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羽根が生えるまで
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「いただきます」
水を傍らに、突き出しの枝豆と最初に頼んだ品を前に、昴は丁寧に両手を合わせる。
冷えた豆腐が夏の熱を帯びた口内を甘く冷やす。おろしたての大根の辛味と柑橘の爽やかな酸味を纏った冷えた鶏皮が噛みしめるごとに脂の甘みを弾けさせる。
(うん、間違いない)
顔を上げれば、炭火に炙られるタレの香りが押し寄せて、
「焼き鳥ください。一緒に白いご飯も」
「はいよ」
「ももにねぎま……」
ぼんじりもいいな、と昴は真剣な顔で考え込む。
品書きを見据える。とさかはあるだろうか。ハツも捨て難い。
(……全部注文しよう)
食欲に忠実に、腹が求めるものを全て注文する。
「ここら辺塩で一本ずつ。つくねも一本ください」
焼き鳥は大抵のものを塩で食べるのが好きだけれど、ことつくねに限れば、
「つくねはタレで」
それが至高だと昴は思う。
(軟骨が入っていたら最高)
「あ、後は塩で手羽先もください」
「はいよ、少々お待ちくださいな」
熊じみた店員が満面の笑みを浮かべ、張り切って炭火の前に立つ。女将が丼山盛りにしてくれた白飯を手に、昴は焼き鳥の香りをおかずに飯を食う。
旺盛な食欲を見せる孫と同じ年頃の少年を横目、伊織は昼間から居酒屋に入り浸る原因になった可愛い孫を思い出す。折角の孫の夏休み、二人で何処かに出かけないかと誘ったが、なにやら用事があるようで、
(……『また今度』と一蹴されちまった)
「いつか俺が生きてるうちに孫と来れたらな」
ビールを喉に流し込み、小さく一人ごちる。
「お孫さんかあ」
「おうよ」
直行が何気なく打った相槌に、伊織は大きく頷く。ビールをあおり、空のジョッキを女将に渡してお代わりを求める。
「俺ァ古武術やってんだがよ、孫がな、ちっちゃい頃から一緒んなって一生懸命修練してくれてよ、今じゃ免許皆伝、孫のお陰で肩の荷が降りた気分よ」
元々の孫バカ爺具合にアルコールの拍車が掛かり、紘之助爺ちゃんは聞かれても居ないのに孫自慢を始める。
「年の頃はほれ、そこのお前さんと同じくらいじゃねェか」
老翁の視線を受け、焼き鳥のモモをおかずに白飯をかっこんでいた昴が顔をあげる。どこか上品な目礼をする。
「うめえか」
「はい」
「カカカ、だろ。ここの砂肝はプリッとしててうめえぞ、食ってみろ」
「じゃあ、砂肝もください」
躊躇なく注文する昴に、伊織は酔いの回ってきた目尻に笑い皺を刻む。
「ちっちゃい頃はよ、『紘じい紘じい』五月蝿いくらいだったのによォ……」
近頃はあんまり構ってくれない孫への愚痴が零れたところで、
「一緒に暮らしてる従妹がねー、すごく可愛いんだよ」
同じくいい具合に酒の回った直行がほろ酔いの無精髭顔を綻ばせる。
「最近友達もできたみたいで。直兄ぃちゃんも嬉しいよー」
「そうかい、直兄ぃちゃんかい」
「ぬいぐるみ作り上手でねー、ほんといろんなのを作ってるよ。この間はパンダのぬいぐるみをもらったんだよねー」
「そりゃ可愛らしいな」
「そう、やっぱり可愛いわけですよ。ぬいぐるみもだけど従妹も!」
従妹の可愛らしさを力説して後、直行はがくりと肩を落とす。
「可愛いけど……いつか恋人とか出来るんだろうか……」
「あー、恋人なあ。そんだけ可愛けりゃきっとすぐだなすぐ」
酔っ払い伊織爺ちゃんの無責任な煽りに、直行はますます肩を落とす。がっくり丸くなる背中とは反比例して、酒に赤くなった目が妙に据わる。
「それはちょっと俺も平静ではいられないかも……」
「あれか、従妹が欲しければ俺の屍を越えて行けって奴か」
古武術の八代目家元である伊織が渋く笑い飛ばした途端、険を帯びかけていた直行の目がぎくりと震えた。
「そ、そうなのかな」
「違うってのか」
「……そうなのかも」
従妹可愛さが余り余って、酔っ払いの眼が再び据わる。
暇を持て余した酔っ払い爺が勢いよく立ち上がる。
「そうとなりゃあ、直兄ィちゃんよ。これから俺んち来い、お前さんの可愛い従妹を守るための作戦立てようぜ」
「いいんですか」
「ここで会ったのも何かの縁だ」
ビールをあおる自由奔放な爺の勢いに呑まれ、直行も残りの酒を飲み干す。
「……よろしくお願いします」
「いい酒もあるしよ」
「あ、持ち帰り用に何本か適当に包んでください」
