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「あっ、いたいた」
なんだか大騒ぎになっている庭の向こう、平屋の建物の近くに探していた少女を見つけ呼びかけようとして、刀は思いとどまる。
木の影になってあちらからこちらは見え辛いだろうが、こちらからあちらはよく見える。
(千歳、凄い喜んでる)
黒髪の少女は、猫に囲まれ普段は見せない満面の笑みを見せている。
もしかすると本人はそんなつもりはないかもしれないけれど、黒い瞳はとろけてしまいそうな笑みに溢れている、頬はうっとりとした赤みが差している、唇は柔らかく綻んでいる。
(そうだよな~、千歳猫好きだもんな)
「まんぷくさん! こっちにゃ!」
普段の千歳からは聞けるはずもない台詞を耳にして、刀は目を丸くする。見つけたからにはできればすぐ傍に行きたいけれど、今こちらの姿を見せてしまっては、猫との触れあいを邪魔してしまう。それはとても悪いことのような気がする。
千歳に危険が及べばすぐさま駆け付けられるようにしつつ、今は静かに気配を殺して見守っていよう。だって、
「おいでおいでにゃー」
(千歳すげー嬉しそうだ)
とてもとても楽しそうにご機嫌に、踊るように猫じゃらしを振り回す千歳をじっと見つめる。
「いいな~」
素直な感想が口から零れ出た。
真っ白な巨大猫に蹴散らされたからか、地面に転がって不貞寝を決め込んでいる猫たちがきょとんとした瞳を向けてくる。刀はその場にそっとしゃがみこみ、近くに転がる猫の腹を撫でた。苦笑いが漏れる。
「俺は千歳にあんな表情向けられた事ないぞ?」
猫は気持ちよさそうに目を細め、くあぁ、と欠伸した。興味なさげな様子に刀は息を吐く。
「お前らだけの特権だから堪能しておけよ?」
ひとりごちつつ、普段は見られない生真面目な女子の蕩けそうな笑顔に視線を戻す。白い巨大猫の気をどうしても引きたいのか、千歳はやおら大きく両手を広げた。
「まんぷくさん、カモーン!」
「……うわー……」
いいなあ、と思う。心底思う。いつかあんな風にされてみたいなあと思う。
(……先は長い)
肩を落として遠くを見遣った瞬間、千歳が不意に伸ばしてきた視線と視線が絡まった。
「やべっ」
慌てて立ち上がる。顔面蒼白な千歳へと足を向ける。
「う、嘘……」
青くなったかと思えば次には頬を真っ赤にする千歳に、刀はあわあわと両手を振り回す。
「千歳、大丈夫だ、問題ない」
必死の言い訳の途中で襟首を両手で掴まれた。ぐい、と近付く黒い瞳は完全に据わっている。
「いつ来たの? 刀君?」
「俺は千歳が猫大好きなの知っているし、それ以上の姿とか普通に見てるし!」
「今?」
言ってはいけないことも口走ってしまった気もするものの、千歳は千歳でこちらの言葉を理解する余裕はなかったらしい。これ幸いと刀はぶんぶんと首を縦に振る。
「うんそうです、今来ました」
「そうよね、今よね」
にっこりと千歳は笑う。ただし目はまだ笑っていない。
「刀君は今来たのよね」
「ハイ」
「だから何にも見ていない」
「ハイ」
にゃーにゃー鳴く猫たちに囲まれるふたりの脇を、まんぷくさんが駆け抜けていく。一目散に目指すは、両手いっぱいにカリカリの小袋を抱えた夏朝のもと。
「まんぷくさん!」
突進してくる巨大白猫に向け、夏朝は手にしたカリカリ袋を矢継ぎ早に開いた。足元の皿にざららっと入れる。待ち受けていたまんぷくさんがペロリと平らげる、次のカリカリを入れる、一口でなくなる、次のカリカリを入れる、一瞬でなくなる。それを繰り返し繰り返し繰り返して、とうとう両腕いっぱいのカリカリが尽きた。
ならば、と夏朝は縁側に落ちていた猫じゃらしを素早く拾い上げて油断なく構える。
「体力作りも兼ねて、たっぷりじゃらしてみせるから!」
空のカリカリ小袋の山を挟んでじりじりと睨みあう夏朝と巨大白猫を目の端に捉えつつ、美咲紀は床の間の戸袋を開く。みっちり詰め込まれたカリカリ袋をどさどさと畳に落として確保し、次は敷き詰められた畳の上をわざと足音を立てて歩き始める。
「床下の隠し収納だな! まかせろ!」
美咲紀の意図を理解し、まんぷくさんと夏朝の睨みあいに乱入すべきか考えあぐねていた流が同じように床を探り始めた。
ふたりで目星をつけた畳をえいやっと剥がしてみれば、
「あった!」
「ありましたですよ!」
畳一枚分の床下を埋めて、ちょっぴり高級感のある袋に詰められたリッチカリカリと猫缶。
(まんぷくさん、まんぷくさん……!)
