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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
アリえない不法投棄 from 宇宙
別の巣穴の入り口。列を成し出てくるアリの列はいわば狩り部隊。美味しい餌がないかと、触覚をうねうねとまさぐるように宙を這わせ、足並み揃えて行進している。夜の鈴島に続くムカデのような列は、どこかを目指すようでもあり、途方もなくさまよっているようでもあった。
その長い列の最先端に、“不運”にも転送されてしまったのが夏神 零だった。
「ここは……」
神社境内の道場の、蔵の整理をしていたはずが、なぜか木々に囲まれている。
足元には倉庫に保管されていた槍と、弓袋……見慣れないものもあった。
「これは……」
手紙を拾い上げる。
「鈴島じゃと……」全てを読み通す前に、アリの先頭と零は鉢合わせ。「やれやれ……」
しゃがみ姿勢で弓と矢束を拾い上げる。
「夏神 零、いざ参る」
じりっ。引き絞った弓から放たれた矢は、アリの触覚と触覚の間、人間で言うところの眉間と呼べるところに深く突き刺さる。
崩れたアリを踏み越えて、さらにアリがやって来る。今度は少し的をずれて、右の眼を抜いた。
（キリがないようじゃな）
零の目前にアリの残骸が積み上げられていく。１０を軽く越えたところで、矢が底を尽きた。
「そなたらは運がいいぞ」
今度は槍が円を描く。
「わらわの弓術と槍術、両方を拝んで成仏できるのじゃから」
駆け抜け様に槍を刺していく。蟻酸が吐き出される頃には、零はすでに後方の人となっていて、吐き出した当のアリも機能を停止している。
月の夜はより一層、動きに磨きがかかる零だった。
（この刺し応え……）
とどめを刺したとは言いがたい感触だった。実際、亡骸にしたと思われた矢を食らったアリが、背後で動き出す気配がある。
（真っ当に相手をする方が馬鹿を見そうじゃ）
槍で薙ぎつつ、前を目指す。
この行列の最後尾に何が待っているのか。零は今それだけに興味があった。彼の行く先にはもちろん、うず高きアリの巣が待っている。
「ヒャッフィィィィ！！！！ ナニコレ！？ ナニコレナニコレナニコレ！？」
またさらに別方角の巣穴付近で、一人で三人分くらいのテンションを背負うオカルトマニアがいた。
「謎のテレポート！ 謎のオーパーツ的な塔！」
晴海 飛鳥の興奮は収まらない。
「そして中には、中にはっ！」
もう一度手紙の中身を確認。
「謎のッッ！！ モン！！！ スター！！！！」
パーフェクツ。バンザイの体勢のまま、後ろへ倒れ込みそうになるとこをよれよれと持ち直し、
「よし、潜入だ」
ためらい一つなく巣穴へ入っていく。入り口付近にアリの気配はない。
「潜入成功！ この手の流れは手下を見つけてこらしめて、そいつの制服を盗んで敵の配下になりすます系だけど、今回の場合はアリだから、素直に手ごろなのを見つけて後をつけるのが正統っていうかまじで興奮してマシンガントークが止まらない」
彼女の声は巣穴の奥深くまで響き渡る。
当然、アリたちに見つかるのも時間の問題だった。
「謎の巨大昆虫！ ありがとう！ カメラ持ってきててほんとよかった！」
すでにアリたちの足に絡めとられ、餌置き場行き決定の飛鳥だった。
晴海 飛鳥、あっさりアリに捕獲される。
（さすがにーうるさすぎですー……）
巣穴の丸まった天井に留まる一羽の蝶は思う。
（人間の姿に戻って支援してあげたかったですがー正直足手まといになったでしょうし……おそらく彼らの習性的に、一旦貯蔵庫へ送られるから大丈夫でしょう。手紙にもそう書いてありましたー）
ろっこん「胡蝶の夢」で巣に潜入した、屋敷野 梢の考察は、変人オカルトマニアからアリへと移る。
（この子たちは、創られた命？ ロボット？）
生物の定義。巣穴の形成……自己増殖……恒常性の維持。
（この子たちは立派に、生き物です）
梢にとって今の光景、すなわち体にあったサイズの餌を捕まえるのは、遺伝子を残すための当たり前の手段に見えた。
（悪じゃない……）
アリたちのひたむきな姿を観察するにつれ、怒りの先は別の方へと向く。
（創っておいて殺せとは。神様にでもなったつもりなんでしょーか）
蝶は巣の内壁を離れ、暗やみにささやかな鱗粉を撒いて発つ。
（はー。気に食わないです。アタマパー星人だか知りませんが、私は彼らを尊敬することはできません）
そして結論は初めから変わらなかった。
（働きアリに生殖能力はありません。卵を生むのは女王アリ。きっとどこかにいるはずです）
