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眠れない夜に
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執事の追跡は振り切った。
民家の塀に背中を押し付け、
宇多野・ユニ・アヴァロン
はささやかな胸を白い手で押さえ、深呼吸を繰り返す。
タチアオイが鮮やかな赤紫と真白の花を覗かせる塀に沿って、ご機嫌に道を歩き始めた足が、ぴたりと止まる。
ブルーローズの瞳のその先には、並んで歩く男女の背中。
背の高い、見慣れた男の後姿。大きな手にはバケツと釣竿、もう片手には朝食が入っていると思しき紙袋。
ユニは塀の影に身体を半分隠す。のんびりと歩く男の後姿をオペラグラスで確かめる。身形に構わないぼさぼさの黒髪も、何者にも囚われない悠々とした歩き方も、間違いない。同じ高校に通う
篠木 昴
だ。
(何アレ、……ちょっと、昴……!?)
オペラグラスに視界に捉えるのは、背の高い昴を仰ぎ、知的なルビー色の瞳を親しげに微笑ませる大人の女性。
女性に何事か答え、物静かな横顔を見せて昴が頷く。
夏の夜の寝苦しさに釣りに出た昴が、寝付けず散歩していた知り合いの女性と偶然出会い、何となく釣りを一緒にする流れになって歩いているとは、
(散歩に出た結果がこれよ!)
怒りに眠気を吹き飛ばしたユニは毛頭考えない。
(なんで女子と二人で釣りを!?)
肩を並べて歩く二人が角を曲がる。ユニは弾かれたように駆け出す。
(あたしと約束してたじゃない!)
向日葵の並ぶ鉄柵の角を折れれば、道は海までまっすぐ続く。
二人は海へと伸びる防波堤を目指しているらしい。昴が先に立ち、慣れた足取りで歩いて行く。その後に続いて、暁の海風に長い髪をなびかる女。
防波堤の半ば、二人は足を止める。
「見てる場合じゃないわ!」
ユニが鋭く呟いたのとほぼ同時、女のはしゃいだ声が聞こえた。
「私もやっても良いのでしょうか!」
大人しそうな外見とは裏腹、元気一杯なお転婆少女のような声。
(やるって、何を?!)
ユニは眼からオペラグラスを引き剥がす。
胸に渦巻く感情のまま、人型四脚エンジン駆動陸戦型巨大ロボットを背後に召喚しようとして、現れたのはプラモデルサイズの人型ロボット。けれど呆然としている暇はない。
「突貫!」
動くプラモデルを引き連れ、ユニは防波堤の縁に腰掛ける二人の背中向けて突撃する。
「昴! 一体どういうことよ!」
防波堤に響き渡る賑やかな声と足音に、
篠木 昴
と
雪代 伊織
は振り返った。
「やっぱりあれなの! 出っ張ってるほうがいいの!?」
紅の眼を瞠る伊織を見、自分のささやかな胸をちらりと見下ろし、ユニはむくれる。
「あたしと約束してたのに先に……! 他の子にも同じ事言ってたの!?」
傷付いたように喚く、昴と同年代の少女に、伊織は首を傾げる。
こんな早い時間に出歩くのは初めてで、昴と出会ったのは偶然で、そう伝えようと唇を開きかけるも、
「一応あたしは夜中でも昴の誘いなら起きるわよ!」
少女は隣で同じように呆然と栗色の眼を見開く昴の前に膝を突いた。胸倉を掴むように昴の広い胸に縋り付こうとして、顔を赤く染めて踏み止まる。
「バカバカァ! そういうことならもっと先に言いなさいよ!」
「そういうこと……?」
「そういうことはそういうことよ!」
呟く伊織に、噛み付くように叫ぶユニをちょっと他人事のように眺めながら、当事者である昴は黒髪の頭を掻く。
(これは修羅場ってやつか)
