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寝子島高校
くうねるところに ねこいるところ
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閉ざした瞼の裏まで青い。
青の眩しさに瞼を開く。視界を覆い尽す空の青のその端、柔らかな花弁を揺らす山梔子色した名も知らぬ花が見えた。
大の字に転がった身体のあちこち、青空の光を浴びてなお冷たい花々が触れている。
土と花の匂いがした。
「どこでィ、ここは……」
肩肘を使って起き上がる。刺青のような紋様が覗く肩に垂れた赤銅色の髪を指先につまんで背中に流す。
細身ながら筋肉の薄く浮き上がった背中に流れ落ちた赤銅の毛の先が、ゆらり、炎の色とかたちをして揺らいだ。火焔の髪はけれど、風にそよぐ花々を決して焼きはしない。
濃密な花の香と風にくしゃみをひとつ、
フォーマ・シャオ
はしなやかな獣じみた動きで立ち上がった。白、橙、緋、紫、藍、様々な色とかたちして咲く花々を足元に見下ろし、馬のかたちした耳を小さく震わせる。
星幽塔での生業としている運び屋の仕事を片付け、一休みするかと風そよぐ泉の畔に転がってうっかり眠りに誘い込まれたまではいいものの、
「おれァ何で花畑にいるんだ」
起きてみれば訪れたことのない花畑のど真ん中とくれば戸惑うも仕方がないというもの。
先は噂に聞いていた寝子島、今回は見たことも聞いたこともない妙な場所。
元居た世界から星幽塔へと放逐されてからというもの、最近は己が意志とは別に気付けば場所を変えられることが多い。
(しかし、)
花と土の香を胸に満たす。見渡す限りの花畑に紺碧の空、耳にも肌にも危険は感じないのは結構なことだが、
――にゃあ
あちらこちらの花影から猫の鳴き声がひっきりなしに聞こえている。
馬の耳の先をぴんと立て、鳴き声のもとを探る。蒼い花をかき分けてみれば、にゃあにゃあみゃう、三毛の仔猫が見つかったとばかりに笑った。
「ほーれ、見っけた!」
炎の色した瞳を細め、フォーマも笑う。腰を屈めて伸ばした手に、仔猫は小さな両前肢で抱き着いた。細い爪を腕にひっかけてよじ登り始める。ちくちくした痛みに苦笑いするフォーマをよそに、仔猫は肉の薄い肩に乗っかった。満足げな鳴き声を零し、精悍な頬に冷たい鼻先を寄せる。
「仕様がねぇなァ」
突如として見知らぬ場所に放り込まれ、突如として見知らぬ猫に絡まれても、フォーマはカラリと笑う。
「お、まだいやがんな?」
猫の声はまだ他にもしている。もういいよー、みつけてー、と猫たちに言われた気がした。
「ははあ、隠れんぼか」
元の世界のことを少し思い出す。好物の饅頭を買いに町に出る度、子らが遊べ構えとまとわりついてきた。
こうなれば、ここが何処かを知ることは後回し、
「いっちょ付き合ってやろうじゃねぇか」
とりあえず、猫集めと洒落込もう。
山梔子色の小さな花群の真ん中で眠る黒猫に、薄紅色の大ぶりな花にじゃれついて遊ぶ白猫、空色の花の根元でみぃみぃと鳴く鉢割れ猫、
「馬ってぇのは耳もいいんでィ!」
次々に猫を見つけては抱き上げ、おどけて瞳を細めたところで、
「……あん?」
己以外にはひとの姿も見受けられなかった花畑の中、ぽつりと佇む黒髪の少女を見つけた。
切り揃えられ整えられた黒髪に、どこかしら苛立ちさえ覚えているかのように軽くしかめられた黒い瞳と眉。星幽塔では見かけない身形から鑑みて、少女は寝子島よりの迷い子なのだろう。
荒事など知らぬかのような白い瞼をゆっくりと瞬かせ、少女は紺碧の空を瞳に映す。花が揺れる一面の野を見回し、聞こえる猫の鳴き声に首を傾げる。
「嬢ちゃんも迷い込んだのかい?」
猫と花に半分埋もれるままに声を掛けてみれば、少女は見開いた黒い瞳にフォーマを映した。かたちの違う耳に怖じるかと一瞬思ったが、少女はどうやら星幽塔を知る人間らしい。
「ええ、……たぶん」
素直な仕草でこくりと頷き、方々から聞こえる猫の声を気にして周囲を見回す。
「……あれ、これってもしかしてスマホアプリの?」
「ここが何処か分かるのかい、嬢ちゃん」
炎のように揺らぐ赤銅の髪の青年に問われ、
水上 桜
は頷く。
剽悍な顔つきをしているけれど、その身体には何匹もの猫がくっついている。怖いひとには思えなかった。
「でも、普通ならありえない場所のはずで」
衣替えしたばかりの寝子高の夏服の裾を見下ろし、桜は呻く。さっきまでは高校にいた。昼休みをどうやって過ごそうかとのんびり教室を出たところのはずだった。
(……またフツウな出来事かい!)
