう、と智瑜に目配せし、ホームの端から足を投げ出す格好で座り込む。制服のスカートのお尻をずらし、背丈ほどある高さから線路に降りる。
「線路の上なんて走りにくい事このうえないね」
赤く錆びた線路の上に両足で立ち、爪先立ちになる。片手を伸ばす。
「先に提灯」
「はい、ありがとうございます」
松生に提灯を持ってもらい、智瑜は線路に下りる。
二人の少女はそれぞれ手にした光を掲げる。圧し掛かるような暗闇に提灯の赤い光が走る。
深い夕闇に沈む赤錆びた線路に僅かも怖じぬ視線を投げ、松生は息を吐く。前にこんな小説を読んだことがある。
「……あたしは死体を探しに行く子供じゃないってのに」
「死体、ですか?」
「骨の間をすり抜けなきゃいけないなんて何の罰ゲームかしら」
ちらりと肩を竦め、松生は線路を辿り歩き始める。
(ゲームならともかく)
左右の視界を奪う、不気味な木々を睨む。
(本当に戦うのは冗談じゃないわ)
それに、とシミュレーションゲーム好きの松生は唇を固く結ぶ。
(今回狙うのはハイスコア高得点じゃなくてハイスピードアタックなんだから)
暗い空を背負って佇む煉瓦造りのトンネルを仰ぐ。ここが、スタートライン。
(あたしはどっちかっていうとじっくり寄り道して進めるのが性にあってるんだけどね)
「行くよ、智瑜」
「はい、松生さん」
提灯の光を唯一の武器のように掲げ、二人は真っ暗闇に飛び込む。
籠バックと日傘を片腕に抱きしめ、智瑜は提灯の明かりにぼうやりと照らし出される線路を進む。足を踏み出す度、古びた枕木が湿った軋み音を立てる。誰かの呻き声のようにも聞こえる音は、トンネル内を流れる風の音だろうか。
「何か燃えてるわね」
「……っ」
冷静な松生の声に、暗い所がそう得意でない智瑜は思わず悲鳴を上げかけて飲み込む。松生が提灯の光を翳せば、線路の先、提灯の残骸が黒い煙を燻らせ、小さな赤い火を燃やし続けている。
放っておけばじきに消えそうな炎の傍、
「……落ち武者の、霊?」
智瑜が初めて見た彼らは、手足を砕かれ、武器の弓矢を壊されていた。
「先に行った人達がやったのかしら」
松生は転がる骨を踏まないように煉瓦の壁際まで寄る。
砂が零れるような、枯れ枝がぶつかり合うような音を立てて、無惨に散らばった白い骨の欠片が生き物のように動いている。元に戻ろうとしているのだろう。
「じっとしてないで」
「……落ち武者さんたちは何故襲ってくるんでしょうか?」
暗闇と落ち武者達の骸に怯えながらも、智瑜は砂利の地面に這う骸骨を見詰める。彼らはこの世界の番人なのだろうか。もしそうなのなら、謝りたい。
(勝手に入ってきたのは私たちの方だから)
彼らの為に、何か出来ることは――
「智瑜!」
松生の悲鳴に近い声に、智瑜は想いに沈みかけていた己を取り戻す。足首を、何かが掴んでいる。
身を固くして視線を落として、首と下半身の無い鎧武者が足に縋り付いているのを見た。
悲鳴が喉元で止まる。
(……違う、)
番人なんかじゃない。
脳内に爆ぜる、血の色。熱く甘い血と肉の色。殺したい取り込みたい羨ましい恨めしい肉を得たい、失くした肉を血を臓物を、――彼らの唯一の望みが、己の血の色が、眼前を染める。
動けなくなる智瑜の足をよじ登ろうとする肉持たぬ骸に、お茶の缶がぶつかる。未開封のお茶缶が鎧を打つ重い音に、智瑜は止まっていた息を取り戻す。
咄嗟に日傘を広げる。暗闇に勢いよく色が咲く。
「智瑜」
「松生さん」
智瑜は白骨の細腕を半ば狂乱しつつ振り払う。どうにかしがみ付こうとしてくる骨の手を籠バックで払い除ける。彼らの思いを知って、それでも、相手を傷つけるのは嫌だった。
(怪我をするのも嫌だけど……)
智瑜は松生の傍に駆け寄る。砕かれて動けなくなっていた骸骨の兵達が、徐々に動きを取り戻そうとしている。腕だけで這う者、首なしで立ち上がる者、片足で立ち上がろうとして再度崩れ落ちる者。
「歩けるわね?」
「歩けます、ごめんなさい」
揃って駆け出そうとした少女達の頭上、上半身だけの骸の兵が腕だけの動きで飛び越す。息を呑んで固まる少女達の前に着地し、乾いた頭蓋骨の歯を打ち鳴らして嗤う。
「っ、」
松生が背後から白骨の兵に圧し掛かられて転ぶ。振り払って走り出せるほどの運動能力を持たぬ少女は、そのまま為す術もなく落ち武者に押し倒され、
「おっりゃアあ!」
松生の喉元に乱杭歯を食いつかせようとしていた武者の首が勢いよく吹き飛ぶ。首を弾き飛ばしたタオル入りの頭蓋骨が宙を舞う。
「助けに来たぜ!」
暗闇の中、轟が仁王立つ。
「こっちだ」
呻いて起き上がる松生の手を刀が掴む。引き起こし、振り向きもせずに駆け出す。
「大丈夫か?」
「だい、じょー、ぶ」
先を駆ける少年に息を切らせて応じながら、松生は視線を巡らせる。
線路の先、ふわり、開いたままの日傘が揺れる。
先を走る智瑜は、助けに来てくれた二人組みの少年の内のもう一人に守られている。その背中を見止め、松生は表には出さず安堵する。
ゲームのようにはいかないけれど、
(取りこぼしはなさそうね)
少なくとも、同行者は失わずに済んだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月26日
参加申し込みの期限
2014年07月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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