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羽根が生えるまで
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「え、ちょ、こ、こんにちは! 文貴さん、鹿黒さん」
(知り合いに会っちゃったよ!)
完全オフモードで気を抜きすぎているところに、仕事モードの時にしか対面したことのなかった知り合いと、思いもよらず出くわしてしまった。内心の焦りと恥ずかしさはそのまま態度と顔に出る。
「昼日中から酒たァ贅沢な身分だな、立樹」
神無組組長が人の悪い笑みを浮かべ、立樹の隣に座る。
「いえ、俺はたまたま見つけて……」
接客業の性か、立樹は店の席数と客数とを素早く確かめる。席数は七、客数も七。
目の前に並ぶ、砂肝やレバーや皮やぼんじりの焼き鳥の皿を手に取り、隣の夫婦に如才なく一言詫びて席を詰めてもらう。神無組の面々の席を奥に空ける。
「すまねェな」
「いえ、お気遣いなく」
中折れ帽に手を掛け目礼するバーの常連な組長の連れに、立樹は落ち着きを取り戻した仕事モードの口調で物腰柔らかく微笑んだ。
「よう、毒島」
「おう、神無組」
同じ旧市街で家業を営む薬屋と極道は手短に挨拶を交わす。
「居酒屋かァ」
飲めない鹿黒は黒の眼を困惑に細める。
まァ、と小さくひとりごちる。
「飲まなきゃ済む話だ」
「鹿黒さんよ」
組長が席に座すのを几帳面に待って後に席に着き、
松崎 竜平
は控えめな口ぶりで忠告する。
「今後もこういう付き合いもあるから少しは慣れといたほうがいいですぜ」
「好きなだけ呑んで食え、俺のおごりだ」
信頼する男と忠誠誓う男に重ねて言われ、鹿黒は参ったように唇を笑みで歪める。
「……ゴチになるから一杯くれェ付き合うけども」
「……本当はあっしが出すべきところなんですが……」
それでも、組長の厚意を無碍に断れず、松崎は強面に人の良い笑みを滲ませる。
「女将、もし酔って騒ぎになったらすまねぇな」
先代の頃より神無組に籍を置く松崎は、旧市街の古い店にも顔馴染みが多い。『ハナ』にも先代や現組長と幾度となく訪れている。
「はいはい、大丈夫よ」
神無組と付き合いの長い女将はお気楽に言いながらお通しの小皿を並べる。
「さ、何にしましょう」
松崎や鹿黒に好きなものを頼めと言った手前、若き組長は率先して焼酎や焼き鳥、刺身を注文する。
「ではあっしも焼酎でも……」
組長に倣い、松崎はどこか申し訳なさげに申し出る。
女将に酔うまで飲むやもしれぬと言ったものの、勧められぬ限りは昼間からそう派手に飲む気は無い。
(ま、ヤクザは飲んで何ぼだがな)
出された冷たいお絞りで禿頭を拭く松崎の隣、鹿黒は注文を取る女将にモモやホッケを頼む。
「酒はよく分からねぇから何か弱いのを一杯」
「梅酒のソーダ割りとかどうかしらねえ」
「任せるよ」
それぞれの酒が並んだところで、任侠たちはとりあえず乾杯する。
「しかし、ここに来ると思い出すな、……イヴ」
一升瓶からコップに酒を注ぎ、柘榴は傍らで旺盛な食欲を見せるイヴを見詰める。澄んだ青い眼をきょとんと瞬かせる妻にだけ、淡く笑んで見せる。
「十六年前」
短く呟いただけで、イヴはあの時のことを思い出した。日に焼けた頬を嬉しそうに赤く染める。
「お前がブラジルからはるばるこっちきていきなり決闘の続きしたあげく、」
「お腹ペコペコで倒れたネ!」
「仕方ねえから俺がここの焼き鳥奢った」
「柘榴が奢ってくれた焼き鳥は最高に美味しかったヨ! だから『ハナ』の焼き鳥は大好きヨ!」
柘榴が小さくコップを掲げる。イヴが応じてジョッキの縁を軽くぶつける。拳を合わせるように乾杯して、柘榴は酒を含む。
「そしたらいきなりの『結婚しよ!』の告白だろ」
「そうネ」
当時、薬学部の学生だった柘榴はそれはもう動揺した。焦り、狼狽した。何度帰れと言っても押しかけ女房は頑として譲らず、それどころか無一文だと胸を張る始末。
「イヴは故郷の決闘で負けて以来、最初からそのつもりでこっちに来たけどネ!」
あの時の騒動を思い出して、柘榴は思わず遠い目をする。あの時はそれはもう大変だった。己の内でかつてない修羅場だった。
無一文の若い娘を見捨てるのは流石に目覚めが悪いと好きにさせている内、うっかり情が移った。何よりじゃじゃ馬でどこまでも純真で、その癖かそれ故か強靭な肉体を持つイヴを、いつの間にか憎からず思うようになってしまっていた。
そうこうするうちに娘が出来て、覚悟を決めた。
「まあ、今思えばこれでよかったと自信持って言えるがな」
仏頂面で焼き鳥を齧る愛する夫の肩に、イヴはそっともたれかかる。えへへ、と嬉しそうに笑い、