「ついでに俺の孫の話も聞いてくれよな」
作戦会議と言う名の二次会を企みながら、片方は孫の可愛さを、片方は従妹の可愛さを賑やかに語り合う。
「繁盛してやなあ」
女将に注いでもらったお勧めの冷酒に口をつけ、梅はしわくちゃの顔をますますしわくちゃにして笑う。
「毎日あっついで奥さんも無理せんやに」
梅さんも、と割烹着の女将がスズキの刺身を置く。
「そういや奥さんはシリウス出身や言うとったなあ」
「はいはい、おおいぬ座はシリウスの出ですよ」
つぶらな瞳を大真面目に瞬かせる梅に、女将は動揺した様子もなく頷く。
「あれか、九夜山にUFOで来はったん? それとも京都のあの山か?」
「わたしは内緒。梅さんは?」
「わたいはもうどうやって来たか忘れたわ。またそのうち思い出さなならんのやろけどな」
「そうなの?」
「そうえ」
冷酒を含み、スズキの刺身に箸を伸ばす。淡白な白身に程よく乗った脂を味わって後、辛口の冷酒で脂を流す。
柔和な茶色の眼を眠そうにしょぼしょぼさせ、それでも酔っているのかいないのか、梅はおおらかな笑みを浮かべる。
「この島は星がよう見えるで、何やら懐かしなるわ」
「本当、星が綺麗ねえ」
女将はおっとりと笑う。宇宙人梅は何杯目とも知れぬ酒を飲み干す。齢九十には思えぬ健啖家ぶりを見せて後、しばらくぼうっと店内を眺める。
そうして、ひとつ席を空けた隣でひたすら焼き鳥と白飯を食う昴に眼を留める。
「お兄ちゃんはどこの星のお人やろ?」
「俺は地球人です」
流れるように適当なでたらめばかりを話す宇宙人梅に問われ、けれど何事にも滅多と動じぬ少年は然程表情も変えずに応じる。
「地球はええとこやろか」
「そうですね、概ね」
梅の真剣な問いに真面目に答え、昴は焼きたての柔らかいつくねに齧り付く。コリッとした軟骨の感触、広がるタレと肉の旨味、そこに被せて白飯の甘み。続けて更に白飯。
一人で黙々と焼き鳥を食らいながら、昴は何故かも分からぬ充実感を味わう。
端の席では大層な御年の婦人が焼酎のロックを嗜み、真中近くの席では初対面らしい青年と老人が親しげに酒を酌み交わす。
美味そうに酒を飲む周囲の大人達を見れば見るほど、
(……あぁ、四年後の夏が楽しみだ)
成人してからの楽しみにとお取り置きしている飲酒がますます楽しみになってくる。相乗効果で余計に飯が美味くなる。
(食べ過ぎてしまいそうだ)
丼に山盛りだった白飯はいつの間にか空っぽになってしまっている。食欲に任せて頼んだ焼き鳥も、隣り合わせたお爺さんに勧められた砂肝も、もう無い。
お代わりをするかどうか悩み始める昴の側、
「ほいじゃご馳走さんでした」
梅は代金をカウンターに置き、僅かも酔ってはいないように見える様子で立ち上がる。壁に立てかけた杖を取り、本当は杖なんて不要に思えるほどしっかりとした足取りで席を離れる。
「また寄せてもらうわ」
女将と店員の見送りの声に機嫌良くひらひらと小さな掌を振ったところで、
「梅さんもうち来ねェかい? 直兄ィちゃんの従妹奪還作戦に参加してくんねェか」
お土産用の焼き鳥の包みを提げた直行の背中をばっしばっし叩いて上機嫌な紘之助に呼び止められた。
「従妹はまだ誰にもやった覚えは」
「こまけぇこた気にすんじゃねェ」
「あいあい、ほな、おおきんな」
酔っ払い爺婆に挟まれ、青年は真夏の太陽の下に連れ去られて行く。その先で待っているのは作戦会議と称した梯子酒。
「あらあら、大変ねえ」
手早くカウンターの席を片付けつつ、女将が楽しそうに笑う。
「あのお婆さん」
「梅さん?」
「本当に宇宙人ですか」
端整な顔を崩しもせず、昴は財布を取り出しながら問う。
「わたし、シリウス星人に見える?」
「いえ」
女将が頬に皺を刻んでくすりと笑う。昴は首を小さく横に振る。
やっぱり流石に食べ過ぎた、と胃のあたりを撫でて、幸せな息をひとつ。
「ごちそうさまでした」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月03日
参加申し込みの期限
2014年06月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年06月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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