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【七夕】鵲の翼を渡って ~七夕ゆかたまつり 1371~
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「よっし、完璧!」
「きゃ」
華やいだ声とともに背後からぎゅっと抱きしめられ、熱を帯びた唇をうなじに押し付けられ、
佐和崎 紗月
は小さな声をあげた。
ふふ、と
初瀬川 理緒
が笑う。
「紗月、かーわいー」
「もう、理緒ちゃん」
からかわないで、と抗議しても、理緒は黒髪に隠れがちなうなじにキスを繰り返すばかり。
「去年も理緒ちゃんと支度したっけ」
「去年は桜花寮の部屋だったよね」
ふたりが大学生となった今年は、理緒が春から住み始めたメゾネットタイプのマンションの一室でああでもないこうでもないとキャアキャアはしゃぎながらお互いに浴衣を着つけ合った。
(やってることは去年とあまり変わらないけど……)
浴衣も、去年と同じ白地に可憐な月下美人の浴衣。理緒も去年と同じに水色地に華やかな牡丹の浴衣。
去年と同じであるということは、去年も今年も一緒に過ごせているということ。そのことが嬉しくて、紗月はそっと口元を綻ばせる。
「うん、やっぱりあたしの紗月は今日も最高に可愛い」
正面に回り込んで微笑む浴衣姿の理緒が艶やかで美しくて、紗月は思わず瞳を細める。大好きなひとの眩しさに紗月が言葉を失っている間に、理緒は紗月の髪を手早くハーフアップに結い上げた。
「ほらもー可愛い! もう可愛い! これを清楚と言わずになんと言う!」
キャアと歓声を上げたかと思えば、理緒はテーブルに置いていたスマートフォンのカメラアプリを起動させる。
「こっち向いて、紗月!」
はにかむ紗月に向けてシャッターを切りながら、理緒は高校三年生だった去年の七夕と晴れて大学生となれた今年の七夕とを頭の中で比べてみる。
(去年の今頃は受験勉強でヒィヒィ言ってたよね)
苦労の甲斐あって大学にはどうにか合格したけれど、高校生時代から続けているグラビアアイドルの仕事に大学の勉強にと、
(大学生も全然ヒマじゃない!)
大学生になればもっと時間もできて、恋人の紗月と一緒にいる時間も増えると思っていたのに。
(でも)
結果的には、紗月との時間は増えた。
(一番の驚天動地の出来事よね)
ひょんなことから紗月がグラドルデビューを果たしたお陰で、一緒に仕事が出来るようになった。これはとても嬉しかった。だって一緒にいられる。仕事とは言え、遠方の撮影場所へ一緒に旅をすることだってできている。
内向的で人見知りがちな紗月がグラドルの仕事をすることに心配はあるけれど、
(でも、やっぱり嬉しいよね)
はしゃいで写真も撮ってしまうというもの。ついでにちょっといちゃいちゃもしてしまうというもの。
そんなこんなで、昼過ぎから着替え始めて気付けば窓の外は陽が翳っている。
「そろそろ行こっか、紗月!」
「うん、理緒ちゃん」
陽のよく当たる部屋から玄関へ移動し、お揃いの下駄を履いてシーサイドタウン駅まで歩く。カラコロと鳴る音が弾む心そのままに聞こえて、ふたりは茜空の下で笑いあった。
浴衣姿のひとも多いホームで電車を待ち、おかげでいつもより華やいで見えるねこでんに揺られて寝子島駅へと向かう。降りたホームで涼やかな笹と風鈴の音に迎えられ、改札を潜った先で幻想的な七夕飾りに迎えられ、ふたりはお祭りの気配に胸を弾ませる。
参道商店街にずらりと並ぶは屋台に七夕飾り。空高く掲げられた笹に揺れるは金銀の紙で作られた天の川に提灯、五色の短冊。
季節の和菓子が目にも絢な和菓子屋の屋台、桔梗や紫陽花の色が目を惹く花やの屋台、天文関係の古本を並べた古本屋の露店。さまざまな屋台を冷やかしてみたり、食べ歩き用に串に刺さったわらび餅を齧ってみたり。
「射的やってみたい射的!」
「浴衣で出来るかな」
「出来る出来る! 大丈夫!」
人波もものともせず、理緒は紗月の手を取ってあちらの屋台にふらり、こちらの屋台をふらり。射的で仕留めたパッキーをご機嫌でふたりで分けっこしつつ、寝子島神社へと向かう。