どうしてこうなった、と眉間に皺を寄せる。
「落ち着け、宇多野」
「いや、落ち着くのよ、
宇多野・ユニ・アヴァロン
」
昴が声を掛けると同時、ユニは両手に人型ロボットを握り締め、二人に背中を向ける。ろっこんの発現であるロボットを消す。
「ここで見極めるのよ、早とちりだったら死にたくなるし、この朴念仁天然アホーは無意識女たらしかもしれないわ」
「全部聞こえているが」
物怖じしない昴が低く突っ込むが、聞こえている様子はない。
「宇多野」
昴は低く呼びかける。細い肩を震わせ素直に振り返るユニの小さな手に、釣竿を握らせる。
「釣りを教えてやる」
「まさか三人で?!」
「雪代伊織と申します」
激昂しかけたところを、伊織が絶妙なタイミングで丁寧に頭を下げる。ふわり、大人の微笑みを浮かべる。
「それにしても可愛らしい女の子です、昴さんも中々隅には置けませんね」
「えっ、あ、……」
「いや、あの……」
大人の対応にユニはたじろいだ。一緒に昴もほんの僅か頬に朱を上らせた。
「せ、せっかくだから付き合ってあげる」
釣りのやり方詳しく教えなさい、とユニは昴を真中に伊織と並んで座る。
「一応嗜みとしてやったことはあるけれど、磯釣りは初めてだから」
ユニは精一杯背筋を伸ばす。
「伊織さん、ヨロシク?」
「はい、よろしくお願いいたします」
昴からもう一本の釣竿を受け取り、伊織は微笑む。こちらはまるで初心者の手つきで、釣竿を物珍しげに眺める。
「宇多野、雪代さん」
怒気を放つユニと、修羅場な現状に気付いているのかいないのか心底楽しげな伊織に挟まれ、昴は困惑しながらバケツの中に入れて来たビニール袋から餌のオキアミを取り出す。
「とりあえず最初は両方とも俺が餌を付けてみせるから」
よく見ててくれ、と偶然利き手の方にあった伊織の釣竿の針を手に取る。
「これがイソメ、キバがあって噛んで来るのね普段のあたしならたじろいだわ」
途端、ユニが黒いオーラを噴射した。手にしているのはバケツの底に潜んでいた、前日の釣餌のイソメ。ミミズに似た姿の上、案外詳しいユニが呟く通り、針に付ける際噛み付くこともある。
「でも今はもう何も怖くない」
掌の上でもぞもぞ蠢く凶暴な蟲を、ユニは真顔でどつく。半ば潰れたかわいそうなイソメを容赦なく釣針にブッ刺す。
「じゃ、あとは釣り糸垂らして待つだけだ」
「ありがとうございます」
「ええそうね! 飛んで行くのよイソメ!」
伊織がそっと揺れる波間に糸を放り、ユニがイソメ付きの針糸を遠い海に全力投入する。
そうして一応、場に早朝の静けさが戻る。
女性ふたりがそれぞれに釣り糸を垂れたのを確かめて、昴は一人、昨日パン屋のキムンカムイで朝食用に買ったサーモンサンドを取り出す。
伊織は楽しげな表情で波間に揺れる釣り糸を一途に見詰めている。
ユニはその場に仁王立って釣竿を凶器のように握り締め、視線を落ち付かなげに伊織と昴と海とに行き来させている。
「どうした、食べるか?」
ユニ曰く朴念仁天然アホーな昴は、ユニの視線の意味をサーモンサンドが気になるだけと理解した。食べかけのサーモンサンドを無造作に差し出す。
「いッ、……いらないわよ!」
ユニの頬が昇りたての朝日よりも赤く染まる。首を横に振り、全力で拒絶されても昴は気にせず、泰然と明け行く海の潮風を浴びる。
(そう言えば)
不貞腐れて海を睨むユニの横顔を座ったまま眺めて後、昴は反対に座る伊織へと視線を移す。
(雪代さんって口固そうな大人……だよな)
防波堤に柔らかな波が寄せて砕ける。
(ちょっと悩み聞いてもらってもいいか……?)
