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【七夕】鵲の翼を渡って ~七夕ゆかたまつり 1371~
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七夕祭りの賑わいを抜け、浴衣姿でのんびり辿るは寝子温泉への道。
「神無さんと出かけるのは久々ですね」
寝子島神社の屋台群と人込みを抜け、宵闇が茜色して近づく坂道に歩みを揃えながら、
日月 透
は濃紺の浴衣に結うた灰白の角帯に手を添える。傍らに並ぶ女性の、いつもならばほんの数センチだけ高い緋色の瞳は、けれど下駄を履いている今はほとんど同じ高さにある。
「そういえば最初に神無さんの浴衣姿を見たのは二年前でしたか」
二年前と同じ、夜に白の蝶が舞う浴衣を纏った彼女──
望月 神無
の結い上げた黒髪には、二年前に贈った桔梗色のリボンに星空色の蝶が翅を休める髪飾り。
「初めてお会いした時から神無さんは美人でしたけど」
優しい翡翠の色した瞳にまっすぐ見つめられ、神無は思わず瞬くふりをして瞳を伏せた。
まなざしに、気づく。
透は、二年前と同じ浴衣であることも、あのときもらった髪飾りをつけてきたことにも気づいてくれている。
(誘って良かった)
そう思ったとき、透の手がつと伸びた。触れるか触れないかの優しさで、髪飾りをふわり、指先で撫でる。
「最近は大人びて来て更に綺麗になりましたね」
真顔のまま恥ずかしげもなく、瞳を逸らすこともなく伝えられ、神無は熱くなる頬に伏せた瞳を上げられなくなった。
(狡い)
この人のこういうところは本当に狡いと思う。
だってこの人への想いに胸が詰まって何も言えなくなってしまう。
やっとのことでもたげた視線の先できちんと待っていてくれた透に微笑みを返すことには成功する。歩み出す一歩を揃えてくれる透と坂道を登った先には、『ようこそ 寝子温泉へ』の文字が書かれた古びた看板。
看板の前では、あちこちの温泉宿の法被を羽織った女将さんたちが温泉街を訪れる人たちに提灯を配っていた。おひとつどうぞと渡されるまま手に取り、透は宵闇迫る温泉街に提灯の光を差しかける。
ごゆっくりどうぞと女将さんたちに見送られ、ふたりは温泉街の散策へ向かう。
古い温泉宿の玄関先に設けられた足湯ならぬ手湯を楽しんでみたり、通りの軒先にずらりと並んだ笹の葉と七夕飾りを並んで見上げてみたり、土産物屋の店先から漂う温泉饅頭の甘い香りに誘われてみたり。
ゆったりと散策してゆくうち、等間隔に並ぶ和紙灯籠の光に惹かれ静かな路地へと迷い込んだ。揺らぐ灯籠の火と提灯の火に照らし出された細い路地を、ふたりは肩の触れ合う近さで辿る。
「絵が描かれてるんですね」
透の声に足元の灯籠を見遣る。温泉街の人々のお手製らしい素朴な灯籠には、こどもが描いたような向日葵に始まり、職人が手掛けたような蓮華や桔梗、──そうして、睡蓮の花。
薄紅の睡蓮の向こうに透けてゆらゆらと踊る光を目にした瞬間、
(俺、……)
神無の胸にふわりと望みが浮かび上がった。
「悩みが、あるんです」
神無はこの春、高校三年生となった。前々から将来については考えているものの、これでいいのかと思い悩みもしている。それを隣にいてくれているひとに打ち明けたくなった。
「聞きますよ」
大人の顔をして耳を傾けてくれる透に、神無はぽつぽつと零す。
動物看護師を目指していること。
それは動物病院の若院長を務めている透の働く姿を見ているがゆえであること。少しでも支えられたらと考えたためであること。
けれどそれは、不純な動機ではあるまいか。
「こんな理由で命を預かる仕事を選んでいいものでしょうか」
胸の内を吐き出しながら、神無はまっすぐに透を見つめる。どんな厳しい意見にも真摯に向かい合おうと心に定める。
「その、」
生真面目に悩む一回り以上年下の恋人のまなざしを受け、透は小さく瞬いた。
「少し驚いたんですが……」
「はい」
背筋を伸ばす神無に、透は僅かに頬を緩める。
「俺の傍で支えてくれる未来を考えてくれたことは、やっぱり凄く、嬉しいです」
「っ……」
