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夜の静寂と共に
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【プライベート・レッスン】
それは、星の明かりが窓ガラスに反射しているのではないかと思われる程に、星と月を交えた光眩しい夜のこと。
木製の器に入れられた溢れんばかりのビール。それを飲み切れば、今度は次を待っていたかのようにグラスに注がれる琥珀色のウイスキー。
窓側のベッドに腰を掛けていた
ベルラ・ガーネブラッディ
が、隣でその酌をしている弟子の
シーナ・キュクノス
の傍らで、酒を水のように飲み干していく。
「今日みたいな星が煌めいて、月が綺麗な夜は酒がより旨いな」
「ベルラ、もっとどうぞ。もっと飲んで下さい」
「おちび、そんな慌てて注がんでも」
今日は妙にシーナの酌が早い気がする。今日は何故か、とにかく絶やさぬようにと酒を注ぐ弟子の仕草に、軽く笑みを含みつつ。
ふと、その酒量について自覚した時には──既にベルラは身も心も完全に酔い色へと染まっていた。
「……酒を飲み過ぎたか?
まあ、俺の部屋だからいいが……シー君が二人に見える」
思わず二人に見えるシーナの前で、ベルラは手を伸ばして左右に振ってみる。
シーナは、師匠のその有様に呆れたように大きなため息をついて見せた。
──しかし、それは建前のポーズだけ。
実際に、ベルラが飲んでいた酒を留める事無く注いでいたのは、そのシーナ本人だ。
建前と、本心との乖離が大きい。ため息をついて見せた傍らで、シーナの心は『これからの事』を考えるのに精一杯であったのだから。
ベルラは久方ぶりの泥酔状態で、非常に機嫌が良さそうだ。
シーナは今まさにこの瞬間の事を考え、これから自分が行おうとすることに、心臓の動悸が高まるのをこの胸ではっきりと感じ取っていた。
通常のベルラであれば、茶化されて終わってしまう……チャンスは、自分が作った今しかない。
『―――僕は、貴方が好きなんです』
確かに、自分はあの時、ベルラにそう告げている。
この想いに嘘偽りはなく、抑えるつもりも隠すつもりもない。
「ねえ、ベルラ」
シーナが手を止め、代わりに自酌をしていたベルラの隣へ腰掛ける。
「ん? どうした、ちび」
氷が溶けかかったウイスキーのグラスを手に、ベルラがいつもよりも明らかに上機嫌の様子を見せて、シーナの方へと身体を向ける。
「……ベルラは僕の師匠ですよね」
シーナが急にも近く問い掛けた言葉に、ベルラがその目を僅かな興味に開き、飲んでいたウイスキーの手を止めた。
「僕の師匠はベルラだけだし、ベルラの弟子は僕だけ……ですよね?」
「ちび以外に弟子はいないぞ」
その言葉に、シーナはベルラに顔を寄せた。
「だから──お師匠様、キスの仕方……教えて下さい」
ここまでしても、どうしても、僕は『貴方と触れたかった』。
「んー? どう教えたもんかねぇ」
まさに酒の影響であろうか。日常で同じことを言えば断られるのが必定の中で、今のベルラの言葉には、躊躇いなどを含めた思考時間が殆ど無い。
その様子からは酔いが完全に回っているのが伺えた。その回答にはベルラの雲の上を歩くような心地の良さが言葉に出ている。
「これでダメなら諦めるから」
対して、シーナはアルコールを口にしていない。
故にその願いは真摯であり、ベルラを見上げ詰め寄った、青み掛かった灰色の瞳には透き通ったさざ波が立った。
「分かったって。
なら一回だけなー」
ベルラの口から軽く発せられた内容に、シーナの表情が一気に輝くのが目に取れる。
……酔いに任せて口にした。
しかしベルラも、心の底では理解していた。
「(そんな物欲しそうな顔見せて全く……加減出来なくなるだろうに)」
──自分も、心の奥では『そうしたい』と……そう、望んでいたのだということを。
最後にそんなことをしたのは、ベルラの愛した妻がまだ存命であった頃。
