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羽根が生えるまで
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「譲さん、食べたいモンあったらじゃんじゃん頼んじまっていいからな」
祐はお通しのポテトサラダについて来たプチトマトを摘まむ。素直に頷く譲に年上の笑みを見せる。
「最近調子どーよ」
大学楽しい?、と聞きながら、祐は心底楽しげにビールを干す。おかわりー、と祐が掲げたジョッキを店員が受け取る。
「大学楽しい?」
「夏休みだよ」
「そっか、そうだな、今は夏休みか」
いいなあ夏休み、と新しいジョッキを受け取り、美味そうにビールを飲む祐の横顔を譲は見る。元気いっぱいだけど、ほんの少し疲れているように見えるのは気のせいだろうか。
(仕事は大丈夫なの? えっと、)
聞こうとして聞けず、譲はビールをごくり、飲む。
(サボり……? まあいいか!)
ふと浮かび上がった心配は、ビールの泡と同じに弾けて消える。
「彼女とか気になる子とかいねぇの?」
「えっ?」
「譲さんモテるだろー」
「彼女? 今はいないよー」
祐はふうわりと頬をほろ酔いに赤く染めて、ぐいぐい譲と距離を縮める。
「いいよな学校、青春の日々」
過ぎた学生の頃を思い出すかのように、祐は遠い目をしてみる。
祐の遠い目につられ、譲はカウンター奥の業務用冷蔵庫に貼り付けられた『今日のおすすめ』を眺める。スズキの刺身、女将の出汁巻き卵、牛スジ煮込み(豆腐入り)、
「まだまだ俺も成長期真っ只中だぜ!」
ぐい、とほろ酔い執事に肩を組まれ、譲は思わず笑う。
休学していたことを悔やんではいないが、大学の友人は皆卒業してしまった。就職したり寝子島を離れたり、寝子島に戻って来てからこっち、遊べる友だちがいなくて実は少し寂しく感じていた。だから、
「祐さんがこうやって構ってくれるの嬉しい」
照れもせず喜びを前面に押し出す譲に、祐は明るい笑い声をあげる。
「そうかそうか、あ、冷酒おなしゃーす」
「俺焼き鳥食べたい! あと魚も!」
絶好調にご機嫌な祐につられて、譲もジョッキを空ける。
「今日のオススメのスズキ、お願いします」
焼き鳥も刺身も、ずっと居た外国では口に出来ていなかった。
「ほら、譲さんも俺のオススメ飲んでけ」
店員がカウンターに置いた透明な日本酒の入った硝子の銚子を取り、祐は硝子の猪口を譲に差し出す。
「純米原酒は冷やしてキュッと飲むに限るぜ」
「初めて飲むけど……」
返杯しようとする譲の手を押し留め、祐は手酌した自分の猪口を小さく掲げる。よく冷えた酒を喉に流し込む。原酒の強い酒精と清冽な旨味が口いっぱいに広がる。
「あー夏だなあ」
「うーん、よくわかんないな!」
二人同時に意味は違う率直な感想を吐き出し、二人同時に顔中で笑う。
手早く供された刺身と焼き鳥盛り合わせをつまみに、成長期青春真っ只中の二人は冷酒二合をすいすいと飲み進める。
「次は人肌の燗酒でー」
譲の猪口に冷酒の最後の一滴までをお酌し、祐は次を頼む。
内緒話をするかのように譲の顔を覗きこむ。
「将来の夢とかある?」
いい感じに酒の回ってきた祐の爽やかな笑顔と語る空気に、譲は一瞬真剣に考え込む。
「俺はもう夢叶えちゃったからなー」
祖父のように戦場カメラマンになり、世界中を旅して回る。それが、夢だった。
「寝子島でも変わらず写真撮り続けるだろうし……あっ、でも、大学卒業したいな」
夢を叶える為に休学していた大学はきちんと卒業したい。そうして、育ててくれた祖母を安心させたい。
「大学出たらまた海外行くと思うし……やっぱりあっちに呼ばれてる気がするんだ」
聞き役に徹する祐が燗酒をお酌してくれるのに小さく頭を下げて、譲は猪口に口をつける。冷酒とはまた違って、ふわりと広がる酒の辛さが口蓋に染みる。
「祐さんは?」
「俺はな、お婿さんになりたいなーなんて。素敵な家庭築いて、かわいい嫁さんと子どもと一緒に暮らすんだ」
祐は夢見る表情で、指折り数える。
「いい夢だろ」
胸を張ってドヤ顔をする。
「お婿さんかぁ」
隙の無い見事な得意顔に、
(なのにこんな昼間から飲んでていいのかな……)
譲は思わず浮かんだ突っ込みを酒と一緒に飲み込む。
「お互いの夢に乾杯」
「あ、うん、乾杯ー」
賑やかに酒を酌み交わす、己とそう年の変わらぬ二人組を眺め、高久は淡く微笑む。日本酒をちびちびと口に運ぶ。
「君は、――あ、名前聞いてもいいかなあ」
名を名乗りながら差し出されたピーターの手を躊躇いもなく握り返し、高久は自身の名を告げる。
「カメラマンか?」
ピーターの席の傍らに置かれた古いフィルム式のカメラを目にして、話の取っ掛かりに尋ねてみれば、
「そうそう、自称写真家なんだよねえ」
達者な日本語でなんだかちょっと胡散臭げな返事が返って来た。
「高久君は?」
「あぁ今はオフでな、明後日には戻らなきゃならないが」