眉間に皺が寄る。唇が不機嫌にぎゅっと曲がる。
(もうすっかり嫌気さしてるんだけど!)
そもそももれいびとなったのが高校受験で精神的に追い込まれている頃。受験勉強がうまくいかず、寝る間も惜しんで勉強していたというのに、神魂によるフツウな異変やら何やらに次々と襲い掛かられた。お陰で受験勉強も捗らず、正直気が狂うかとまで思った。
(誰がもれいびにしてくれとか頼んだんだ!)
今も今で、普通の高校生活がフツウによって邪魔されている。
(私は! 普通に暮らしたい! だけ! なのに!)
目の前できょとんとしている赤髪のお兄さんに怒りのあまり愚痴りそうになるも、そこはぐっと堪える。
(それをしたら負け)
そんな気がする。
「大丈夫です、……たぶん」
すぐに帰ることができる。直感にも似て思うのは、もれいびであるがゆえなのだろうか。それともこの場がひとに危害を加えるものだとはどうしても思えぬゆえだろうか。
自分の抱く怒りよりも、今は猫たちの声が気になった。ぺこりと頭をひとつ下げ、声の聞こえる方へと向かう。
満開の花々を踏み荒らさぬよう、そっと歩を進め、葉群を慎重にかき分ける。花と花の間で競うように鳴いていた猫たちを見つけた途端、桜は胸にわだかまる怒りを束の間忘れた。
「おいで」
小さく呼べば、猫たちはまろぶように足元に駆け寄ってくる。しがみつきすがりつき、甘い声でみうみうと鳴く。せがまれるままに抱き上げ、ふわふわの毛で覆われた小さくて温かで柔らかな身体を撫でる。
少し離れたところでまた猫の声がした。誘われるように足を向けては別の猫を見つけ、見つけた猫に導かれるように猫たちと花畑を歩く。足元にじゃれつく猫を踏むまいとして足をもつれさせ、うっかり転べば猫たちが我先にと抱き着いてくる。
人懐こい猫たちと遊ぶのは、思いがけずとても楽しかった。フツウでない出来事を厭うことを束の間、ほんの束の間忘れるほどには。
色とりどりの花々の色を茜色に染め上げて黄昏が訪れたかと思えば、周囲はあっという間に夜の藍に染め上げられた。陽の光を見失って花弁を閉ざした花々は、今はその蕾にぼうやりと白い光を湛えている。
風に花が揺れる度、蛍のような光は星々の色して空へと舞い上がった。
どこかでにゃあと猫が鳴く。呼ばれた気がして視線を上げれば、花畑の丘の上、石造りの白い東屋が見えた。
冷たい夜気が夏服にまとわりつく。肌寒さに肩をすくめ、桜は猫を抱きしめた。東屋であれば、少しは夜風も防げるかもしれない。
ふわふわの毛に頬を寄せながら、見つけ出した猫たちと共に東屋へと足を運ぶ。
にゃ、と迎えてくれたのは、一匹の小さな白猫。
東屋の央にはおままごとのような木製のテーブルと椅子があった。テーブルの上にはこちらもまたおままごとのような小さなお皿とティーカップ。お皿の上には拍子切りのきゅうりに大根、それから煮干し。東屋の屋根からつるされたいくつもの小さなランプに照らし出されたそこは、猫による夜のお茶会会場。
人間的にはお茶会という感じはしないけれど、
(まあ、これもありかな)
猫たちは桜の腕の中から飛び出し、きゅうりや大根をシャリシャリと美味しそうな音たてて齧り始める。あっという間に食いつくされるおやつに、給仕役の白猫は大わらわ。東屋の端に置かれたバスケットから次のお皿を出しに走る。
(大変そう)
手伝おうとする桜に、給仕の白猫はテーブルの上のティーカップを示す。まずはお飲みということだろうと理解して、小さな椅子にちょこんと座り、カップに口をつける。
冷たいお茶は、涼やかな花の香がした。
(……あれ?)