最愛だった人を喪ったのは、自分のせい、自分の責。ほんの一瞬振り返るだけでも、その心は硝子が割れるかのようにひしゃげ掛けた。
その思いを、何とか押し退けグラスを置いて。ベルラは、向き合い思わず目を閉じたシーナの唇に、そっと羽のように触れて離れるだけのキスをする。
「……っ」
シーナは、本当に軽くではあっても、確かに触れたベルラの唇を感じ取った。その瞬間、シーナの胸は一瞬にして割れ鐘を打つように、激しくけたたましさすら感じる音を立て始める。
自分から誘っておいておかしいともと思ったが、この緊張こそが事実なのだから仕方がない。
こちらに触れたベルラの唇はあっという間に離れてしまった。残されるのはただ愛惜の想いのみ。
「──ベルラ、これじゃまだわかんないです」
もっと、優しくキスをしてくれた相手に触れて欲しくて。シーナは切なく縋るように言葉を紡ぐ。
「お願いベルラ」
「……」
その想いを感じ取ったのか、酔いでやり場無く浮き立つ本能を抑えるかのように、ベルラはいつも被っているウエスタンハットを被り直した。
そして相手の背にゆっくりと腕を回して、頤へと伸ばした手で、そっとシーナの顔を僅かに上向かせ、ベルラはその無防備な唇に、そっと自分のそれをゆっくりと重ね合わせた。
「ん……」
先程より触れ合っている時間が長い。比較をすれば、戯れではない口付けと呼ぶに相応しい感覚。
それは、とても温かく気持よくて──
「ぅん……っ」
シーナは、キスを教えて欲しいと告げた。でも、まだキスをしている間にどう息をしていいのかなんて教わっていない。
息苦しさと、ベルラからの接吻の温かさで、シーナの思考はどんどんと蕩けていく。
まるで、背に回された腕からもこの唇からも、ベルラが触れた箇所から、身体が暖かな真綿に沈み込むように溶けていくような錯覚を受けて。
「ふ……ぁあ……」
僅かに離れるベルラの唇の合間、シーナから鼻から抜けるように零れた吐息は、まるで自分ではない知らない人のような甘い声をしていた。
しかし、それを恥ずかしいと考える余裕はなく。シーナに初めて与えられた感覚はあまりにも熱く、甘い蜂蜜のようであったから。
僅かに開かれた艶やかな灰の瞳に波紋が揺らぐ。ベルラが今度はついばむように重ね唇を触れ合わせれば、
「ぁ……」
僅かに腕に支えるシーナの身体が震えるのを感じ取る。
ベルラには、シーナのその様子が何よりも愛しく。その想いを自分の手で再確認するように、まずは頬、次は髪、ふわりと伸びた羽耳に手を沿わせてから口付けを落としていった。
……こんなにも、慈しむように相手に触れたのは、本当にどれほど振りの事であっただろう。
キスを落とし、再度唇を触れ合わせながら。ベルラが、それを強く自覚した時。
僅かに開いていた窓から、吹き込んで来た風がオイルランプの灯火を消したのと。
ベルラが胸の想いに耐えかねて、シーナを押し倒したのとはほぼ同時だった。
「ベルラ……?」
「……今、お前さんが大事だからこそ悩んでる。
相手が、こんなおっさんでいいのかと」
顔の右側を冒す宝石結晶が、僅かに罅入りその微かな破片が涙のようにシーナの上に落ちた。
酒ですり減った自我を完全に手放しそうになる。だが、それだけは、絶対に許されない想いが、そこには確かに存在していた。
……迷わず、その細い手を強く取り握れたら、どれだけ良かったことだろう。
しかし、年の差も己の業も、未来も含めた刻と言う概念は、無慈悲なまでに過ぎていく。
時間が有限である事を知って尚、あわよくば『このままずっと隣にいて欲しい』などと願う己は、間違いなく狡いのだろう──
そう心で察してしまえば、この状態で傍にいることも躊躇われた。俯き、シーナから身を退かし離れようとしたベルラに。
不意に陽光などよりも遙かに柔らかで暖かな光が、言葉が、その心を照らし出した。
「……っ?」
『もし隣を望む人が貴方の前に現れたら、自分の気持ちに正直になって
きっとその人は、支えてくれるわ
だって……私が心から愛した人を、愛してくれた人だもの』
その脳裏に響いたのは、確かに愛した亡き妻の最後の言葉。
