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眠れない夜に
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今日は眠れない。
眠ってはいけない、眠ってしまえばネコミケの原稿の追加ページが落ちる。落とすわけにはいかない、彼らの冒険はこれからだ、このCPでこれからまだまだきゃっきゃうふふしてもらわねばならないのだ、これはあたしの使命なのだ原動力なのだ、だから眠っちゃだめなのだ、書き上げるまでは眠れな……ぎゃあああ、○○様と○○君が(お好きなキャラの名前でどうぞ)屋上でアンナコトやコンナコト――
トーンナイフが机に転がる音に、
「……ハッ! 寝てた!?」
桃原 空音
は原稿に突っ伏していた顔を跳ね上げる。垂れていたアホ毛が一緒に跳ねる。
顔に貼りついた花柄トーンを剥がして、原稿に貼り付け直す。丁寧に、ていねい、に……
頬が机に貼り付く。眠い。絶対に眠れないというのに、眠い。
「むー」
眠たい眼を擦り、立ち上がる。原稿作業専用にと猫鳴館に確保した通称『缶詰部屋』の床は、歩く度にそれこそ猫が鳴くように軋む。
眠気覚ましに外を散歩でもしよう、と立て付けの悪い戸から暗い廊下に出て、
「ほぇ?」
空音は栗色の大きな眼を瞬かせる。隣の
邪衣 士
の部屋の戸から、電気の明かりが廊下に漏れている。と言うことは、部屋の主はまだ起きている。そうと決まれば、
「ねーねー!」
空音は躊躇いもせず士の部屋の戸を勢いよく開けた。
電気が通っていても何故だか妙に暗い猫鳴館の一室で、自治会長である士は遅くまで黙々と書類作業をこなしていたらしい。
「夜中に騒がしい奴だな」
作業に一段落をつけ、一息入れようと伸びをしたその格好のまま、士は部屋に駆け込む空音を眼に映す。
「何してるのー?」
「見ての通り仕事してたんだよ!」
とはいえ、その仕事は実はたった今終わったところ。
「……また自治会長のお仕事してたの?! 無理しないでね?」
下ろした腕に空音の小柄な身体ぜんぶでしがみ付かれ、士は呻く。
「……一体どうした?」
「どうせ寝ないならお散歩しよっ!」
「散歩?」
腕に空音をぶらさげて、士は立ち上がる。外に出るとなれば、いつもの熊も羽織って行かねば。
「まぁ別にいいが」
「わぁい!」
空音は全身で飛び跳ねる。跳ねながら部屋の外へ飛び出す。
薄暗い廊下を、夜の闇に包まれた寝子島高校の裏山の道を、空音は怖じもせず、スキップで下りていく。
先を行く空音を敢えて追わずのんびりと道を辿りながら、士は月と星の光に照らし出された小さな背中を眺める。
ショートカットの黒髪を月光と夜風にふわり揺らして、空音が振り返る。朗らかな笑顔で、明るい声で、裏山の森の空に広がる星空をまっすぐに指差す。
「この時間は星が綺麗で風が涼しくて気持ちいいねっ!」
珍しく普通なことを言う空音の白い指先に誘われて、空を仰ぐ。
「確かに星がきれいだと飽きはしないな」
素直に頷いてみせると、空音は楽しげにその場で跳ねる。じっとすることを知らない幼子の仕種で、後ろを歩く士のもとに駆け戻る。嬉しくて堪らない気持ちを隠そうともせず、士の胴にがっしり抱きつく。
星を眼に宿して、躊躇いも恥じらいもなく見詰めてくる。顔中で笑う。
「せっかくだから遠くまで歩いてみよっか」
「遠くまで?」
妹分がまっすぐに向けてくる好意を生真面目に受け止め、士は胴にしがみつく空音の手を引き剥がす。
「迷子にならないならいいぞ」
「あたし達の夏休みはこれからなのだっ!」
空音は寝子ヶ浜海岸に至る最後の階段を飛び降りる。砂浜に両手を広げて着地するなり、波打ち際目指して走り出す。
「海か……」
「海まで来ちゃったしここで休憩して帰る?」
「おぼれるなよ」
肩越しに振り返って笑う空音に応え、了承を示して手を挙げる。てっきり波と戯れるのだろうと思ったが、空音は波が打ち寄せるぎりぎりの砂浜にひょいとしゃがみこんだ。
「って砂遊びか」
「蒼魔館つくろうっと」
名称はよく分からないが、どうせゲームに出て来る館だろう。
「そーいえば夏休み士くんどうするの?」
「夏の予定?」
せっせと蒼魔館建築に勤しむ空音の傍ら、小さな妹を見守る兄のように立つ。青紫に明けていく空を遠く眺めて後、ご機嫌に揺れるアホ毛を見下ろす。
「俺は特に無いな。部活で何かあれば参加するだろうとは思うけど」
「あたしはね、ネコミケと合宿以外はまだ決まってないな」
山に固めた砂をその辺で拾った木切れで削り始める。
「あっ、でも! 夏祭りあったらいいな~、楽しみ!」
「夏祭りか。確かにいいかもしれないな」
見る間に館の屋根が出来、窓が出来、壁が出来上がっていく。黙ったまま、器用なものだと感心していたその途端。