昴の視線に気付き、伊織が海に据えていた眼を瞬かせる。朝日を受けて真紅に染まる紅茶色の眼で、昴を見詰める。
普段は穏かで大人っぽく見える彼が、今は少し元気を失っているように見えた。
「何か悩み事でもあるのですか? もしよろしければお話だけでも聞きますよ?」
視線が交わった途端に発せられた伊織の言葉に心を読まれた気がして、昴は眼を瞠る。何かを言おうとして口を閉ざし、海へ視線を逃す。
隣で知らぬ顔を装って耳をそばだたせるユニの横顔をちらりと見て、
(……宇多野本人居るけどぼやかせば問題はないだろ)
根っからのんきで面倒臭がりな少年は小さく頷く。
(ついでだし名前呼びでいこう)
腹を割る意味もこめて、と唇を引き結ぶ。真直ぐに伊織を見詰める。
「伊織さん」
「いい伊織さんですって?!」
何か勘違いしたユニが悲鳴を上げるも、昴が不思議そうに眼を向ければ、ユニは険を帯びた瞳のままそっぽを向く。
「勝手に続ければ」
そう言い放たれてしまえば、異性への対応が苦手な昴はそうかと頷くしかない。
海底で魚に突かれる哀れなイソメに呪いの言葉を吐き出し始めるユニを横目に、昴は訥々と悩みを口にする。
「伊織さん、実は俺には気になる子が居てね」
視界の端にその気になる子を捉えたまま、昴は続ける。
「素直じゃないがなにかとよくしてくれる奴でさ。そいつを想うと気分がざわつくんだが、これは所謂恋なんだろうか」
俺は宇多野とどうありたいんだろう。自分自身に幾度問いかけても、答えは分からない。
「変な話をして申し訳ない」
動かぬ釣り糸を垂らしたまま、話に耳を傾けてくれる図書館の司書に、昴は小さく頭を下げる。
「ただこう、……年相応の悩みって奴を話せる相手が他に思い浮かばなかったものでさ」
年よりも大人びて見える少年の、けれど年相応な相談に、
「ほむ、気になる人でございますか」
上品な物腰とは裏腹、人懐っこい司書は闊達な笑みを浮かべる。思いつめた瞳をする少年の視線を導くように暁の海へ眼を向ける。
「……感情に名前をつけて安心したい気持ちは分かります。ですが、よく分からないままに決めつけてしまう事はきっと後で後悔してしまうと思います」
伊織の明るい視線を追いかけ、昴は遥かな海を眺める。
「もっとその方と色んな時間を過ごして、色んな事をして、そうやって少しずつ自覚して行けばいいと思いますわ」
大事なのは、と隣で一途に海を見詰める少年の横顔を見る。いつか少年の傍らに座り込んで同じように海を見る元気な少女の横顔を見る。
「大事なのは心で、名前という枠組みじゃありませんもの。ね?」
海風にばさばさと黒髪を暴れさせる、高い位置にある昴の頭を、小さな少年にするように撫でようと手を伸ばし掛けて、
「……あの、伊織さん」
迷いを払った、昴の真直ぐな瞳に射られた。少年のように見えた昴が急に大人びて見えて、頭を撫でようとした手を止める。
「今後もちょくちょくこんな相談してもいいかな」
けれど、昴から放たれた言葉はまだまだ迷う少年のそれで。
「また何かあれば是非相談にいらしてください。力になれれば幸いです」
人生の先輩として、伊織はにっこりと力強く微笑む。
「昴はやっぱり落ち着いた大人の女性のほうがいいの?」
大人しくしていたユニが、不意に立ち上がった。怒りのような悲しみのような、複雑な顔で釣竿を昴に押し付ける。
「今まで散々我儘言ってたのも全部昴のことが、」
言いかけて、唇を押さえる。
「……本当に偶然あっただけ?」
発した言葉を誤魔化すように昴を詰問し、昴が応えるよりも先、聞きたくない、と首を横に激しく振る。
「馬鹿昴! あたしとの釣りの予定は別途に用意すること! いいわね!?」
言い捨てるだけ言い捨てて、ユニは踵を返す。
「気になる方とはもしかして……」
伊織は悪戯っぽく瞳を煌かせ言葉を続けようとして、止める。
(邪推はやめておきましょう)
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年04月28日
参加申し込みの期限
2014年05月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年05月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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