紅くなる神無の頬とたじろぐ緋色の瞳を見つめたまま、透は少し昔を思う。神無の様子に緩んでしまいそうな気持ちを引き締め、同じ職に就こうと考えている高校生に対するに相応しい態度と意見を思案する。
「私が獣医を志したのは親がそうだったのもありますし、そこまで高尚な理由があったわけじゃないので」
だからそんなに難しい顔をしないでください、と瞳を和ませてみる。
「いざ働くようになってからちゃんと動物たちと向き合って、学んだことを後悔せず仕事を続けられたら良いと思うんですよ」
「そう、なんですか」
「学びたい理由、仕事を選ぶ理由に貴賤はありませんから」
「そう、ですね」
透が獣医となった経緯に、聞かせてくれた話に、神無は思わず胸を撫でおろす。悩みを否定せず聞いてくれたことに、丁寧に応じてくれたことに安堵すると同時、決意を固める。
(動物看護師を目指そう)
きちんと命と向き合えるように頑張ろう。
揺らいでいた緋色の瞳に強い光が灯るのを確かめ、透も胸を撫でおろす。どうやらちゃんとした大人として道筋を示せたらしい。
「進路か……」
「はい、高校三年なので」
「神無さんも、もう十八歳ですもんね」
大人の女性として扱ってもいい歳だ、と思いかけた己を、透は鋼の心で自制する。
「……いえ、まだ十八歳でした」
怪訝そうな顔をする神無に首を横に振って見せる。
「駄目ですね、最近は箍が外れやすいというか」
つい自分に都合の良いように解釈してしまう。
透は小さく息を吐いた。
「私も一つ告白して良いですか?」
「……はい」
凛々しい眸を丸くして、それでも頷く神無に話すのは、今まで秘めていた己の欲望について。
「私は、神無さんが大人になるまではちゃんと節度のある距離を保とうと考えてました」
きつく自身に戒めた。それがせめても、己を好きになってくれた愛しい彼女への礼儀だと。
「というか、今もそう考えています」
そのはずだった。でも、と俯く。知らず轟いている胸の裡から熱帯びた息を吐く。
「その、……最初より、ずっと神無さんのことが好きで、大切になっているみたいで、」
浴衣姿のうなじが綺麗で、すらりと伸びた健康な手足が綺麗で、──それは間違いがないのに、ふとした弾みに思ってしまう。
熱が昇ったような顔を片手で覆う。こんな顔は彼女に見せたくなかった。彼女の前ではきちんとした大人の男でいたかった。
それなのに、口にしてしまうことを止められない。
「情けないことに、凄く触れたいとか、思ってるんです」
彼女が愛おしかった。
彼女を傷つけてしまいかねない自分の発言を厭うた。
口を噤む。彼女への愛しさと自己嫌悪が入り交じる。
胸に渦巻く感情を無表情なままに堪えているうち、不意に涙が零れた。
途方にくれて立ち尽くす頬に、ふと、神無の香りが触れた。それが神無が巾着から取り出した神無のハンカチであることに思い至り、透は瞳を伏せる。
「……私は、もっと触れてほしいと思ってますよ」
伏せた瞼に触れる神無の声が優しかった。思わず、涙を拭ってくれるその手に手を重ねる。
(俺がこの人を支えられるようになろう)
透の涙を拭いながら、神無は強く思う。
思わぬ告白ではあった。ひどく驚いてしまいはしたけれど、それでも、同時に思った。
(俺は、この人が愛おしい)
大切に思われていたと知れば、心臓が跳ねた。
だってずっと、自分の幸せなど二の次で良かったのに。一緒に幸せになりたいと思わせてくれたのは、この人だ。
「貴方に大切にされて、」
今だって充分に、
「──幸せですよ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
38人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年12月20日
参加申し込みの期限
2021年12月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年12月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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