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晴れ、ときどき鰹節、ときどき猫?
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さほど時間も置かぬうちに、虎治の前にはちょっとした料理――とまでも言えないかも知れないような、一応は鰹節を使ったメニューが並んでいた。
炊いたご飯ををピザ型に薄く伸ばしてマヨネーズを表面に塗り、その上に鰹節とチーズを適当に散らして、仕上げに醤油を数滴垂らしてオーブンで二分ほど焼き上げたご飯ピザ。油揚げの上にネギと鰹節を散らしてスライスチーズを乗せ、くるくると油揚げの端から巻いて爪楊枝でとめてから、トースターで焼いたネギとおかかの揚げ巻き。ピーマンのぶつ切りと玉ねぎの千切りを炒め、塩コショウ・醤油・味の素で味付けしたものを耐熱皿に移し、鰹節・カニカマ・チーズを乗せてトースターで焼いた、ピーマンのおかかチーズ焼――
「これだと、ピーマン嫌いも食べれる」
「そうなの? ぶ、ぶつ切りってどんな風に切るの、かな」
「好きな大きさに適当に、だな。もういっちょ、やってみるか?」
「お願いします!」
そんな虎治の言葉に、真剣に聞いていた茉菜がぱッと顔を輝かせて、勢いよく頭を下げた。それに悪い気分はもちろんせず、虎治は新たなピーマンを拝借して、ヘタと種を処理して切り始める。
――茉菜が提案した『冷やしうどんの鰹節掛け』は、我ながらただのお冷の素うどんだなぁ、と思っていたのだけれども、一応は試作メニューの中に加えて貰えることになった。そろそろ夏を思わせる暑さのおかげだろう、売れ行きは悪くはないようだけれども、いかにもパンチに欠けることは否めない。
それは解ったものの、じゃあどうしたら良いのかなんてもちろん茉菜に解るわけもなく、嬉しい気持ちとがっくりする気持ちで揺れていた彼女に虎治が、少し野菜を加えてはどうかと提案してくれたのだった。そうして彼が作った料理メニューを見て、これも覚えられたら! と虎治の側に張り付き始め、現在に至る。
虎治としても、向けられる素直な賞賛と、何より教えながら料理の話を出来るというのは、なかなか楽しいことだった。だからぽつぽつと、けれどもどこか饒舌に日頃自分が作っている料理や、並んでいる食堂メニューのことなどを話し。
「――おい、そこの猫! 入ってくるんじゃねぇ!」
「……ッ!?」
不意に虎治があげた叫び声に、茉菜はびくりと肩を揺らして文字通り飛び上がった後、そろそろと厨房の入り口の方を振り返った。そうしてそこに、今まさに入り込もうとしていた猫達がぴきーんと固まって、背中の毛をぶわっと逆立てて虎治を見つめているのを、見る。
ちら、ともう一度虎治に視線を戻すと、彼は顔を歪めて猫から眼差しを逸らしたところだった。その頬に、少し歪んだ古傷があるのに気付いて茉菜は、そぅッと虎治に問いかける。
「ぇ……ッと、昔、猫に怪我させられたから苦手……とか……?」
「……いや、そんなんじゃねぇよ」
茉菜の言葉に、虎治は何とも言えない表情で首を振り、ふい、と顔を背けてしまった。けれどもその口元に、僅かに寂しそうな笑みが浮かんでいたのは茉菜の錯覚、だろうか。
だが茉菜に何も言わせない雰囲気で、虎治は再び料理の話しに戻ってしまった。だからなんだか気になったけれども、それよりはまずこれからの食生活が大事! と茉菜も真剣にまた、虎治の話に耳を傾ける。
そんな厨房の片隅では、天野がトシ子さんとのんびりと会話していた。
「やはり、季節感は大事ですよね。お菓子も季節に合わせたものをチョイスしましたけど……」
「そうよねぇ。季節によって安い材料も変わってくるし、みんなの健康にも気を使うのよ」
「ん? 健康にもいい料理? なら……これからの時期、ムクミが気になるなら食材として瓜類や鳩麦、玉蜀黍なんかを取り入れると、足がスッキリしますよ」
「そうねぇ、後は男の子でも女の子でも、同じメニューでお腹一杯になれば良いんだけど」
「それは――ご飯のお代わりを増やすしかないかも知れませんね」
