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【七夕】鵲の翼を渡って ~七夕ゆかたまつり 1371~
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「お祭り、楽しみますよー!」
普段は落ち着いた雰囲気を湛えた丸眼鏡越しの琥珀の瞳が少女のようにきらきらと輝いている。
デニム生地の浴衣の風通しの良さを楽しみつつ、
鏨 縫
は寝子温泉へと続く坂道を元気いっぱいに上って行く。作務衣のような服に使う生地から仕立てた浴衣は、霊界に住む縫が寝子島の七夕ゆかた祭りを知ったその日に寝子島へと渡って選んだもの。
「ああ、とても楽しみだ……!」
傍らで同じように空色の瞳を輝かせる
鏨 椒
と笑いあう。霊界では身の丈三寸ばかりの小鬼のあやかしは、寝子島に渡ればフツウの人間と変わらぬ姿を取る。
黒髪を高く結った身を飾るのは、革製の浴衣。
「やっぱり似合いますね!」
七夕祭りを知った縫に引きずられる格好で寝子島に渡り、最近入り浸っているファッションビルの特設コーナーでこれがいいだのあれがいいだの、これが主殿に似合うかもだの、わいのわいのと騒ぎながら選んだ浴衣も、縫がそうして絶賛し、
「そうだね、革製であれば霊界でも馴染みがある。まず売り出すなら革製がいい」
少し後ろを歩く、ふたりが主と慕う
鏨 紫
が快活な笑み浮かべれば、
「そうでしょうとも!」
椒は得意げに胸を張る。ふたりが褒めてくれるならば、初めて見た浴衣なるものも、いい気分で着れてしまうというもの。
「これは雨や汚れにも強く、霊界でも流行りにできましょうな。いやはや、寝子島の織物からは得るものが多くて大変素晴らしい」
椒の口上に大きく頷いてみせてから、紫は赤銅色の髪を揺らして縫を見遣る。
「縫の浴衣の生地はでにむ、……だったか」
「はい、主様」
「藍染の分厚い生地を仕立てた浴衣だね」
「丈夫ですし色合いも良く、いっそこの生地で着物や作務衣を作れたら霊界でも……いえ、きっとこちら側の生地で作るなら全て人気は出るでしょうね」
寝子島へ出入りするようになってからというもの、娯楽と言えば寝子島へのお出かけになっている縫と椒はすっかり寝子島通になってしまっている。今回の旅も、寝子島でのお祭りと聞いて行かずにはいられなくなったふたりに引っ張られるように誘われてのこと。
──せっかくのお祭りですもの、皆で行かなきゃ勿体ないですよね?
七夕祭りのことを口にしながらはしゃいでいた縫を思い出し、紫はくすりと笑む。三人のうちで一番しっかりしているように見える鏨一家の金庫番は、実のところ一番の遊びたがりな性格だ。
「この生地にしたって」
紫は縫が着つけてくれた浴衣の袖をちょいと引っ張る。
「ええと……じゃーじ、と言ったかな」
「はい、主様」
「僕たちの知っているのよりもずっと軽く、伸び縮みして動きやすい生地で織られているね」
霊界にはない素材を前に、多くのあやかしたちを養う立場にある紫は思わず思案する。
「あとは……」
寝子温泉へと続く坂道をゆったりと確実な足取りで辿りながらも商いを企む主に付き従い、縫は主の思索に沿う。
「生地のお金が高いと対価が大きくなりすぎるかもしれません」
たとえ良いものであっても、そうなってしまえば求める者は限られてしまう。
「そうするとなかなか広まりませんよね」
人口に膾炙しなければ商売としては成り立たぬ。それは鏨の棟梁たる紫の望むところではあるまい。
思わず考え込む縫の肩を、ぽん、と主の大きな掌が軽く叩いた。おっと、と主は笑う。
「遊びに来たのか商いに来たのか分からなくなってしまうね……?」
大らかに笑う主に窘められ、縫は我に返った。ごもっともです、と頷いて顔を上げれば、御付きの相方である椒は詰まらぬ顔ひとつせず大人しく隣を歩いてくれている。
「ありがとうございます、椒さん」
「何のことかな」
カラリと笑う椒に、縫は気を取り直す。今日は大好きなお付き仲間のこともいっぱい可愛がろうと決め、椒と並んで坂道をすいすいと歩く。
「寝子温泉ですよ、紫殿!」
「湯の街巡りですよ、主様!」
はしゃぐ御付きのふたりに紫は瞳を細めた。
「そうだね、遊ぼう」
