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羽根が生えるまで
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「はい、お待たせさま」
神無組の面々の前、女将が料理を並べる。
山盛りの焼き鳥盛り合わせ、脂を弾けさせる焼きたてのホッケの干物、今朝方海から揚げられたばかりの魚の刺身。
「食え」
組長の言葉に従い、鹿黒は魚に箸をつける。分厚く切られた鮪を口に入れ、
「うん、流石先代からの行き付け」
漆黒の眼を細める。
「魚も美味ェな、ふふ」
「だろ」
焼き鳥も食え、ホッケも食え、と機嫌よく勧めつつ自分も次々に杯を空ける組長につられ、鹿黒も梅酒を傾け箸を進める。
歯応えのいい脂の乗ったモモに新鮮な砂肝、口に入れればほろりと解けるホッケ。調子よく口に運んで、ひょいと傍らの梅酒のグラスを掴んで喉に流し込み、
「……うん?」
喉を焼き胸を焼く強いアルコールに気付いた。掴んでいるのは、己のグラスではなく組長のグラス。
中身の強い焼酎が一気に血を巡る。
「……あっついな夏は畜生!」
あっという間に酔っ払いが出来上がるも、後の祭。
目元をふうわり赤く染め、鹿黒はタイを緩めて外す。上着を脱ぎ帽子を脱ぎ、椅子に掛ける。
「何で俺ァこんな葬儀屋みてェな暑苦しい格好してんだろうな?」
梅酒ソーダのグラスから氷を取り出して、酒の息で満ちた口に放り込む。椅子の背にぐったりもたれかかる。
「鹿黒、死んだ女房との馴れ初めを聞かせろ」
酒が回った頃合いを見て、神無月は色恋沙汰の話を振る。
「ん? 俺の嫁さん?」
「実際のとこ、一人の女と添い遂げるってなァどんな感じだ」
暖簾と目を合わせ、文貴は心底から首を捻ってみせる。
「長続きした事ねーから今いち想像できなくてよ」
「どんな、って言われてもな」
文貴と同じに首を小さく捻り、
「反対に訊きたかったンだけどもよ」
逆に尋ねる。
「色々付き合うってのはどんな感じなんだい? 俺にゃあどうしても理解できなくてよ」
「趣味だ」
酒を含んでどこか艶っぽく笑う恋多き文貴を、文貴よりも二十年齢多く重ねていても暖簾は理解できない。首元に下げたロケットを取り出す。指先で開く。収められているのは、長い黒髪の淑女然とした女性。
暖簾は亡き愛妻の写真を酔った勢いで見せびらかす。
「……俺にゃあ勿体無ェ良い奴だったよ」
妻のことを口にして、思わず淡く甘い笑みが頬に滲む。
「物心付いた頃からの付き合いでよ、お互い身寄りがなかったのもあってかアイツずっとべったりしてたな」
死んでどれだけ歳月が過ぎても、今も傍らに居てくれているような気がする。妻が生きていた頃、共に歩いた時に感じた妻の手の温もりを、今もふとした瞬間に背に肩に感じる時がある。
「こんなに想ってくれる奴が居るのに、他に現なんてぬかせねェだろ?」
最愛の妻は、今も己を想ってくれている。その命が尽きた、今も。
暖簾はそう信じる。
掌の小さなロケットの中で微笑む妻と見詰め合う。両手でロケットを握り締め、祈る仕種に似て机に突っ伏す。
「……何で先に逝っちまったンだマリア……」
そのまま動かなくなる暖簾の背中を少しばかり乱暴に擦り、文貴は物静かに焼酎のグラスを傾ける松崎を見遣る。
「松崎にも惚れた女の一人二人いんだろ?」
「……いえ、あっしは」
「松崎」
禿頭を俯け、眼を伏せようとする松崎を、神無月は低く一喝する。
「知ってんだぜ、所帯持とうとした女がいた事」
組長が言葉を重ねる。
「組の為に捨てた女が内緒でガキを産んで、そのガキがでっかくなって出戻ったって」
松崎はその大きな体が萎むような息を吐き出した。
「……とぼけるのもいいかげん失礼ですね……」
「松崎の旦那にも家族が居んのかァ」
ロケットを懐に仕舞い、鹿黒が何でもなかった様子で顔を上げる。
「家族は良いモンだぜ、なくしてからじゃ遅いけどな」
「会ってやれよ、実の親子なんだからよ」
暖簾の援護を受け、己も父である文貴は懇願するように言う。
