トライアド・ディフェンダーズ｜リアクション

トライアド・ディフェンダーズ

【サクラの塔・２】

　桜井が島を一周し、八神のもとへ戻ってきた。
　サクラへ侵攻している亜人たちの戦力はこのようになっている。

＜オーク前衛部隊＞
オーク重騎兵１体　オーク重装歩兵２体　オーク兵５体
＜オーク強襲部隊＞
オーク重騎兵１体　オーク重装歩兵６体　オーク兵９体
＜オーク主力部隊＞
ジャイアント１体　オーク重騎兵１体　オーク重装歩兵４体　オーク兵７体

「巨人は１体か」
　不幸中の幸いだ、と八神が安堵の息を漏らす。
　しかし、第二波の纏まった戦力も侮れない。
　如何に第一波を損傷少なく撃破できるかか鍵となる。
「おーい、こっからだと巨人の姿がはっきり見えるぞ。どうやら動きは鈍いみたいだ！　主力部隊の進軍スピードはアイツに合わせてるだろうから、第一波と第二波の到着よりだいぶ遅れそうだ！」
　塔の上から鮫ノ口が大きな声で塔の外の者たちへ伝達する。
　桜井も手を振り、お互いを労う。
「やがみん、火矢隊の準備できたよ」
　壬生も眠そうな目を擦りながら報告。
「ちょ、ちょっと、これは恥ずかしいかなっ？」
　姫神（エリー）が塔から身を縮めながら歩み出てきた。
　その装備は極端な露出に最小限の防御性能という、所謂ビキニアーマーであった。
「大丈夫よ、エリー。その色香でオークたちを悩殺してやりましょう！」
　ノーラ様の謎理論が説得力を持っている。
　周囲の男性陣の視線は、既にエリーの見事なプロポーションに釘付けだ。
「えっちなのはダメだよ！　あんまり見てるとお仕置きなんだからねっ？」
　激おこだよーっと頬を膨らますエリーに、涼しい笑顔を向ける小刀祢（レイン）。
「非常に良くお似合いでございます、エリー様」
　そんな彼女の兵装を見てみよう。

　身体：メイド服
　頭：ヘッドドレス
　足：磨き上げた革靴
　装備：毒草エキスを塗った短剣３本

「ここに来たとき、運悪く入浴中だったのございます」
　流石に用心棒紛いの稼業を行い、武器を片時も離さない彼女でも、風呂の最中は全裸にならざるを得ない。
「運良く衣服を着た状態でここに呼び出されたのは幸いでございました。でも愛用の品々が使えないのは寂しい限りでございます」
　レインは口惜しそうに短剣を眺めていた。
　だが、毒ナイフ３本だけでも充分禍々しいと、周囲は声に出さずにツッコミを入れる。
　ちなみに、彼女のろっこんも治療系なのだが、本人がアクティブに亜人の首を刎ねにいくそうだ。
　怖い。
「桜井、そろそろ開戦だ。他の戦況も知りたいから、もうひと頑張りしてくれないか？」
　八神の申し出に「任せろ！」と桜井は即答。
「あ、東中居！　例のモノ、出来てるか？」
「桜井、出来てるぞ！　早く戻って来いよ！　思いっきりぶちかまそう！」
　どうやら、桜井は東中居に何かを用意させているようだ。
　お互いハイタッチで健闘を祈る。
　桜井は再びカナリアになると、東中居に何かがぶら下がったスカーフを巻き付けてもらったのちに大空を舞っていった。
「よっしゃァ！　みんな、行くぜ！　って、アタタタタ……！」
　急に風雲児がお腹を抑え出しだ。
「わ、わりぃ！　俺、ちょっと花を摘んでくる！」
　脈絡もなく猛ダッシュで茂みへ飛び込んでいく風雲児！
　周囲は「え？　まさか野外で？」と戸惑いを隠せない。
　唯一、八神だけがその行為の意味を理解していた。
（風雲児、ろっこんで変身するにしてもバレバレだろう……？）
　それでも知らないふりを貫く八神である。
　まもなくサクラの塔、開戦！