ふわり、脳裏を鮮やかな茜が過る。
空を茜に染め、海を金色に染め、朱緋色した太陽が滲みながら落ちて行くその風景は、――確か、幼い頃の記憶。幼い胸を得体の知れぬ寂しさで締め付け泣かせた、夕陽の光景。
(あれあれ?)
不意に蘇った落日の記憶に幼い頃と同じに胸を締め付けられ、桜は瞬く。
一日が終わるのが惜しかった。今日が終われば、今日と同じ明日は来ないと分かっていて、だから寂しかった。
(そうね、……うん)
たぶん今も、幼かった頃と同じように思っている。一日が終わるのが怖くて寂しくて、――何でもない一日が、愛おしい。
地上に揺れる星の光の絨毯の上、フォーマは炎の髪を揺らめかせて歩く。
藍の夜風に踊る緋の髪は、猫たちにとっては格好の玩具には違いなかった。加えて、炎の色とかたちをしていながらフォーマの髪は熱くもなく他所に燃え移りもしない。
「……おいおい、やめてくんな」
だからといってひっきりなしに髪に飛びついてこられるのは正直とても困りもの。気になるのも無理はないと思いつつ、髪にじゃれつかれ背中に引っ掻き傷をつけられ、
「玩具じゃねぇ、ぞ!?」
挙句髪に何匹となくぶら下がられて、
「飛びつくんじゃねぇやい!」
困惑半分面白半分、フォーマは呵々と笑う。
猫たちに髪を引っ張られて見上げた空は、いつしかすっかり星空になっている。歩いて歩いて辿りついた先には、白い石造りの東屋。
「お茶を?」
給仕役らしい白猫の手伝いをしていた黒髪の少女に微笑まれ、フォーマは目を丸くする。
「んあ? 茶ァご馳走してくれんのかい?」
嬉しいね、と玩具のような小さな椅子に掛け、風変わりな椀で出された花茶を有難く頂戴する。
「ん……美味い」
口中いっぱいに広がる冷たい花の香に瞳を細め、
――美味しいです、主
知らず口走りそうになって、慌てて唇を抑える。
(……何で、主の事を……)
不審に思うも、一度思い出してしまえば雪崩の如く主の記憶は押し寄せた。
――シャオ・フォーマ、……暁紅馬
己の名も素性も知れぬ己に名を与えてくれた。同じ炎髪を持つ誼だと家族すら持たぬ己の家族となってくれた恩人。主君であり、師であり、兄であり、――名付け親だった。
(おれの命は主の為に……そう信じて疑わなかったのに)
共に闘い共に死のう。そう定めた戦場を前に、主はその類稀なる術力で以て己を珠に封印し、世界より放逐した。
(何故です、主)
主の思惑が理解できなかった。主のいない世界になど意味はないと、星幽塔に彷徨い込んで後も嘆き続けた。それでも、
(主は、おれを見捨てたわけじゃァねェ)
それだけは信じられた。だからこそ、余計に苦しかった。
(何故です、主)
苦しい息が零れて落ちるよりも先、ぺたり、温かな肉球が頬に触れた。主への思慕を遮られ、剣呑な光を帯びて傍らの猫を睨めつけ掛けた炎の瞳は、けれど猫の心配げな視線が己の髪に向いていることに気づいてすぐに和らぐ。
「……ああ。これか」
感情に合わせ色を変える髪は、今はしんなりと漆黒の色に染まってしまっている。
にゃお、と何かしら訴えるように鳴く猫の頭を、フォーマは優しい掌で撫でる。
「心配しなさんな。すぐにまた灯るさ」
寂しさに知らず掠れた声で囁いて、フォーマは東屋の外に見える星空に願う。
(また貴方と共に茶を)
祈りを込め、椀をそっと掲げる。
「……主」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年05月21日
参加申し込みの期限
2018年05月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年05月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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