日暮れの色に染まる坂道を、浴衣姿の人々とともに辿る。寝子島神社の屋台を楽しんだあと散策がてら山道を歩いてきた家族連れ、ロープウェイで空中散歩を堪能した恋人たち、その誰もが思い思いの浴衣を纏い、初夏の熱気をものともせずに笑いあっている。
霊界の住人たちとは姿かたちが違えど、生きることを楽しんでいる様子の人々の姿に紫は瞳を細める。皆、楽し気であるのはいいことだ。
「紫殿!」
「主様!」
人の流れの中をすいすいと先に行っていた縫と椒が道の先で楽し気に手を振っている。黄昏の薄暗がりの中、ふたりの居るところばかりがたくさんの光を得ていた。興味を惹かれ、呼ばれるままに近づけば、そこには温泉街の顔役らしい着物に法被姿の老女や似たような姿した臈たけた女たちが訪うた人々に提灯を手渡している。
どうぞごゆっくり、と老女から提灯を手渡され、紫はありがとうと鷹揚な笑みを返した。提灯をそれぞれ手にした御付きのふたりと共に湯の街へと繰り出す。
側溝からもうもうと流れ出る温泉の湯気に、古びた温泉宿の玄関から出てくる浴衣に羽織姿の男女、そこここに飾られた笹や七夕飾り。
新し物好きのふたりは、湯の街の人々手作りらしい素朴な提灯を片手に至極楽しそうだ。
「紫様!」
「主様!」
「おっと」
提灯を持つ手とは反対の手でふたりから両手を引かれ、紫は瞳を細める。今日はふたりに付き合おうかとゆったり歩み出したとき、
「……おや?」
提灯の光越しに見えたふたりの姿にちらりと眉を寄せる。どうかしましたかと問う縫に、紫は何の変哲もなさそうな提灯を掲げて見せた。
「提灯越しだと僕達、角が見えていないかい?」
主の言葉に、
「む」
椒が空色の瞳を眇め、
「あら」
縫が眼鏡越しの琥珀の瞳を丸くする。ふたり揃って提灯の光に互いの姿を照らし出し、
「本当だ」
「本当ですね」
これは妙だと顔を見合わせる。万一を考えた椒が主と縫を人目につかぬ路地に引き込み、もう一度提灯の光を翳す。何度やってみても、黄昏の光を退けた提灯の光に浮かび上がるのはそれぞれの額に生えた角の影。
「皆頭の角が陰に浮いている」
寝子島に居る間には見えないはずのものが見えてしまう状況に、どうしたものかと生真面目に考え込んでしまう椒の背を縫が優しく撫でた。
「でも、椒さんは小さく見えていないようですし……」
「それはそうだが」
「ちょっとだけ、正体が見えてしまうくらいなのでしょうか」
元の姿に戻ってしまう訳ではないようですね、と呟いてから、縫は小さな笑みを零した。
「戻るなら戻るで、椒さんの馬になってあげても良いのですが」
「縫か紫殿に乗せてもらわねばならないのは困る」
本性を三寸の小鬼とする椒が難しい顔で腕を組むのに、縫はくすくすと笑う。霊界に居るときは、小鬼の姿の椒を額の一本角に乗せ『馬』として移動するのが縫の常だ。乗るのが固い角の上では居心地が悪かろうと、特製の『鞍』だって用意している。
「残念です」
縫の心底からの言葉に、椒はまんざらでもなさそうな顔を見せた。
「とはいえ、見えていて困るってこともないのではないかな」
紫は路地の向こうを行き交う寝子島の人々を眺めやる。この島の人々は、自分たちと違うものを易々と受け入れる度量の広さがあるように思う。
それは落ちて来た神さまの願いを叶えてやったという伝承が残る島であるがゆえか。
いつもであれば知られるはずのない己が正体が何がしかの力が働いてこの島の人々に知られてしまうやも知れぬ状況にあっても、紫は動じなかった。
「百鬼夜行と見紛う人もいないだろうし、ね」
肝の据わった主の笑顔に、縫が流石ですし目を輝かせ、椒は思案しつつも頷く。
「まぁ、紫殿の言う通りか」
何より元の姿に戻ってしまう訳でなさそうなのは助かった。
折角の着飾った姿、まだまだ紫にも縫にも見ていてもらいたい。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
38人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年12月20日
参加申し込みの期限
2021年12月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年12月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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