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眠れない夜に
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読み終えた本を閉じ、
倉前 七瀬
は伸びをする。枕元を照らすライトを消して、布団から出る。陽はまだ昇っては居ないけれど、外はもうぼんやりと青く明るい。
いつもよりちょっと早くに起きてしまったため、寝つけにと本を読んでいたのに、
(全くの逆効果でしたね)
色素の薄い指先でカーテンをちらりと引っぱり、外を覗く。冴えてしまった深い緑色の瞳に、早朝の蒼が映る。網戸を通して、夏の朝のにおい。
早朝の空気と、机に置いたまだ読んでいない本とを秤にかける。
(ずっと部屋にこもって本を読んどくのも悪くはないんですが)
夏休みの過ごし方として、それも悪くはないけれど。
(せっかくやけん、散歩でもしてみましょうか)
それだとなんだかもったいない気がしてきて、七瀬は窓をそっと閉める。適当に身形を整え、とりあえず桜花寮を脱け出してから、さあどこに向かおうかと猫の瞳にも似たくるりとした眼を、それこそ猫のように細める。
道を幾つも隔てた海から、潮風が駆けて来る。
生活音の少ない早朝のこの時間は、耳を澄ませば海鳴りが聞こえる。
(海から昇る朝日をみるっていうのはいいかもしれませんね)
海の音に誘われて、七瀬は夏の朝を歩き始める。
海から押し寄せた風が、シャツの裾をばたつかせる。肩のあたりまで伸びた白雪の髪を潮風に惑わされ、
東城 六
は雲の色した眼を顰める。
寝子浜海岸の堤防沿いの道をゆったりとした足取りで辿る。
海から流れ込み、好き勝手に町を駆けて行く潮風の強い音は、いつか道端に倒れている時に聞いた風の音に少し似ている。
(六年)
もう六年も経つのか、と思い、
まだ六年しか経ってないのか、とも思う。
(六年ほど前まで)
潮風に髪をなぶらるまま、立ち止まる。
六年前のあの日、道端に倒れている所をあの人に助けられるまで、六は暗闇の中に生きてきた。この国に生きる子供の『普通』を、六は知らなかった。
生きる為、人を欺いた。
生きる為、人を傷つけた。
生きる為、それが普通だと信じ込もうとした。生き抜く為の知恵はあったが、それでも十歳の子供の力では大人には敵わず、大人の思うままに翻弄された日々の記憶が今も消えない傷のように残っている。
夜明けの風が雪崩寄せる。
蒼紫に白んでいく空を仰ぐ。あの頃も、夜明けの空をこうして仰いだ。こんなに広く美しい空ではなく、ビルの壁と壁に挟まれた、白々しい夜明けの空。
その空に、生き延びる為だけの一日がやっと終わる安堵を思った。昼間に生きる人達に世界を奪われて行くような不安を思った。疲れ切った身体を冷たい地面に蹲らせた。
あの人に助けられたあの日からはもう、そんな夜明けを見る事もなくなった。暗闇の世界に近付くこともせず、したいとも思わないが、
(こちら側で)
昼間に生きる人たちの側で、僕は上手くやっていると言えるのか?
子供っぽい同級生の誘いを、面倒だからと何かと理由をつけて断り続けている。別にそれでいいと思ってはいるけれど、
(本当にそれでいいのか)
朝の空気を胸に通す。静かに明るく澄んでいく空を、光に呑まれて消えていく星と月を眺める。
ここは、夜でも明るい。暗くても明るく、そして広い。
明るく開けた世界の真中、六は己が身の置き場に迷うて立ち尽くす。手に入れた自由を、思う。
人と関わる方法を、考えなくてはならない。
『友達』を作る方法を、改めて考えなくてはならない。
(友達、か)
そう考えていて、穏かな水平線のその先、まだ見えぬ太陽を待ちながら、堤防に沿ってのんびりと歩いてくる同じ年頃の少年に気付いた。常ならば無言だったかもしれない。けれど。
「お早う」
思い切って挨拶してみれば、眠たげな翠玉の眼をしたどこか儚げな少年は、戸惑いもせず笑い返してきた。
「おはよう」
何の屈託もなく返された挨拶に、むしろ六の方が戸惑う。言葉を続けようとして何を言えばいいのか迷っている間に、少年の方から声が掛かる。
「もし暇やったら、僕と一緒に散歩しませんかー?」
「いいのか」
思わず聞き返す。少年は不思議そうに瞬き、
「あ、僕、
倉前 七瀬
です。寝子高の二年」
まるで名乗らなかったのが聞き返された原因のように、表情を柔らかく緩める。
「東条 六、……寝子高二年」
「何科ですか?」
「芸術科です」
「ああ、だからあんまり見覚えないんですかね?」
僕は普通科です、と七瀬はのんびりと笑う。
一人で散歩していても面白くなかった。さすがにこんな早朝に人は居ないのかと思いながら、でもやっぱり誰か話相手になりそうな人が一緒にいてくれればいいのにとぶらぶらと歩いていた矢先、ひとり海を眺める少年を見つけて、近づき難い雰囲気にも全く構わず声を掛けたのだけれど。
「海へ下りてみませんか」
「なぜこんな時間にここに?」
「海から昇る朝日を見に来たんです」
砂浜に下りる階段を一段一段のんびりと降りながら、七瀬は振り返る。
「六こそ、何でこんな早くにこんなとこに居ったんですか?」
「早起きしたので散歩に」
「じゃ、僕と同じですね」
朝焼けの色に染まり始める空気の中、七瀬は立ち止まる。まだ見えない太陽を探して、遠い海に視線を投げる。
沈黙を気にしていない風の七瀬の隣、潮風に眼を細めて六は立つ。
(友達、か)
ぽつり、再度思う。避け続けてきた『友達』との関わり方を、人と打ち解ける努力を、考えた方がいいのかもしれない。
この美しく明るい世界で生きていく、その為に。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年04月28日
参加申し込みの期限
2014年05月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年05月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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