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【重なる偶然の帰結=しあわせ】
夕日が地平線に落ち、仄かに雲を照らす茜も宵闇に飲み込まれようとする頃に。空手部の部活を終えた
添星 叡知
は
社団法人日本ボビナム協会 寝子島クラス
の道場で、更に稽古に汗を流して外へ出た。
空は辛うじて、夜でなかった時間の名残が伺える、薄明かりが残る濃紺の色。
叡知はいつも決まった時間にここを出る。
『偶然』にも、それはいつでも数分の遅れはあっても、十分もの遅れはない程に正確だ。
その帰り道には、いつも立ち寄るコンビニエンスストア「ネコンビ」があった。
──ただし、帰り道といっても、それは叡知の家までの最短順路ではない。
『最短順路では、ネコンビの前を通らない』
しかし叡知は、多少ルートが外れていたとしても、もう既に『帰り道』として結構な間、この道を歩いてきた。
そのような『偶然』の結果として、今も、叡知はネコンビの前を通るのだ。
そのような、若干儀式めいた思いと共にネコンビに寄れば、
「いらっしゃーい!」
──店内の電灯など霞んで見える程に、そこには明るい笑顔が見えた。
その仕草はとても忙しなく、入店した叡知の姿には気付いていないようだ。
今、叡知の瞳に映っているのは、
四野辺 蘭月
。
ここでアルバイトをしている蘭月は、叡知とは先程まで叡知が汗を流してきたボビナム道場で出会った仲。
実際に拳をあわせた事もあるし、会話をすれば人懐っこく、話の気配りもできる蘭月は、人が寄りつきがたい雰囲気を醸し出す叡知にとって、少しずつ特別な存在──
なのだが、叡知にとっては、エプロン姿が似合い大人びて見える蘭月のことは、本人曰く、さして重要ではないという。
『偶然』にも、ここのイートインで食べられる食事はとても美味しいのだ。
よって、叡知はここのイートインで運動後の食事を取るのを『日課』にしていた。
今日は、いつもは見ないネコンビの新作らしいネコチキバーガーシリーズの新作を、ペットボトルの濃いめに淹れられた緑茶を共にして食べる。
そして更に『偶然』は重なった。
「お、添星くんや。いらっしゃーい。
もーちょい待ってな」
なんと、叡知がこれらをきちんと胃袋に収めた頃、本当に丁度、蘭月のアルバイト終了の時間が訪れるのだ。
叡知は、最近『毎日、この偶然を繰り返している』。
今の叡知の日常は『怖ろしいまでの偶然』の上で成り立っているのだ。
──誰も、偶然にしては『道場を出る時間に、怖ろしいほど誤差がない』という冒頭の事案については触れてはならない。
叡知は心優しく男らしさに整う端麗さを持ち合わせているが、同時にその心は『彼女がいない歴十六年』の純真に溢れているのである。
そして、重なる無心の偶然を辿って、叡知は今日も彼女と出逢う。
「ふーっ、買った買った!
添星くん、お待たせ」
遠くから、こちらへ真っ直ぐ歩いてきた蘭月は既にエプロンを外して、寝子高の制服に身を包んでいた。
そして、両手にはチアガールのポンポンを思わせる大きな袋に大量のお菓子がぎゅう詰めにされている。
その様子が、叡知には頬袋に食べ物をたくさん収めた可愛らしいハムスターを想像させた。触れる力加減が分からないこともあり、叡知は小動物が苦手だが、蘭月くらいの大きさになればそこには純粋な安心感と可愛さがある。
「それじゃ、行くか」
先程まで食べていた、ネコチキバーガーの袋と空になったペットボトルをごみ箱に入れて、叡知は蘭月と共に店を出た。
歩いているのは街中だが、時間は既に街路灯の明かりだけでは届かない暗い場所も多い。
それならば『偶然』ここに自分がいるのも、神様のおぼしめしなのだろう……そう思えば、叡知が暗い夜道を一人で歩く蘭月を彼女の家まで送るのは、至極当然の出来事であり──そして、今までの『偶然』と同じく、これも毎日の出来事として日常化されたものだった。
「今日、ネコンビ新商品のお菓子がたくさん発売されたんよ。これは買わなあかん思うて!」
「そうか。それでその袋の量」
「せや! 食べ応えあるでー!」
蘭月が、大きく両手それぞれに所持しているお菓子袋を持ち上げて見せる。
殆どが嵩張ったが故の大きさだろう。それでも、羽のように軽い訳で無ければ。
「持とう、重たいだろう?」
「あ、ええって。気にせんといて──」
「しかし、荷物は軽い方が良いだろう?」
「……。そんなら、片方だけ……な?」
叡知は片方の荷物を受け持ちながら、今この瞬間も一緒にいる時間を思い、改めて実感する。
自分は話し上手ではないが、こうして蘭月が自然に話題を振ってくれる。積み重ねてくれるから、自然に会話を返すことができる。
何より、元気で前向きな、白い八重歯が覗く彼女の笑顔が見られると、とても得した気分になれるのだ。
『偶然の積み重ね』として得た、この『日常』は、いつしか叡知にとって一日の中でもかけがえのない大切な時間となっていた。
街路灯が照らす暗い坂道を二人で歩く。
蘭月が内心では、その心使いや優しさに照れていることを、叡知本人は今いち理解していない。
叡知は無口だが優しくて頼りがいがある。こうして一緒にいれば、蘭月一人では落ち着かない夜道を歩いていても、絶対に安全だと安心出来る。
「(ここんとこ毎日来てくれるさかい、帰りはおくってもろとんのよね……
なんかカレカノっぽいかも──)」
蘭月は、その考えに自分たちを当て嵌めて、己の胸の音が少しだけ跳ね上がるのを聞いた気がした。
「(これは、あれやんな……
ちょっと、期待しても……ええんやんな)」
緊張の中、思う心に蘭月は軽く意識して息を吸う。
「(よしっ! 今日は家に呼んでみるわ!