ほぅ、とため息を吐いたトシ子さんの悩みに、天野はさすがに苦笑いしてそう答えた。薬膳は元々量を食べる料理ではないから、少量でも満足を得られるものが多いけれども、さすがに食べ盛りの男子高校生の胃袋を支えられるとは思えない。
そうですね、と天野は持ってきたジュースを自らコップに注ぎながら、別の話題を口に上らせた。
「たとえば陰鬱やイライラなど、感情に振り回されてる時やそれで食欲が無い時は……柑橘類やミント、バジル、紫蘇、ジャスミンなど香りのいいものがオススメですよ」
「まぁ、それは良いかもね。年頃の女の子が多いものねぇ」
「年頃の男子も、悩みは多いんじゃないっすか?」
そんな天野の薬膳知識に、心底感心したように言ったトシ子さんの言葉を偶然聞いた萌が、厨房の外から笑いながらそう口を挟んだ。手には食べ終わった食器のトレイ。ひとまず軽く食べ終わったので、次に移る前に下げてきたのだ。
そんな萌からトレイを受け取りながら、トシ子さんがうんうん「そうよねぇ、最近はねぇ」と頷く。それから萌に視線を移して、調子はどうなの、などと他愛のない言葉をかけてきた。
それに笑顔で、大丈夫っす、と応える。現に、特に何か調子が悪いとか、深刻な悩みがあるとかは、ない。
だから萌はトシ子さんを安心させるように、力強く「元気っすよ!」と胸を叩いてから、ひょい、と食堂を振り返った。女子以外が居るのが、まだまだ馴染まない光景――そしてやたらと多い猫。
「猫って別に嫌いじゃないけど、あんまり多いと毛が舞って体痒くなるからなぁ」
「――まぁ、人それぞれ悩みはあるよね」
「……? 八重崎さん、何ですの?」
萌の言葉が不意に耳に入って、つい1人でうんうん頷いた五郎八に、正面に座っていた華蓮が遠慮のない不審の眼差しを向けた。試食メニューに夢中になっていた華蓮には、少し離れた所にいる萌の言葉は聞こえなかったのだろう。
別に、とだから首を振って五郎八も、試食メニューを口に運ぶ。つい先ほど、目が合ったトシ子さんに「最近、メニューをあんまり食べてくれてないんじゃない?」と嘆かれたので、その罪滅ぼしも兼ねて。
自炊と言っても何か、手の込んだ料理を作っているというわけではないのだけれども、電子レンジと炊飯器さえ使えれば案外、簡単に色んな料理が作れるものだ。それを試していくのも楽しいもの、だけれどもいかにも残念そうな顔をされると、さすがにちょっとばかりは罪悪感がある。
とはいえ食堂も賑やかになりそうだし、今後はもう少しメニューの利用を善処しても良いのかも知れない――そんな事を考える五郎八の前で、それにしても、と華蓮がサラダうどんをツユまで胃に収め、満足そうに口元を拭いながら、言った。
「なぜ、鰹節を使った料理ばかりの、鰹節祭なのでしょう」
「華蓮さん、ツユ辛くないのかな」
「これしき、私には大した事ではありませんわ」
きっぱりとそう言い切って、あまつさえお代わりは何にしようと視線を巡らせる華蓮である。さすがにちょっと、体重の方は気になりはするものの、審査員たるものその程度で怯んでは居られない。
そんな言い訳を自分自身にしながら、鰹節あんかけ丼に目を付けて、自分の席に確保する。鰹出汁仕立ての醤油風味餡に鰹節と柔らかく茹でた野菜を混ぜ込み、ご飯にかけただけというシンプルな丼だ。
「味は悪くはありませんわね。でももう少し、食べ応えが欲しいですわ。八重崎さんはどうですの?」
「うん、そうだね。和風のご飯は好みかな。さっぱりしてるのが良いよね」
華蓮の言葉に頷きながら五郎八は、鰹節炊き込みご飯レシピはトシ子さんに教えて正解だったな、と考えた。出汁を取った後の鰹節でも美味しく作れるし、何より、炊き込みご飯というのは各家庭で味付けなり、作り方なりが全く異なる物だから、きっとさらなる高み(?)を目指してくれることだろう。
そんな五郎八に華蓮が、喉が渇いた、と飲み物を所望した。そりゃサラダうどんのツユまで飲めば、喉も渇くと言うものだ。
「麦茶で良い?」
「ええ、それで良いので頂きますわ」
「わかった」