そこまで言って、細い眉を寄せるようにして悪戯気に笑う。
「何の仕事か当ててみるか?」
「えー……」
ピーターは芝居がかった仕種で顎に手をやる。しばらく悩んで、参ったとばかりに額をぺしり、叩く。
「何だろうねえ、ちょっと分からないなあ」
「競輪選手なんだ、こう見えてもな」
「なるほど、スポーツマンなんだねえ」
「地方でやってるし、悪くは無いがよすぎない程度のレベルだからよほど好きな奴じゃないと知らないだろうし」
福岡の競輪選手は屈託なく笑う。酒をちびり、口に含む。
「寝子島には観光かな?」
「午前中、人に会う用事があってな」
酒を飲みながら楽しげに耳を傾けてくれる人懐っこい外国人に訊かれるまま、高久は口を開く。
「用事が終わったからトレーニングするべきなんだが……ちょっとそういう気持ちになれなくてな」
「そういう時もあるよねえ」
「……電話で懐かしい話題に花が咲いて、こっちで働いてる同級生が会いたいって言ってきて、」
「それで寝子島まで渡って来たんだねえ」
「……色々あって、伝えて、泣かせてしまった。それだけなんだけどな」
「へえ、大変だねえ」
口は挟まず、相槌だけをタイミングよく打つ聞き上手なピーターに、高久は居酒屋での初対面であるからこその話を零す。ほろ苦く笑って静かに酒を飲む。
コップを傾けていたピーターが、沈黙を払うように茶色の目を上げた。
「うちのかみさんも若いころは相当なもんでねえ、ワインボトルをこう掴んで、」
身振り手振りを交えて愛妻の話を語り始め、
「……あ、酒が切れちゃった。店員さんおかわりね!」
全てを語ることなく途中で途切れさせる。
高久は続きを促そうとして、隣から聞こえてきた笑い声に意識をさらわれる。楽しげな笑い声が耳に心地よかった。楽しい所はいい、と鋭い光を宿しがちな色素の薄い茶色の目を細める。
(見てるだけで楽しくなってくる)
「あ、すんません、煩かったか?」
祐が鮮やかな黄の瞳を気遣わしげに瞬かせる。その隣で譲が頭を下げる。
「いや、見てるだけで楽しくなってくる」
賑やかな弟達にするように、高久は軽く手を振る。
気分が乗らない時は一人で静かに飲むのも悪くは無い。けれど、明るい所で楽しむのも手だ。
(……と、いうか……あの二人の食べてるのも旨そうだな……?)
「すまないが、こっちもあっちのと同じものを」
「じゃあさ、一緒に飲もうぜ!」
祐が身軽に立ち上がる。
「いいねえ、誰かと一緒に昼間っから酒を飲むなんて最高の贅沢じゃあないか!」
ピーターが顔を綻ばせ、とっておきにキープしていた日本酒一升瓶を出してもらって立ち上がる。
「だよな、ピーターさん!」
「だよねえ、祐君!」
意気投合するほろ酔い祐とほろ酔いピーターを真中にして、四人は肩を並べる。
「あれ、ピーターさんもカメラマンですか」
「てことは君もかな? やあ、奇遇だねえ」
譲が興味深そうな声を上げ、ピーターがそれに応えて古いカメラを掲げる。
「残念ながら今はフィルムが入ってないんだよねえ」
底抜けに明るい相席の男達を肴に、祐は杯を重ねに重ねる。譲が笑い、ピーターが笑い、高久が微笑む。一緒になって笑おうとして、――ふと。
酒のせいだろうか。胸の奥の奥に押し込み仕舞い込んでいた感情が喉元に迫った。
「以前は考えもしなかったんだがな」
淋しい吐息に混じり低く零れた言葉を隠そうと、顔を俯ける。酒を満たした猪口に唇をつける。それでも、零れだした言葉は止まらなかった。
「俺は腐った正義の忠犬だった。今や噛み付くことも出来ず逃げた負け犬……」
呟きが途切れる。
「祐さん?」
銚子と猪口を抱え込んで、子どものように一瞬で眠りに落ちた祐の背中を、譲はそっと擦る。
何か気になることを言った気がしたのだけれど。
(きっと仕事大変なんだろうなぁ……)
とりあえず俺の家連れてこうかな、と譲は連れが寝落ちたのを潮に引き上げることにする。
「お勘定お願いしまーす」
あたたかな笑みを浮かべ、幸せそうに眠る祐の手の中から銚子と猪口をそっと取り上げ、相席の二人にそれじゃ失礼しますと如才なく挨拶する。
「俺が払っておきます」
祐に肩を貸し、立ち上がる。譲の肩で、ふわり、祐が笑う。
「優しい人に囲まれて、俺は幸せだな」
妙にはっきりとした寝言を傍らに聞いて、譲は小さな笑みを滲ませる。
「また今度埋め合わせしてよ、祐さん」
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3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月03日
参加申し込みの期限
2014年06月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年06月10日 11時00分
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