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くうねるところに ねこいるところ
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脛にふわり、あたたかな毛玉の感触。見下ろすと、ふくらはぎに柔らかな脇腹やぴんと立てた尻尾をこすり付ける三毛猫の姿があった。
にゃ、と鳴く猫の傍、習慣じみてしゃがみこむ。撫でろ撫でろと掌に頭を押し付け催促されるまま、顎に触れ背中に触れ、尻尾の付け根を撫でてやる。そうしているうち、気づけば周りは嬉しそうにぴんと立った猫たちの尻尾の林となっていた。
にゃあにゃあみゃうみゃう騒ぎ立てられ、
恵御納 夏朝
は焦げ茶色のたれ目を丸くする。
「こ、ここは……」
歓迎してくれる猫たちを順繰りに撫でながら、緩く波打つ天然パーマの頭を巡らせる。
奥には手入れされた縁側と広い床の間が目立つ平屋建日本家屋。どこまでも続くように見える広大な日本庭園には松に梅、奥には竹林。足元には白い玉砂利、視線を伸ばした先には石橋の掛けられた小さな池。
そのあちこちに、猫がいる。猫たちを遊ばせたり寛がせたりするための玩具やおやつやごはんが散在している。
来たことはないけれど、見覚えがあった。
「まさか……」
ポケットを探り、スマートフォンを取り出す。ダウンロードしているスマホ用ゲームアプリの中のひとつを起ち上げる。いくつか用意されたステージの内の『わふうのおうち』をタップして表示させ、今自分の居る場所と照らし合わせようとして、
「はう」
にゃ、と鳴く猫の声と重なって感極まった声を耳にした。聞き覚えのある声に振り向けば、自分と同じように猫たちに囲まれた
椿 美咲紀
がポニーテールに結った黒髪をぱたぱたと跳ねさせている。
「これは例のアレなにゃんこ達なのですね、恵御納さん!」
きらきらした黒い瞳で問われ、夏朝は迷うことなく頷いた。
間違いない。ここは可愛い猫さんたちを眺められる、
「『ぬっこ育て』」
呟いた途端、表情の薄い色白の頬が輝くような赤みを帯びる。のんびりとしているために幼くも見えるたれ目が輝く。
「わーい、一緒に遊ぶです!」
屈託なく万歳の仕草をし、美咲紀は足元の猫たちにダイブする勢いでその場にしゃがみこんだ。猫たちは人間の急な動きにびっくりしたのも束の間、
「どの子も可愛いくて大好きにゃ」
ふうわりゆったりした声音で呟き、来る猫拒まず去る猫拒まずな姿勢を取る美咲紀にすぐに警戒を解く。無邪気な猫たちに美咲紀は瞳を和らげた。
「猫飼いの身にありましても、『ぬっこ育て』は楽しいゲームなのです」
こくりと同意を示してくれる夏朝に人懐っこく笑い返し、足元に群れる猫たちを優しい手で撫でる。
とはいえもちろん、
(うちのにゃんこ達が世界で一番可愛い)
それは揺るがない譲れない。でも、
「他の猫ちゃんも愛でたいのが猫好きのサガなのです」
庭先に遊びに来るヨソノコを愛でる、というのはなんて素敵なことだろう。しかもスマホの画面越しではなく、実際にこの手でたくさんの猫たちに触れることができる。幸福の溜息とも笑みともつかぬ、あはん、という声も零れるというもの。
「なんて天国!」
美咲紀の言葉に全面的に賛同しつつ、夏朝はうきうきと立ち上がる。
ここが神魂の影響で構成され、普通の寝子島から切り離された『ぬっこ育て』の世界であるのなら、することはひとつ。
「ごはんにしよう、猫さん達……!」
ごはんをあげる。集まってきたたくさんの猫たちと遊び倒す。それがきっと、帰還方法のひとつ。
ごはんの気配を感じ取ったか、足元の猫たちがひっきりなしに声を上げ始めた。早く早くと膝や腿に縋りつかれる。
「待って、待ってね」
『ぬっこ育て』の『わふうのおうち』では、確か床の間の袋戸棚をタップするとお徳用カリカリが無限に出て来ていた。
(畳の下に隠し収納庫もあったはず、だけど……)
そちらは他のひとの分に残しておくとして、袋戸棚の中のカリカリを両手に持てる分だけ使わせてもらおう。
いそいそと屋内へ足を向ける夏朝に、美咲紀もついて行くことにする。庭で猫たちと遊ぶのも楽しいけれど、見たところ、縁側や床の間には猫用の玩具がたくさん転がっている。もちろん、畳の上にはまったりごろごろしている白猫や薄虎猫に三毛猫がいる。日当たりのいい縁側に端正な佇まい腰を下ろした
橘 千歳
の膝の上にも、うつらうつらと気持ちよさそうにうたたねする黒猫がいる。
(遊ぶのです)
ふふ、と堪えきれない笑みが溢れた。
(一緒にいっぱい遊ぶのです!)