華蓮の言葉に頷いて、五郎八は立ち上がると麦茶を2人分、汲んで戻った。受け取って早速飲み始める華蓮をよそに、せっかくだからついでに空いた食器を片づけちゃおう、と2人分のトレイを厨房に下げ。
戻ってくると、そこには猫がいた。華蓮が座っていたはずの席にちょこんと座り、妙に洒落た仕草で耳の後ろを拭っている。
「あ、れ……華蓮さん?」
一体どこに行ったのかと、五郎八は辺りを見回した。が、友人の姿は影も形も見当たらず、視線は再び華蓮の席にいつの間にか座っていた猫へと戻る。
そのままじっと見ていると、奇妙な感じがした。なんだかその猫の仕草が、ひどく華蓮に似ているような気がしたのだ。
そう思って見れば見るほど、その猫は華蓮にそっくりだった。しまいには毛並みや目つき、五郎八に向かって何かを訴えるような鳴き声さえ、華蓮そのものに思えてくる。
(……ふむ?)
もしかして、とその可能性に思い当たってほくそ笑んだ、五郎八よりもなお浮かれた気持ちで、久雨は目の前で猫になってしまった言嗣をそっと抱き上げた。少しだけ、と言い訳しながら柔らかな毛並みに、そぅッと頬を寄せて目を細める。
存外柔らかくて、暖かな物なのだな、と思った。それはもちろん、言嗣が猫になったと解った瞬間には驚きもしたし、慌てもしたけれども、目の前の猫になった言嗣に触れてみたい、と言う欲求からすればひどく些細な驚きに過ぎなくて。
「よく解らんが……少しだけ遊ばせてもらうか。
ははっ、猫とはさらさらしているのだな。くすぐったいぞ」
『ふむ……浮舟君はあまり、猫には馴染みがないのかね?』
「む、本当に鳴くのだな。ははッ、当たり前か」
そんな久雨に言嗣が尋ねた言葉は、やはりと言うべきなのか、猫の鳴き声にしか聞こえなかったらしい。やれやれと、猫の姿で器用に言嗣は肩をすくめ、ついでなので遠慮なく、久雨に抱かれる感触を味わうことにした。
困ったものだ、と思う。一体なぜ突然猫になってしまったのか――けれどもそんな言嗣の疑問は、いっそ無邪気とでも表現すべき久雨の、楽しげで嬉しげな様子の前ではなんだか、ちっぽけな物に感じられた。
しかし淑女として異性を胸に抱きすくめるのは如何なものかと、再度久雨に語りかけてみたがやはり、言葉は通じない。言嗣としては非常に心地よく、気持ちが良いのでなんなら一生だってこうしていても良いのだが。
(やれやれ、考えても仕方ないな。今は存分にこの感触を……おっと!)
ふよふよとした心地を味わっていた言嗣は、不意に久雨が立ち上がったのにバランスを崩しそうになり、慌てて彼女の胸にしがみついた。そうして久雨を見上げ、大声で尋ねる。
『浮舟君! どうするつもりなのかね?』
「持ち物も持って、と……さあ行くぞ! 外に移動して、もっと遊んでみよう」
そんな言嗣の言葉にはやっぱり気付かず、久雨はその言葉通りに食堂から抜け出すと、言嗣をしっかり抱き抱えたまま庭の方へと向かった。ダイレクトに全身に伝わってくる、あれやこれやの感触に、これも役得かと言嗣はあっさり常識的な思考を手放す――元よりさほど持ってもいないが。
ゆえに大人しくされるがままになった言嗣に、すっかり嬉しくなって久雨は庭へと向かう足を早めた。早く、もっとたくさん猫と遊んでみたい――そう考える彼女の思考の中には、この猫が元は言嗣だという認識は、もはや殆ど残っていない。
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担当ゲームマスター
蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
コメディ
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年08月04日
参加申し込みの期限
2013年08月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年08月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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