スーパーサンマ大祭　～炭は燃えているか～｜リアクション

スーパーサンマ大祭　～炭は燃えているか～

【花火を見ながら】

　星ヶ丘の提供で、浜辺から花火があがった。
「花火だ……。ふふっ、にぎやかで面白い一日だったな」
　夜空にあがる光の花を見上げて、浮舟久雨は微笑んだ。
「風流じゃないか。なかなかいいねぇ」
　伊賀解理も、並んで花火を見つめる。

「やっぱり祭りの締めといえば、花火だ」
　氷華・クルバトフがつぶやくと、御剣刀が同意した。
「きれいな浜辺にあがってこそ、だな……」
「サンマさんにサインももらえたし、今日はいろいろと良かったな～っと！」
　桜庭円も浮かれている。

「花火、とってもきれいですね」
　楽しみにしていたのだという綾辻綾花の隣には、ののこの姿が。
　さらにその脇には、御鏡聖と舞も、並んで夜空を見上げていた。

　人の波からは離れたところで、草薙龍八は腕組みをして木にもたれかかっていた。
「……おかしい」
　完璧な悪事のはずだったのだが、玉突き事故はいったいどこで起こっているのだろうか。
「三人とも、足をかばう様子は見られないな。少なくとも、絆創膏はその役目を果たしたか……」
　いろいろと、納得のいかない夜だった。

　打ち上げ花火が終わると、浜辺には手持ちの花火が用意されて、各々好きに遊べるようになっていた。
「終わったらバケツに入れてくれよな。怪我のないようにするんだぜ」
　保護者同伴の子どもたちに、サンマさんが花火を配っている。

「……零、やろう……」
　花火を指さす魂行凪の手を、夏神零が引いていく。
「そうじゃな、向こうの静かなところで、線香花火をしてはどうかのう」
「…………うん」
　火をつけて、ぱちぱちとはじける火の粉を二人で眺める。
「線香花火は、ほっとするのう。……綺麗じゃな」
「……きれい」
　一本、二本、三本と楽しむうちに、二人の距離は次第に狭まっていく。
「こうしておると、まるで二人きりでいるようじゃ。……凪ちゃん」
「…………ん？」
　振り向いた凪に、零はそっと口づけた。
「……キス…………」
「きっと、凪ちゃんと一緒だから、花火もこんなに綺麗なのでござろう」
　見つめ合う二人を、線香花火の優しい光が包んでいた。

【幕引き】

　祭りの後片付けも終わる頃、亜魚隈猯利は再び会場のゴミ拾いを行っていた。
　人が多く集まる行事だから、さぞかし汚れることだろうと思っていたが、どうやら来場客の意識も高まったらしく、目立ったゴミは落ちていなかった。

「けっこう売れたなぁ」
　維都月茉菜は、出店の売り上げ金を全て、会場の募金箱に入れた。
「これって、砂浜の清掃代になるんだよね。いい使われ方をしてね」
　募金箱には、『砂浜美化基金』と書かれた看板がぶら下がっている。
　サンマ色にペイントされた募金箱は、今後役場に場所を変えて設置されるのだという。
　おそらく今後の砂浜清掃に、大いに役立ってくれることだろう。

　――こうして、ゴミとサンマさんに端を発した『スーパーサンマ大祭』は、無事に幕引きとなったのであった。
　花火のゴミひとつ残らない海岸に、月に照らされて、静かに波が寄せていた。

END

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あとがき

担当マスター：瀬野とうこ／柊いたる
ファンレターはマスターページから！

『スーパーサンマ大祭』をお届けいたしました。
まずは、柊マスターではないことをお詫びいたします。
代打であることをがっかりされないよう、努力したつもりではありますが、
皆さま、お祭りは楽しんでいただけましたでしょうか。

道端にでも、ゴミが落ちていると悲しい気持ちになります。
それが自然の豊かな場所であるなら、なおさらですね。

今回、お祭りの成功に向けて前向きなアクションの数々をお預かりいたしました。
そのおかげで、海岸もきれいになり、お祭りには笑顔があふれ、
美化基金の募金箱も、今後の環境維持に役立つ流れとなりました。
サンマさんもさぞかし喜んでいることでしょう。

ご参加とご協力を、まことにありがとうございました。

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