「士くんは『彼氏』とデートいつするの?」
さも当然の如く空音が口にした言葉に眉を顰める。
「何日一緒に寝るの?」
言っているうちに興奮してきたのか、二次元と結婚したい少女の息遣いが荒くなってくる。
「何回にゃんにゃんするの!?」
空音がセクハラ発言を重ねる毎、士の眉間に刻まれた皺は深くなる。歩く内に熱が籠もって片手に持ち替えていた熊の毛皮が細かく震えだす。
「ねーねー、士くん」
「色々といいたい事があるが一つ言わせてもらおう……」
言葉だけでは足らずに立ち上がり、キラキラした瞳で纏わりつきはじめる空音の襟首を、士は熊殺しの怪力で以て片手で掴む。そのまま容赦なく、
「そもそも俺には彼氏はいないしそっちの趣味もねぇ!」
青空の色を湛え始めた海へ少女を放り投げる。
「ぎゃああ!?」
見事な放物線を描いて変態少女は海に落ちた。ざばーん、と水柱が立つ。
「なにすんのさ!?」
さしてダメージを受けた気配もなく、空音は波間に立ち上がる。砂浜に仁王立つご主人のもと、頭から爪先から海水の雫を撒き散らしながら子犬よろしく駆け戻る。
「全く……風邪引くなよ?」
海に投げた当のご主人に心配されて、空音は大きな眼を細めて笑い、笑った次に盛大なくしゃみをする。
「ヘブシッ寒いじゃん!」
「って、何やってんだ?」
くしゃみのついでに背中にへばりつかれ、士は背中に広がる海水の冷たさには構わず首を捻る。首に巻きつく空音の両腕が落ちないように片手で掴む。
「暖とってるんだよ!」
背中でくすくすと笑ったかと思えば、
「……お胸が小さいとか言うなっ!」
「いてぇ! 誰も平らでさみしいとか言ってねぇよ!」
くっつけた背中から心中を読んだように頭をハタかれた。お互いに容赦のない遣り取りをしながら、空音は士に全身で抱きつく。士は腕に引っ掛けていた熊羽織をへばりついた空音の上から一緒に被る。
「全く……でー、いつまで背中にくっ付いてるつもりなんだ?」
白く青く、夏陽の色に染まって行く海と空に背を向け、砂の蒼魔館を置き去りにして歩き始めながら、背負った空音を揺すり上げる。
応えがないことに首を捻って背中を覗けば、空音は一瞬の隙を突いて眠ってしまっている。
「しゃあない、連れて帰って寝かせておくか」
小さく息を吐いて、眼前に広がる砂浜とその向こうの町を見遣る。
「……猫鳴館どっちだったか?」
呟いて、まあ適当に山目指して歩けば辿り着くだろうととりあえず砂の上をでたらめに歩き始めて、
「お早う、邪衣」
堤防の階に座る、スケッチブックを手にした白い髪の少女と鉢合わせる。
「旅鴉」
名を呼べば、月詠は紅眼を大人びて笑ませる。
背に負った空音を見ながら月詠が浮かべたどこか意味深な笑みに、士の脳裏に『朝チュン』だの『事後』だの、空音に吹き込まれた不穏な言葉が飛び交う。まさかとは思うがそんな風に捉えられてはいまいか。
「どこから見ていた?」
「此処からだが」
月詠は素知らぬ顔で画材道具を片付けるばかり。
「そうではなく」
焦れて重ねて問えば、荷物をまとめて立ち上がりながら、月詠は人の悪い笑みを浮かべる。
「仲良きことは美しき哉。さていいものを描けたし、君達が帰るに合わせて私も帰ろう。……何なら」
士の方向音痴発言を聞いていたのかいないのか、月詠は朝日を受ける町へと視線を向ける。
「猫鳴館まで散歩しようかな」
マイペースに歩き出す少女の背中、白い髪が鳥の翼のように風を集めて広がる。
夜が、明ける。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせ致しました。
眠れない夜から朝にかけてのお話、お届けにあがりました。
初めてのリアクション、少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。少しでもお気に召して頂けましたら嬉しいです。
眠れない夜の過ごし方、人それぞれの過ごし方が色々あって、それを書かせて頂けまして、本当に楽しかったです。
寝子島マップとにらめっこしながら書いておりました。地図がありますと想像が広がって面白いですねえ。
ご参加、ありがとうございました。
またそのうち、寝子島のどこかでお会いできましたら嬉しいです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年04月28日
参加申し込みの期限
2014年05月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年05月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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