いつも愛猫と一緒に遊んでいるおかげもあって、
(にゃんこと遊ぶのはお手のもの!)
猫たちと戯れながら、沓脱石に靴を置き、ぽかぽかの縁側に膝をつく。転がっていたトンボの猫じゃらしを手にした途端背中に飛び乗ってくる白猫もそのまま、畳の上に移動する。
「ではではー」
くすくすと笑いながら、しゃきーん! と擬音付きで猫じゃらしを掲げる。
「この、思わず飛び付きたくなる魅惑の動きに大興奮するとよいのですよー!」
トンボのおもちゃについた棒を巧みに操り、まるで本物のような動きを再現してみせる。美咲紀の背中にくっついていた白猫がまず畳に飛び降り、金色の眼をぶわっとまん丸くした。三角耳を緊張させ、前傾姿勢になる。尻尾で身体のバランスをとるように小さな尻を振り、美咲紀の動きに合わせ前足を素早く繰り出し、それでも捕まえ切れずに全身で飛び付いてくる。
「そーれ!」
にゃにゃーう! 大興奮の白猫につられるように、座敷に居座っていた猫たちもじりじりと近づいてきた。
猫たちと遊ぶ美咲紀の邪魔をしないよう座敷を大きく回り込んだところで、夏朝は縁側の端に胡坐をかき庭を眺める黒髪の少年の姿に気づいた。両手に小袋入りの猫の餌を抱え、同学年の少年に近寄る。
「水守君」
「おー、恵御納」
眠たそうな黒い眼と寝癖のついた頭を巡らせ、
水守 流
はひらりと手を振った。
「これ、あのゲームの世界か……おー、いるいるにゃんこ」
面倒くさそうに胡坐の膝に頬杖をつきながらも、状況は的確に把握しているらしい。庭で風呂敷にくるまる猫や、玉砂利の上にどーんと置かれたキャットタワーのてっぺんで香箱を組む猫を眺めては穏やかな笑みを浮かべつつ、流は背の高い山茶花の生垣まで全力疾走しても随分とかかりそうな広い庭園を見渡す。
「目当てのが居ない」
「……目当て?」
こくりと頷く瞳が熱を帯びる。
「そう、まんぷくさんだ!」
「まんぷくさん……」
隣に立って話を聞いていた夏朝がちょっと困った顔をした。それもそのはず、『ぬっこ育て』のまんぷくさんと言えば、折角設置した餌、それも大抵高級な餌を食い荒らす嫌われ者。
「そう、まんぷくさん。あの唯我独尊、食いたいだけ食って満足したらげふーいと言わんばかりに寝る気ままな様子とか」
問題児の問題児たる動きではあるのだけれど、流にはあの太々しさが心地よかった。大っぴらな食いしん坊っぷりは、時々一緒にご飯やらおやつやらを食べたりする女子をちょっぴり思い起こさせることもあって、妙な親近感も感じていた。他の猫のご飯を悪びれなく奪うところも少し似ている気がする。
「あとあのでっかい腹。マストもふり案件」
「あ、それは確かにそう、かも……」
「な!」
ニカリと笑う流に、夏朝もつられて笑う。
「お気に入り?」
「おー、かなり気に入ってる」
「じゃあこれ、どうぞ。まんぷくさんにはきっと足りないけど……」
座敷の奥の袋戸棚にぎゅぎゅっと詰め込まれていることを流に教えた上で小分けの餌を何袋かお裾分けしてから、夏朝は餌目当てで足元に群がる猫たちにも笑いかけた。
「ごめんね、お待たせ」
靴を履き直して縁側から下り、猫たちをひきつれて庭に出る。松や梅の木の下に置かれた餌用のお皿を順番に巡り、猫用カリカリフードを山盛りに入れる。
ひとつひとつのお皿に丁寧に餌を入れて回る途中、日本家屋の側からは樹の影になっていそうな竹林の中にぽつり、迷子のように立つ
御剣 刀
を見つけた。
「ここ何処だ?」
鋭い眼差しで難しい顔をしたかと思えば、
「俺、さっきまで何してたっけ?」
今度はちょっと情けないような顔を見せる同級生に、猫を足元に群がらせた夏朝は手短に事情を説明する。
「あー、……」
夏朝の説明に、刀は小さく頷いた。そう言えば、大切な友人の少女から教えてもらったゲームをスマホにインストールして遊んでいた気がする。
「また神魂か?」
「……きっと」
「そうか、……ありがとう」
猫の餌を両手に抱えた夏朝と、その夏朝の足元で餌を催促する猫たちを見遣る。頭上には涼しく揺れる竹の梢、竹林の向こうにはゲーム内と同じような様相の日本庭園が見える。
(今の所、危険はなさそうだけど)
夏朝が餌皿にカリカリを入れた途端、猫たちが歓喜の声を上げて皿に飛び付いた。三四匹で押し合いへし合いして猫たちが餌を食べる様子は、平和そのもの、何の脅威も感じられない。
他の場所へ餌を設置に向かうという夏朝と別れ、刀はさらさらと揺れる竹の梢を仰いだ。
(何事もないのは今だけかもしれない)
神魂による世界は、一見平和に見えても突如として何が起こるかも分からない。
それに、心配事はまだある。
