寝子島の風にのって、ほーわほわ｜リアクション

寝子島の風にのって、ほーわほわ

　そこは鏡の上？　否、ウユニ塩湖！　そこに集まったのは……白いワンピースの乙女たち。キラキラと輝く湖面に吸い込まれ、溶ける青。そこへどこからか舞う花びらに彩られ、乙女たちは思い思いに戯れる。

「わぁ！　絶景だね～っ！」
　はしゃぐ白真白が花びらをふりまき、湖面に彩りを添える。青い空に浮かぶようにも見え、真白は思わずもっと花びらをまき散らす。湖面に落ちた花びらが増えれば増えるほど、真白はなんだかうれしくなっていく。視点を変えれば、かわいい女の子たちが楽しく過ごしている。
「うん、絶景……！」
　と言ってしまうのはまぁ、彼女らしいというかなんというか……。
　しかし、開放感に満ちた光景に真白は元気が溢れてくるようだった。

　その視線の先ではというと……？
「これ、作ってみたんだけれど、どうかな？」

「私に？　ありがとう」

　夢宮瑠奈が作った花の冠を受け取った里見ゆいは、その出来栄えに見とれてしまう。
　花の冠は繊細なつくりをしており、とても愛らしかった。それを壊さぬよう眺めながら、ゆいは僅かに目を細める。
「これ、どうしたの？」
「近くに花畑があったから、作ってみようと思ったの」
　ゆいの問いに瑠奈が柔らかい眼差しで答える。ゆいがつけていいかと問えば彼女は「勿論」と頷いた。
　壊さぬように、と恐る恐るつければまるでお姫様のようだ。ゆいは瑠奈に照れ交じりにその姿を見せる。
「凄くうれしいよ。似合うかな？」
「うんっ！」
　瑠奈が顔をほころばせて頷くと、ゆいはどこからともなくペンダントを見せる。
「似合うかなって思って……」
「いいの？」
　今度は瑠奈がぱっ、と顔を輝かせて問えば、やんわりと頷くゆい。瑠奈はさっそくペンダントをつけようとして……ふと手を止める。改めて見渡せば、空と塩湖が自分たちと似ているような気がした。鏡合わせのような自分たちにこの場所はなんとなく似合うかもしれない。瑠奈とゆいはそんな事を考え、思わずくすり、と笑いあった。

「なんだか、夢みたいな光景ですね……」
塩湖に写る空と、舞い散る花びらが万華鏡のように思えた愛猫萌々子はため息交じりに幻想的な風景を見渡す。わずかに濡れるのも気にせず、リラックスした気持ちで眺めていると真白が「こっちにおいでよ」と萌々子を誘った。
（本当に、夢をみているような風景です）
　ふと振り返れば虹が浮かんでいる。まるで楽園のような光景にため息を再びつけば少しだけ大人になったような気分になった。

「とっても綺麗だねっ！」
「私、メリィちゃんとこの景色を見られてうれしいですっ」
　そう言い合い笑いあうのはメリィ・ランページとリリエル・エーテライトの仲良しコンビ。二人は愛らしいブーケを持ち「花嫁さんみたいだね」と白いワンピースを見て楽しそうだ。
　そんな二人は肩を寄せ合い、青々とした湖面と空を見つめる。
「鏡みたいな湖がどこまでも続いてる……」
　不思議そうに眼を細めるメリィ。その黄色の瞳の奥には好奇心がキラキラ輝いている。
「なんだか、世界が広く感じますね……」
　リリエルもまた同じように湖を見、胸の奥がワクワクしている事に気付く。
「これから先も、もっといっぱい冒険したくなっちゃいました！」
「うんうん！　こんな光景みていたらなんかもっともっと凄い光景みたくなるよね！」
メリィとリリエルは弾ける笑顔で頷きあうと改めて湖を見、これからの冒険に心を躍らせた。いつまでも仲良く冒険ができますように、と祈りながら。

　幻想的な風景の中でのひと時を、乙女たちは忘れないだろう。

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