「そんなぶっきらぼうだけど優しい所も大好きだよ、柘榴!」
情熱の国から来た褐色の肌の花嫁はどこまでもあけっぴろげに惚気る。
「イヴは素敵な旦那様と結婚できて幸せ者ネ♪」
惚気に惚気まくって、ぱちんと両手を打ち合わせ、
「思えば、あれが柘榴との初めての『デート』だったんだネ♪」
更に惚気る。
「見せつけやがって」
焼酎をあっさりと空けて冷酒に移りながら、文貴が夫婦を茶化して笑う。
「何時まで経っても熱々ねえ」
文貴の前に新しいコップを置いて冷酒を注ぐ女将にまで便乗してからかわれ、柘榴はコップの酒を一気にあおる。
「うっせぇ!」
酒の為か照れのせいか、目元を朱に染めて柘榴は声を荒げる。
「……まさか武者修行でぶちのめした相手が未来の嫁さんになるなんて思わねぇだろ?」
ぼやいて酒瓶を抱える柘榴の傍ら、
「うん♪ だって柘榴とイヴはラブラブだからネ♪」
イヴが天真爛漫な笑顔で力いっぱい頷く。
「皆、祝福してくれてありがとうネ♪」
嫉妬も何も全て跳ね返す純真な褐色美女の嫁に抱きつかれ、柘榴はますます照れて呻く。
「そういうお前さんらは馴れ初めとか何かねぇのか? あん?」
「誰との馴れ初めが聞きてえんだ」
柘榴の絡み酒に、数々の浮名を流す組長が唇を歪ませ、
「こんな婆ちゃんの馴れ初めなんか聞いてもしょうがないでしょ」
女将が朗らかに笑って流す。文貴達の前に注文の品を並べながら、
「そこのお兄さんはどう?」
端の席でゆったりと物静かに飲食する透に水を向ける。
「俺、ですか?」
「おう、いかにもモテそうなツラしてんじゃねえか」
人を何人か殺してそうなおっかない顔で柘榴が絡む。
「全然です」
透は柔らかな口調と表情で絡み酒をやんわりとかわし、絡まれたことを何とも思わずに酒を楽しむ。
「そっちのてめえは」
不意に矛先を向けられ、立樹は焼き鳥を取ろうとした手を止める。
「俺もそういうのはちょっとないですね」
「んだよ、気になる女の一人や二人居ねえのかよ」
「素敵な女性は大勢知ってますよ」
酔客を相手にすることに慣れたバーテンダーは、多少酔ってはいても恐ろしく爽やかに笑む。
酔っ払い同士の会話の聞き役に徹して、透は静かに穏かに笑み続ける。
「このイケメン共め」
理不尽に罵られても、
「イヴには柘榴が世界一の旦那さまネ」
目の前で惚気られても、透は笑みを崩さない。内心に何を思おうと表には決して出さず、ただただ話に頷き返す。
それが己の処世術。
自分の『本当』を、透は知り尽くしている。
己は、他者が人としての醜い本性を曝け出すことを望む。
己は、誰かが自らや他者に絶望することを望む。
他人の醜い姿が見たかった。その姿を見れば安心できた。
(俺の『本当』は、歪んでいる)
それはずっと自覚している。
だからこそ、その『本当』を隠す。
『本当』を曝せば社会の中で生きていくのは厳しくなる。生活ができなくなる。
己が歪みを自覚するが故に、透はどこまでも現実的に思う。
傍らで夫婦が幸せそうに笑う。つられて黒髪の青年が笑う。話を聞いていた振りをして、大きな猫を被った透も笑う。
今この場面は、平和で幸福に満ちているのに。
その場面に居合わせてさえ、己は心底からは決して笑えない。他人の幸せを薄っぺらいと嘲笑い睥睨する、真っ黒な己自身に『良い人』の分厚い仮面を被せる。他人の笑顔に合わせ、感情を隠して微笑む。
己を欺き、己を嘲笑う。
美味しい酒を飲み、美味しい飯を食べ、表面上は幸福に微笑む。
けれど。
心のどこかで何かがわだかまっている。
それを無視して、どれだけ酒を進めても、心は冷たく冷えたまま。酔わない。酔えない。
「強いですねえ」
ふうわりと頬を赤く染めて、黒髪の青年が人懐っこく笑う。
「それほどでもないです」
被った特大の猫を揺らがせもせず、温和に返す。表向きだけはゆったりとまったりと、酒と肴の一時を過ごす。
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ブロンズシナリオ(100)
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3人まで
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日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月03日
参加申し込みの期限
2014年06月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年06月10日 11時00分
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