同じゲームに触れていた彼女も、もしかするとこちら側に来ているかもしれない。
(探してみよう)
「千歳ー!」
決断するなり躊躇いなく声を放つ刀の足元、必死になって餌を食べていた猫たちがびくりと一斉に振り向いた。
「あ、……ごめん」
驚いた顔をする猫たちに素直に謝り、刀は大声をあげてしまった口を片手で覆う。
猫たちを驚かせてしまうのはいけない。
(静かに探そう)
一巡りして全てのお皿にカリカリを入れ終え、夏朝は長い縁側の一角にちょこんと座り直す。
(これで可愛い猫さん達の姿を見れ……)
「……いた!」
まったりとしかけたところで、庭を眺めていた流が跳ねるような声を上げて立ち上がった。
「まんぷくさんだ!」
山茶花の生垣を勢いよく掻き退けて、遠目にも縮尺のおかしな巨大白猫が駆けてきている。梅の樹の下に置いたカリカリに群がる他の猫たちを押しのけほとんど一口で餌皿を空っぽにし、次は松の樹の下の餌皿に襲い掛かる。
「……あーっ!?」
まんぷくさんに蹴散らされ悲しい声をあげる猫たちの姿に、夏朝は悲鳴じみた声をあげた。
「大きい……!」
縁側でひたすら猫を愛でていた千歳も血相を変えて立ち上がる。今の今までは、この天国な状況は現在一部で盛り上がっている『ぬっこ育て』VR的なナニカだと思い込もうとしていたけれど、極めて平和だしそれで大丈夫だろうと考えていたけれど、
(……な、訳ないわよね)
やっぱりいつも通りの、神魂絡みのナニカなのだろうと結論づける。とにもかくにも、
(ぬっこたちのご飯は私が死守しないと)
決死の覚悟を定め、素早く周囲を見回す。座敷の端に見つけたのは、もっふもふの毛玉が糸で結ばれた釣り竿型の猫じゃらし。
躊躇なく玩具を手にして、千歳は庭に飛び降りる。これでまんぷくさんの気を引いているうちに、まず他の猫たちにお腹をいっぱいにしてもらおう。
「まんぷくさん! こっちにゃ!」
松の木の下に集まる猫たちを押しのけ、置かれた餌皿に食らいつこうとしているデッカイ白猫に向け、千歳は凛々しい声で呼びかけた。棒を小刻みに振り、魅惑の動きでまんぷくさんの関心を引こうとする。
「おいでおいでにゃー」
まんぷくさんのふくふくの背中へ真剣な声で呼びかけていて、ふと気づいた。ころころ転がる毛玉の動きに釣られ、他の猫たちが獲物を狙う動きでじりじりと近付いてきている。いつの間にか、ぐるり、囲まれてしまっている。
「あれ?」
瞬きながらも、千歳は猫じゃらしを動かす手は止めない。遊ぶ気満々の猫たちに囲まれるのは嬉しいけれど、もう心底飛び上がるくらいに嬉しいけれど、
「じゃなくて、今はあなたたちと遊ぼうとしてるわけでは……」
輪を狭めてくる猫たちに遠慮がちに言い聞かせかけて、千歳は口を噤んだ。猫に囲まれるなんて、現実では滅多と起こり得ない。それによく考えてみれば、まんぷくさんサイズの猫は現実にはあり得ない。そのあり得ないサイズの猫にもふもふできる、これは千載一遇のチャンス。
(こうなったら)
千歳は眦を決する。まんぷくさんも他の猫たちも、
「私がまとめて面倒見てあげる」
凛と言い放つ。
猫を見回す。背後を振り返る。家屋に居る誰も彼も、好き勝手に大暴れするまんぷくさんに気を取られ、
(大丈夫、誰も見てない……)
生真面目な風紀委員は自分に言い聞かせる。普段なら決してしないことを、今から特別にする。見られるととっても恥ずかしいけれど、誰も見ていない今なら、
(出来る!)
黒い瞳に歓喜を滾らせ、千歳は両腕をいっぱいに広げた。
力いっぱいもふもふ出来るかもしれないと思えば、声は自然と弾んだ。
「まんぷくさん、カモーン!」
現実ではこんなことを猫にしてもかなりの確率で無視される。それはもう見事なまでにガン無視される。それどころか、
――あん? おめぇーなに?
胡散臭そうな一瞥を叩きつけられ足早に歩み去られる。
人気のないところでこっそりやってはその都度心にダメージを負うものの、凝りていない。
(そういうクールなところもぬっこの魅力の一つだと、……思うのよ……)
凝りていないけれど傷はある。思わずちょっと遠くへと視線を逸らしたその先、――今の自分の姿をいちばん見られたくないひとが、いた。
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年05月21日
参加申し込みの期限
2018年05月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年05月28日 11時00分
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