巨大に立ち向かう、一羽のか細い梢は、さらに巣の奥へと飛んでいく。
その長い列の最先端に、“不運”にも転送されてしまったのが夏神 零だった。
「ここは……」
神社境内の道場の、蔵の整理をしていたはずが、なぜか木々に囲まれている。
足元には倉庫に保管されていた槍と、弓袋……見慣れないものもあった。
「これは……」
手紙を拾い上げる。
「鈴島じゃと……」全てを読み通す前に、アリの先頭と零は鉢合わせ。「やれやれ……」
しゃがみ姿勢で弓と矢束を拾い上げる。
「夏神 零、いざ参る」
じりっ。引き絞った弓から放たれた矢は、アリの触覚と触覚の間、人間で言うところの眉間と呼べるところに深く突き刺さる。
崩れたアリを踏み越えて、さらにアリがやって来る。今度は少し的をずれて、右の眼を抜いた。
（キリがないようじゃな）
零の目前にアリの残骸が積み上げられていく。１０を軽く越えたところで、矢が底を尽きた。
「そなたらは運がいいぞ」
今度は槍が円を描く。
「わらわの弓術と槍術、両方を拝んで成仏できるのじゃから」
駆け抜け様に槍を刺していく。蟻酸が吐き出される頃には、零はすでに後方の人となっていて、吐き出した当のアリも機能を停止している。
月の夜はより一層、動きに磨きがかかる零だった。
（この刺し応え……）
とどめを刺したとは言いがたい感触だった。実際、亡骸にしたと思われた矢を食らったアリが、背後で動き出す気配がある。
（真っ当に相手をする方が馬鹿を見そうじゃ）
槍で薙ぎつつ、前を目指す。
この行列の最後尾に何が待っているのか。零は今それだけに興味があった。彼の行く先にはもちろん、うず高きアリの巣が待っている。
「ヒャッフィィィィ！！！！ ナニコレ！？ ナニコレナニコレナニコレ！？」
またさらに別方角の巣穴付近で、一人で三人分くらいのテンションを背負うオカルトマニアがいた。
「謎のテレポート！ 謎のオーパーツ的な塔！」
晴海 飛鳥の興奮は収まらない。
「そして中には、中にはっ！」
もう一度手紙の中身を確認。
「謎のッッ！！ モン！！！ スター！！！！」
パーフェクツ。バンザイの体勢のまま、後ろへ倒れ込みそうになるとこをよれよれと持ち直し、
「よし、潜入だ」
ためらい一つなく巣穴へ入っていく。入り口付近にアリの気配はない。
「潜入成功！ この手の流れは手下を見つけてこらしめて、そいつの制服を盗んで敵の配下になりすます系だけど、今回の場合はアリだから、素直に手ごろなのを見つけて後をつけるのが正統っていうかまじで興奮してマシンガントークが止まらない」
彼女の声は巣穴の奥深くまで響き渡る。
当然、アリたちに見つかるのも時間の問題だった。
「謎の巨大昆虫！ ありがとう！ カメラ持ってきててほんとよかった！」
すでにアリたちの足に絡めとられ、餌置き場行き決定の飛鳥だった。
晴海 飛鳥、あっさりアリに捕獲される。
（さすがにーうるさすぎですー……）
巣穴の丸まった天井に留まる一羽の蝶は思う。
（人間の姿に戻って支援してあげたかったですがー正直足手まといになったでしょうし……おそらく彼らの習性的に、一旦貯蔵庫へ送られるから大丈夫でしょう。手紙にもそう書いてありましたー）
ろっこん「胡蝶の夢」で巣に潜入した、屋敷野 梢の考察は、変人オカルトマニアからアリへと移る。
（この子たちは、創られた命？ ロボット？）
生物の定義。巣穴の形成……自己増殖……恒常性の維持。
（この子たちは立派に、生き物です）
梢にとって今の光景、すなわち体にあったサイズの餌を捕まえるのは、遺伝子を残すための当たり前の手段に見えた。
（悪じゃない……）
アリたちのひたむきな姿を観察するにつれ、怒りの先は別の方へと向く。
（創っておいて殺せとは。神様にでもなったつもりなんでしょーか）
蝶は巣の内壁を離れ、暗やみにささやかな鱗粉を撒いて発つ。
（はー。気に食わないです。アタマパー星人だか知りませんが、私は彼らを尊敬することはできません）
そして結論は初めから変わらなかった。
（働きアリに生殖能力はありません。卵を生むのは女王アリ。きっとどこかにいるはずです）
巨大に立ち向かう、一羽のか細い梢は、さらに巣の奥へと飛んでいく。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年07月20日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年07月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年07月27日 11時00分