同時に、まだ身体を退かし切れない下にいるシーナの言葉。
「──バカな人。
大事だから、なんてそんなの悩まなくていいのに。
だって、僕はもう選んだんだ。
ちゃんと自分で……絶対に後悔しない道を」
そう、誓われるシーナの言葉。
瞳を閉じれば、
少し離れた所から、こちらに柔らかな表情で手を伸ばし続けるシーナと、
自分の背中を、そっと押して微笑み見送る妻、クレーティアの姿が──
ああ。と、その光景に瞑目する瞳が熱くなった。
瞳を開ければ、シーナが穏やかな眼差しでベルラに微笑みかけていて。
「それに……ほら、待ってばかりのいい子じゃないから」
自分から離れようとしていた、ベルラのしっかりとした腕に、シーナの白い指がそっと触れて引き留めた。
互いの視線が一つに重なった。
「(シーナ……待たせてばかりですまない)」
ようやく心に固まる、一つの想い。
ベルラはシーナに口付けると、薄らと開いていたその唇から相手の存在を確認するように深く舌を挿し入れキスをした。
「……!」
初めて受けるこのような口付けのあり方に、シーナは一瞬驚きに身を強張らせる。
だがそれは、他でもないベルラのものであったから。
「ん……」
僅かな未知への不安を押し退け、シーナもそっと真似をするようにベルラへと舌を伸ばして絡ませた。
腰を抱き寄せられ、それは激しい口付けへと変わる。絡み合い、互いの口端から唾液が僅かな音を立て合った。
シーナにも伝わる、ベルラが先程まで飲んでいた酒の香り──
「(くらくらして、すごく、きもいちいい……)」
めまいを覚える程のキス。シーナは瞳を閉じてその酩酊に近しい感覚を溺れるように味わった──
どれだけの長い間、お互いを感じ続けたか。
「ベルラ……」
シーナにも、これがいつまでも続かない事は分かっている。だから、今日はここまで。
「ちび……キスを教わる相手は俺だけにしてくれ。
じゃないと……いや、大人気ないな、今のはなしで」
暗がりで、相手の可愛い顔が鮮明に見られないのは惜しいが──自分も、今の顔をシーナに見られるのはまずいと思った。
きっと自分は、今まで一度もシーナに見せたことのない顔をしている。
「──だよ、シーナ」
溢れる思いを、形にして。言葉は、きっとシーナに聞き取られる事は無かっただろう。
……だが、この想いは、確かにここに存在していた。
互いが浅く眠りに落ちて。そして、太陽の光が差し込む直前の一番暗い夜の中で、二人は誰に起こされたという訳でもなく目が覚めた。
「──!」
「……ん? ああ、シー君か」
暗い中で、合わさった瞳は、恥ずかしさの余りシーナの方から、大きく逸らされる。
「ああ、酒飲んだまま寝ちまったのか……まだ夜だな。もう一眠りでもするか」
「(思わず目を逸らしちゃったけど……何も言わないってことは覚えてない?)」
そのままベッドに、シーナから背を向けて横になるベルラを見ながら考える。
「(ちょっと残念だけど、なら……内緒にしてよう。
これは──僕だけのイケナイ秘密の修行)」
そう思い、シーナが思い起こして頬を熱さに染めながら微笑んで。
その傍らでは、
「(……俺、恐らく何かやっちまったな)」
覚えていない、記憶にもない。だが、暗がりでも分かるシーナの表情を見てしまえば、それは一目瞭然だ。
だが。何に、誰に、何を、どれ一つ思い出せないけれども。
それでも確かに、ベルラの胸に蓄積された温かな想いは、深くその心に残されたまま──
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月07日
参加申し込みの期限
2018年06月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年06月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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