組長に掻き口説かれて、けれど松崎は頑なに唇を引き結ぶ。ごつい首を横に振る。
「……それはきけやせんよ」
呻く。
「……あっしは極道に生きてやす、先代と一緒に派手に暴れ、組のためには何でもやりやした」
大人しげな瞳のその奥、熾火のように凶暴な光が燃え上がり、一瞬で消える。
「……恨みも、たくさん買いました、今もあっしのことを恨んでるやつはいますしね、」
筋肉に鎧われた背中が、何かを負うているかのようにぎしりと軋む。
「そんな外道な父親が、今さら娘に会ってどうしようって言うんです?」
四十年近くに渡る極道生活の中で背負い込んだものを静かな諦観で以て見詰め、松崎は重ねて首を横に振る。広い背中に、後悔は微塵も見えない。
文貴は煤けた天井を仰ぐ。
頑なで不器用な男の背中を横目に見る。
「てめえはいつもそうだ」
父親の背をそこに見た気がして、
「組の為組の為って都合いい言い訳に逃げて」
唸る。父の幻影を振り払うかのように酒をあおる。
「てめえの人生粗末にすんな!」
酒に据わった眼で、松崎を真直ぐに睨む。
「家族も守りきれねえで何が男だ!」
言い放って、それ以上は暫く言葉に出来ず、松崎をただ見詰める。そうして、前妻と娘を、家族を弱みとする組長は眼鏡を外して眉間を押し揉む。
「……すまねえ」
息を吐く。
「熱くなっちまった」
眼鏡を掛け直し、体に孕んだ熱を鎮めようと焼酎に浮く氷を唇に押し付ける。
「けどよ、これだけは言わせてくれ。てめえらは俺の家族だ」
掠れた声で、普段は口に出来ぬ言葉を己が右腕と庭師に伝える。
「だからこそ俺や組の為に人生を犠牲にしてほしくねーんだ」
赤子の頃から傍に居てくれた松崎は親父も同然。
一途に忠誠を尽くしてくれる鹿黒は背中を預けられる頼りになる番犬。
幸せに、なってほしかった。
背負った神無組組長の名に恥じぬよう、怖じぬよう、文貴は瞳に力を籠めて前を見据える。
舎弟を守って前に立つのが極道の矜持と背筋を伸ばす。
血を分けた可愛い一人娘と親を慕う舎弟に煤けた背中は見せられぬと胸を張る。
若き組長が赤子だった頃さえ知る神無組の古株は、どこか優しい笑みを浮かべる。頬に走る古い傷痕が引き攣れ歪む。
「……組長、あっしは組の為に人生を犠牲にしたと感じたことはありやせん」
神無組の末席に名を連ねるまで、己には何もなかった。だからこそ、
「先代と作ってきたこの組こそが家族です」
松崎は心底からそう思う。だからこそ、若き組長の人情味溢れる言葉は嬉しかった。同じように思っていてくれたのだと胸が熱くなった。
「この家族を守る為なら、あっしはなんでもしやす」
そして、と松崎は続ける。
「あっしが血の繋がった娘にできることは、ただ遠くから幸せになっていくのを見守る事くらいです」
「てめえ」
「これだけでも、あっしには十分贅沢なんですよ」
「そんな淋しい贅沢があってたまるか」
同じ一人娘を持つ父親として、文貴は吐き捨てる。鋭い視線を叩きつけるも、松崎は穏かな眼を崩そうともしない。
「旦那の子かァ」
緊迫する空気に、酔っ払った暖簾の暢気な声が割り込む。
「見てみてェなァ……写真とかねェのかい」
写真ですかい、と松崎は瞬いた。
「写真なら色々ありやすが」
お守りを取り出すように懐を探る。宝物を見せびらかすように、手帳に挟んだ幾枚もの写真を文貴と暖簾に見せる。
「高校の卒業式の写真が一番幸せそうでいいですね」
まるきり父親の顔で瞳を和ませる。
「……お友達と一緒に楽しそうでねぇ……」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月03日
参加申し込みの期限
2014年06月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年06月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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