夏の終わりに｜リアクション

夏の終わりに

●夏の終わりの朝

　夏休みも終わりに近いが、椎井莉鳥の朝は早い。
　いつも通りに早起きし、台所で朝食を摂ってからシャワーを浴び、身体をバスタオルで拭く。
　その後、陸上部の練習用のライムグリーンのＴシャツと濃紺のショートパンツに着替え歯磨きを。
「今日も日差しが強くなりそうね」
　肌が露出している部分に日焼け止めを塗ったら、身支度完了。
　陸上部の練習は、まだ涼しい朝のうちから練習をしておこう、ということで朝練をすることに。
「さて、行きますか」
　肩掛けのバッグに必要なものを詰め込み「行ってきます」と言ってから玄関を開け家の外へ。
　玄関先で軽くストレッチをした後、寝子高まで軽く走る。

　恵御納夏朝が目覚めた時、いつの間にか別人格の夏夜（かや）に変わっていた。
（何で早朝から僕が表に……？）
　起き上がると、枕元にメモ書きがあるのを見つけた。そこに書かれている文字は、何度も見た夏朝のものだ。
　メモには、こう書かれていた。

　夏夜ちゃんへ
　夏夜ちゃんにも夏休みを……って思ったので、今日は丸一日、君の夏休みです！
　かーさ

「夏朝、君は僕に１日夏休みを楽しませたいらしいね」
　こうして、夏夜の１日限りの夏休みが始まった。
「仕方ない、行こうか……」
　寮で１日過ごすのは勿体ない。夏朝がくれた夏休みを外で過ごすことに。
　まずはどこに行こうかと考える前に、お腹が空いたので朝食を摂ることに。
「どこに行くかは、食べながらでも考えられるからね」

　前日の夜。
　八神修は、七夜あおいと寝子島いい風マップを見ながら話していた釣りのことを思い出したので、あおいと相談して天宵川河川敷へ遊びに行くことに。
　飼い猫のミルクと一緒に参加したアニマルウェディング撮影会。
　交通事故で亡くなった恋愛経験がない幽霊のトモコさんと出会ったほおずき市。
　友達以上、恋人未満からちょっとは進んだ関係になりたい。
　淡い恋心を内に秘め、修は天宵川での釣りを楽しみにしているというあおいの声を電話越しに聞く。
「それじゃあ、待ち合わせはここで。待ってるからね、修君」
「ああ。遅れないように行くよ」
　あおいと出かけられると思うと、いてもたってもいられなくなったのか早く目が覚めてしまった。

　朝の涼しいうちに残りの夏休みの宿題を済まそうと、李小麗は早起きして頑張っていた。
「んぁー、やっと夏休みの宿題があともう少しで終わるのだ！　終わるまで頑張るのだ！」
　苦手な英語を後回しにし、それ以外の教科を終わらせることに。
　終わらせようと頑張っていたが、頭を使いすぎ、疲れて眠たくなったので睡魔に襲われた。
（宿題が終わるまで……眠らない……のだ……）
　頑張ったものの、睡魔に勝てず机に突っ伏したまま眠ってしまった。

このページにイラストを設定する