【終業式】輝かしきピリオドを――夏休みを求めて！｜リアクション

【終業式】輝かしきピリオドを――夏休みを求めて！

　その修だが、常闇月やチェシャ猫の響タルトと共に、とうとう舞台袖に到達していた。
　彼等と同じく、着実に袖を目指した普堂しおりや、姿は見えないが霧谷朧、そして御巫時子も一緒だ。
「どうにかたどり着いたねー。流石にここには、光は届かないみたい」
　互いの健闘を称えつつ、しおりがホッと、一息をつく。
「ああ。これで、空調を冷房に出来るぞ」
　修が空調システムを、冷房運転に切り替える。
　その横で、しおりは緞帳を上げる操作盤へ。
「あった、これが昇降装置だね。中学で使ったから操作出来るよ……鍵を刺して回して、電源入れて……っと」
　昇ボタンを押せば、緞帳は見る見る上に巻き上げられていく。

　光が、若干、弱くなった。

「あれれ……？」
「まだ近いのでしょうか」
　月も舞台に目を凝らす。
　憎々しいのは、校長のハゲ頭。

「私……クローネさんの羽根を、探して抜いてみます……」
「いや、校長の頭にタッチしてきた方が、早いだろう」
「そう、でしょうか……？」
「クローネの羽根は、恐らく発動条件に過ぎないだろう。それなら抜いたところで、光が収まる保証はどこにもない」
　困惑する時子に、静かに頷いて見せて。
「……常闇」
「はい」
　月は修の次の言葉を、静かに待っていた。そんな彼女に策を与えると、修は「かしこまりました」と簡潔に答える月を残して、自分の席のあった方へ静かに引き返した。
　修はこの後、スピーチを控えている。
　自分の役目を果たすためにも、ここで騒動に巻き込まれるのは上策とは言えなかった。

「ふむ……じゃあ、私も “ひと” さん達が、リラックス出来る様に♪」
　しおりは音響システムを操作すると、現代版・寝子島高校七不思議のひとつと言われる作者不明の「幻の校歌」を流し始めた。
　軽快なラップで、何とも賑やかな曲が流れ始める。

【幻の校歌】

　　ここは寝子島　マジで良い島　セーイ？
　　寝子島高校我は親孝行イェー！
　　全てのものに感謝特にかーちゃんマジ感謝！　YO！

♪　今日も外では猫のさかり声
　　おおフリーダム　おおフリーダム

♪　今日も外では猫のさかり声
　　（サンマさんもがんばってるよー！）
　　寝子高　寝子高　寝子高　寝子島高校

　　（セリフ）
　「光があれば必ず影ができるよね？」

♪　ソレは考えない　考えない　考えない　考えない
　　綺麗事しか考えない　Ah Ah

　　今日も外では猫のさかり声
　　らっかみさまのご加護ありにゃにゃにゃにゃーん
　　にゃにゃにゃにゃーん

「これでよしっと♪」
　しおりは袖から、猫座布団を掲げ「にゃー！」と叫ぶ。
　入学式で校長が猫の鳴き声に反応していたのを、思い出したからだ。

＼　哲学者シトラス・ガムダンは言いました、終わらせる事こそが次への始まりだと　／