途中、
「あの二人、グラドルの初瀬川理緒と佐和崎紗月じゃない?」
耳にした声に紗月が思わずぎくりと身を固めるも、
「人違いだよー」
理緒は慣れた様子で鮮やかに笑って返す。
「い、いいえ、よく人違いされるんです」
理緒を真似てそう答えてみるも、紗月はちょっと視線を伏せる。
(理緒ちゃんは堂々としてるから様になるけど)
ついおどおどとしてしまう自分はあまり様になってないような気がする。
しょんぼりしてしまう腕に、理緒の腕がくるりと巻き付いた。頬に頬を寄せられ、励ますように間近でくすくすと笑われ、紗月は逆に焦る。
「大丈夫大丈夫」
それなのに、理緒は耳元で笑いながら囁いてくれるのだ。揺らいでしまいそうな足取りを支えて隣を歩いてくれるのだ。
互いに支え合うように神社の石段を登り、鳥居の前に掲げられた大きな笹の前に立つ。
短冊をどうぞ、と鳥居の周りに居る巫女のひとりから短冊を受け取り、ふたりは近くに設けられたテーブルでそれぞれに願いを書いた。
『紗月とこれからも一緒にいられますように』
傍らで楽し気に書き込む理緒の横顔を見つめて後、紗月は自分の短冊を見下ろす。テーブル上の竹筒に入れられたペンをそっと手に取り、願い事を書き込む。
『これからもふたりがともにありますように』
隣から覗き込んできた理緒がくすぐったそうに笑った。肩を寄せてくる理緒に微笑み返しながら、紗月は願いを込めるように短冊を浴衣の胸に抱きしめる。
(……そう、ふたりがともにあるように)
あの日あのとき衝動的にグラビアアイドルになったのも、元はと言えば理緒と一緒にいたかったからだ。理由はそれだけだ。そうでなければ、こんな臆病な自分はあんな派手な世界には決して飛び込まなかった。
(ただ)
さすがに何年も続けるつもりはなかった。
だから活動は大学卒業までの期間限定だと事務所側にも伝えている。
活動を停止したあとのことは、まだ考えられていない。だって、
「行こ、紗月!」
「うん、理緒ちゃん」
今はこんなにも確かに、理緒が傍に居てくれている。手を繋いでくれている。
寝子島神社を離れたあとも、まだその手を離しがたくて、まだまだ一緒に過ごしていたくて、ふたりは登山道入口駅からロープウェーで砂掛谷駅まで。そこから少し下った寝子温泉まで。
温泉街の入口でようこそと迎えてくれた浴衣姿の女性から受け取った提灯は理緒が手にして、ふたりは宵闇と湯煙に包まれた温泉街をのんびり散策──しようとするも、
「理緒ちゃん……っ」
ゆらゆらと揺れる提灯の光の環のその端、ふわふわと揺れる人魂のような影を見た気がして、紗月が掠れた声で悲鳴をあげる。
「だ、大丈夫」
折悪く人気のない道の先の闇に向け、理緒が提灯を掲げる。ゆらりと揺れる光の端に、ふわりと掠る蒼白い光──
「きっと何かの見間違い、……だよね?」
「っ……」
強張る頬を笑みに変えてみるも、傍らの紗月は蒼白い顔でわからないと首を横に振るばかり。取った手が初夏にも関わらずひどく冷え切っていて、紗月はぎゅっと唇を結ぶ。
「紗月、紗月」
紗月の手をぎゅっと握りしめ、理緒はことさらに明るく笑って見せた。
「お散歩は切り上げて、温泉に行っちゃおっか。汗かいちゃったよね」
泊まるのは無理だけど、日帰り入浴くらいならば可能だろう。
こくりと頷く紗月の手を引き、理緒は提灯片手に暗い温泉街を歩き始める。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
38人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年12月20日
参加申し込みの期限
2021年12月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年12月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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