せんせいといっしょ：浅井先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：浅井先生編

承：自然を満喫！

・チェックの場所
　耀から釣りに誘われた幸太であったが、後から行くと答えてといきと共に歩く。旅館の娘であるといきは、モニターがどんな所を見るのかよく知っている為、アドバイスをしてくれる、との事だった。
「こういう事は任せて下さいにゃ」
「それは頼もしいな」
　といきが笑顔で言えば、幸太も安心した様子で微笑む。といきは実家での経験を活かし、モニターが特に見る部分などを解りやすく教えていく。それをメモに取り、実際にチェックする。と、普段は何気なく見ていた部分でも、よく考えてみれば重要だな、という部分である事に気付いた。
「確かに水周りとか、些細な事だが大切だなぁ」
　そう呟きながらメモを取っている幸太。といきは何かアドバイス出来る事は無いか辺りを見渡し、気づいた事があれば幸太に教える。

　そうしていると、中背で日に焼けた肌の男性がやってきた。このキャンプ場のオーナーで、といきと幸太は頭を下げる。爽やかな印象を受ける彼は優しい笑顔で「今日は来てくれてありがとう」と握手をしてくれた。幸太によると、サッカー部で共にフィールドを駆けた先輩なのだそうな。
　彼は幸太と２、３話すと書類を渡す。それを受け取った幸太はといきに「ちょっと書いてくるよ」と行ってテーブルで書き始めた。その間、少し離れた所でといきはオーナーに聞く。
「そういえば、浅井先生って大学ではどんな人だったんですか？」
「浅井君について、かい？」
　といきが頷くと、彼は「爽やかで明るくて、友達も多かったよ」と笑顔で言い、語り始める。
「サッカーと陸上の掛け持ちをしてたけど無理しているって感じがまったく無くてね。どっちの競技でもいい成績を残していたよ。だから女の子に人気があるわけ」
　おかしそうに笑うオーナーはといきにこんな事を言う。
「でも、浅井君って女の子に免疫が無いじゃない？　あと小柄であの顔だからさー、よく仲間にからかわれたりしたよ。女子のマネージャーには可愛がられててよく赤くなっていたし」
　その話に、といきは思わずくすくすと笑う。そんな様子から、興味を持ったと考えたオーナーはこっそりと
「浅井君、対戦相手の……しかもスタイルが良くて美人な女子マネージャーから告白受けた時は頭から湯気が出そうなほど真っ赤になってたよ」
　と教えてくれるのだった。
　書類を書き終えた幸太は、楽しげに話すオーナーとといきを見、和んでいてよかったと思うが会話の内容までは気付いていないようだ。彼はオーナーに書類を渡すと、今度は釣り組の方へ向う事にした。
（それじゃあ、私はもうちょっと見て回ろうかにゃ？）
　といきはオーナーにお礼を言うと、パンフレットにのった地図を頼りにキャンプ場をまわってみるのだった。

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