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【『私』を写す。鏡よりも克明に】
本日、星幽塔にて。
昼間は、広い星幽塔において、
『運び屋』
として活動している
アケーチ・タッマーキ
の、最後の依頼完了は、日の刻を少し回ってのことだった。
「予定より、少し遅れてしまいましたね……」
宵闇の中を、それでも浮き上がる壮大な純白の翼を羽ばたかせ、慌てない程度に急ぎ自宅へと戻る。
宵の口の中で、これから一層更けていくのであろう、遠くに朱色を混ぜた薄明るい夜空を見ながら、アケーチは大きな羽根をゆっくりと一打ちさせて、自宅の玄関へと降り立った。
闇が降り始めた空に、浮かび上がるように映し出される蔦巻く古びた一軒家。
アケーチが玄関のドアを開け明かりを灯すと、すでに玄関先ではふかふかな毛並みを持つ桃色兎のうさたんが待っていた。
「すみません、帰るのが遅くなってしまいまして……」
アケーチの手で大人しく抱きかかえられたうさたんは、幸せそうに鼻をぴすぴすと鳴らしている。
それに少し胸をなで下ろしたアケーチは軽い夕食をとって、うさたんと一緒に、最近筆を執り始めた『絵』を完成させる為に、絵を描く際のアトリエとして使用している部屋へと歩き始めた。
完全に闇へと覆われている部屋に、部屋全体を照らすランプの明かりが灯る。
連れてきたうさたんが、周囲をあまり気にすることなく小さく跳ねながら辺りの物を見つめるように動き回る中。
今、椅子に腰掛けたアケーチの前に静かに佇むものは、もう少しで完成となる油絵の自画像だった──
その切っ掛けは、寝子島で出会った一人の老人との出会いであった。
寝子島でのアケーチは公園での似顔絵描きに従事している。こちらも収入などよりも、素敵な時間が過ごせれば金銭を受け取らないことも多い。
それは運び屋と同じ理由で、アケーチにとって金銭では買えない『人との接点』を、その瞬間に心に染み入るように得る機会でもあったからだ。
その日も、アケーチは一人の老人に目を留めて声を掛けた。背筋の曲がった、どこにでもいるようなくたびれた老人。
ただ、そこにあった僅かな違和感をアケーチは見逃さなかった。
似顔絵の画紙に手を進める間にアケーチが捉えたものは、老人が滲み備えた陽光の槍のように鋭い眼光。そして老人本人も忘れていた獅子を思わせる猛々しさの本質だった。
アケーチはそれを偽ることなく完全に似顔絵として写し取った。似顔絵としては若干異質にも思われる、彫刻を思わせる筆とその気迫に、老人はその似顔絵としては破格の金額を出し、アケーチを自宅に招いて自身の肖像画の依頼を出したのだ。
その老人の言葉を受けて、当時のアケーチは己を振り返る。
「……そう言えば。私、自分の絵を描いたことありませんでしたね」
それから、約束こそ果たしていないが、アケーチは依頼を受けた油絵の肖像画に慣れておく為に、星幽塔で自分の肖像画に筆を執り始めた。
「(それにしても、自分を書こうと思うとは……)」
離れた所で煌々と灯るランプの灯りを反射する、自画像の為の鏡を目にして、アケーチは静かに思いを向ける。
以前は、自分の姿など描こうとも思わなかった。その思考自体、今までのアケーチには泡沫に浮かぶ余地もなかった。
「(寝子島や皆さんとの交流で、私の心にも変化が出たのでしょうか)」
ふと頬に染まる静かな微笑。鏡の向こうでも、同じだけの美しい笑みが形取られた。
連なる無音の時間。筆をキャンパスに動かすほんの僅かな音だけが響く。揺らめくランプの芯が小さく音を立てる。
「あぁ、完成です……!」
そして──無心の緊迫感に滲んでいた空間に、アケーチが完成までに辿った時間へ報いるように感嘆のため息をついた。
艶やかな黒の髪。黒の衣装と対比を取るように荘厳な羽根を控えさせ、青のブローチと青薔薇が一際の目を惹く中でも、それに匹敵する瞳のアメジストが光り煌めいている。
──目の前にある絵画は、アケーチの中でも非常に満足に足る出来。
張り詰めていた残りの息を細く肺から吐き出すと、アケーチは最後にその絵画へ『akechi』とサインを入れた。
改めて立ち上がり、アケーチは目の前の自画像と向き合う。
その表情は、
「(……思ったより、良い表情してますね)」
──その基準は。記憶も無いまま星幽塔に来た時の己か、それとも記憶の無いそれ以前のものだったか。
それでも、写し出された表情は、己が想像していた以上に、ずっと穏やかで柔らかなものだった。
こうして客観視することが出来た、今の星幽塔での充実さを受けて。
僅かに瞳が熱くなり、アケーチはそっとその透き通った宝石色の瞳を閉じた。
思い以上に今の充足を写し、投影されたその自画像の傍を名残惜しそうに離れて、じっとこちらを見つめていた桃色兎のうさたんを、愛おしそうにそっと抱き上げる。
そして、ずっと部屋を照らしてきたランプの元へと足を進めて、柔らかなうさたんの毛並みを確認するように軽く頬を寄り添わせた。
「寝子島のお爺様にそろそろ連絡しましょうかね、うさたん」
似顔絵を描く、その切っ掛けをくれたうさたんが、ぷうと鳴く。
それにそっと微笑みながら、胸の温かさを共に眠りにつく為、アケーチは今までアトリエを照らし続けてきたランプの光をそっと落として、ゆっくりと部屋を後にした──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月07日
参加申し込みの期限
2018年06月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年06月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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