今日も、前とおんなじ感じにしたら不自然やないやろ)」
前に、叡知に
買い物の荷物持ちを頼んだ時
にも、彼は快く引き受けてくれた。
きっと大丈夫……その決意と同時に、丁度二人の歩みは蘭月のアパートの前で止まった──
「今日もありがとうね」
「いや、このくらい大した事じゃない」
叡知が手にしていた蘭月のスナック菓子に目を向ける。それをこちらへ渡される前に、蘭月は慌てて言葉を割り入らせた。
「あのー、荷物多いし、ちゅーても全部あたしのんやけど──ちょっとウチ寄ってかへん?」
……この間、叔母──もとい『親戚のおねえさん』に、ドヤされ──もとい
叱咤激励されて片付けた部屋
は、今もまだ人を呼ぶには十分にその体裁を保っている。まだ、叡知を読んでも恥ずかしくないはずだ──
そんな想いと共に、気付かれない程度に声を上擦らせて告げた蘭月の言葉に、叡知は表情を変えることなく……しばしの沈黙を置いて口にした。
「……良いのか……? 確かに荷物もあるが、部屋に上げてもらっても」
「ああ、もちろんやで!」
この瞬間、蘭月の中では本来得るべき喜びよりも羞恥の方が上回った──しかしそれは、蘭月だけれはない。
「(……友達の部屋というのにも行ったことがないのに、女子の部屋などに入って俺は大丈夫だろうか?)」
叡知は認識する。これから先は、言わばアウェーだと。
敵地と言うほどではないのかも知れない。だが少なくとも。
そこは日常の馴染みがまったくない、未知の領域──
蘭月が玄関前まで案内する中、そう思う叡知の腕が、やはり向こうに気付かれないよう小刻みに震えているのに気付く。
「(……いや、これは武者震いだ)」
怯えやおののき、緊張から来る不安などではない。
叡知はそう認識したが、蘭月の部屋へと向かうのに対し、武者震いという『強大な出来事を前にしての心の高揚』つまり、心臓が勝手に相手に聞こえかねない音を立てているこの状況としては、それらは大して変わるものではなかったかも知れない──
そして、蘭月のアパートの鍵が開いた。
まず──部屋の電気を付けて、叡知を案内して好きな所に座ってもらう。
この間に、冷たい飲み物を二つ用意して、テーブルの上に置き。
そして、今日爆買いしてきた新作のお菓子をテーブルに広げる──
……そこまでを、何とかつつがなくこなしたところで、
「(──うわ、添星くん来てくれたけど、めっさ恥ずいわコレ)」
蘭月は、我に返ってしまった。
いつも見慣れた部屋の一角に、叡知が座っている。見慣れないどころか、蘭月が自分の部屋にて初めて目にする光景。
これを恥ずかしいと言わずに、一体何を恥ずかしいと言えば良いのだろう。
「新商品のスナック菓子、一緒に食べへん? どれもおいしそうやでー」
「ああ、このチョコ掛けのスナックとか美味いな」
「あ、ほんまや。これめっちゃ美味いわ」
こうして、お菓子についての雑談も盛り上がらない訳ではない。しかし、叡知自身あまり率先して会話を出してくるタイプでもない。
当然、むしろ寡黙気味とも言えるのが持ち味の彼に、そんなことを望んではいないが、このままではお菓子が尽きると同時に話題も消失してしまう。
そのような焦りにも似た勢いに押され、蘭月はふと浮かんだ話題を、言葉そのままに口にした。
「なー、添星くんって、その、仲良い女子とかいるのん?」
口にしたというより、口に出してしまったと言う方が正しかったかも知れない……何しろ、この話題は。
「(ぎゃ~っ! 勢いで聞いてまったけど、これ返事次第でめっさ沈むやつや!)」
そう、これでもし叡知が、誰か特別な女の子の名前でも挙げようものなら──
軽率すぎた……その発言を、蘭月が心から後悔した瞬間、
叡知は、素っ気なさすら感じられるほど自然にその言葉を口にした。
「いや、仲のいい女子といえば四野辺くらいだよ」
蘭月は沈黙した。十秒は掛からない程度の短い時間で、その意味を理解する為に難しくない言葉をさらに咀嚼して、
「あたし? ほかにおらんの?」
「ああ」
叡知は、乙女に対して、その言葉の重みを実感していないのが良く分かる早さで肯定した。
ただ、その早さは偽りのない、正直な素直さの表れだ。
「……そっか」
言葉を聞いた蘭月の頬が赤く染まる。嬉しさが隠しきれずに、思わず瞳を閉じて口許に手を当てながら、満開の花咲く仕草で笑顔を見せた。
「えへへ、うれしいな」
「?」
蘭月の様子に、叡知が不思議そうにする。だが、その様子は、
「(……こんな四野辺の表情を見ていると、こっちまで嬉しくなるな)」
そんな幸福に会話を途切れさせた初々しい二人の様子を、部屋の灯りが、温かにそっと包み照らしていた──
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3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月07日
参加申し込みの期限
2018年06月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年06月14日 11時00分
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