美咲紀は両手に持てるだけカリカリ袋を抱え込む。猫缶もいいけれど、今はまんぷくさんを満腹にさせるのが第一の目的。ウェットフードよりカリカリの方がきっと満腹感を誘うはず。
問題児扱いされているが、まんぷくさんはまんぷくさんで可愛いところもあるのだ。と、猫好きは思う。
それになんと言ってもあの大きさ、あのもふもふたぷたぷお腹は、
(抗いがたい魅惑なのです)
ゲーム内では餌の数にもまんぷくさんの出現にも制限があるけれど、
「ここでなら、まんぷくさんの食欲の限界にチャレンジできそうではないですか!」
「こりゃ甘やかすしかないっしょ!」
両手いっぱいにかき集めたカリカリとリッチカリカリ、戸袋と床下収納に詰め込まれた餌を交互に見、美咲紀と流は頷きあう。
「餌! やらずにはいられない!」
「追加のカリカリなのです!」
一声吠えるなり、流はまんぷくさんの元に走った。遅れじと美咲紀も駆ける。
もふん、と重たい音たてて夏朝の持つ猫じゃらしを掴もうとしていたまんぷくさんは、餌だのカリカリだのの言葉を聞いた途端にぴんと耳を立てた。短い尻尾をふっかり振り立て、跳ねる足取りで餌皿の前に立つ。餌が皿に入れられる間だけは大人しくなる食いしん坊猫の様子に笑みを漏らしながら、流はカリカリの袋を次々と開いた。
「ほーれほれ、ガンガンくえくえー」
「しっかり噛んでお食べなさい、なのですよー」
先程より二倍の速度で給餌され、まんぷくさんは満足の声をあげた。凄まじいスピードでカリカリカリカリ、ご飯を食べる。
「ふっふー、いい食べっぷりだぜ」
大きな猫が幸せそうにご飯を食べ続ける様子に顔がにやけてしまうのも止められず、流は脳内麻薬の溢れる頭を抱えて至福の雄たけびをあげた。
「こりゃ俺のNYAN値が直葬されてもやむなし!」
けれどそのしあわせなひとときもほんの束の間。
カリカリカリ、リズミカルに食べていた音が途切れる。手持ちのカリカリの尽きた美咲紀が途方に暮れた顔をして流を見るも、流の両手いっぱいにあったカリカリもいつのまにか空っぽ。
に゛ゃあ゛あ゛あ゛、まんぷくさんがなにごとかを訴えて喚いた。耳をつんざくような声に目を剥く流と美咲紀の前、まんぷくさんはくるりと背中を向ける。屋敷には上がらず、庭のあちこちにまだあるかもしれない餌皿を探してどしどしと歩き出しかけて、
「……こういう時は相撲だよな!」
行先を阻んで立ち塞がる刀を前に足を止めた。
「遊べばいいんだよな、任せろ!」
「ここは僕にも任せて!」
刀の隣、夏朝が並ぶ。
「みんなは先に行けー……じゃなかった、他の子たちにご飯やりに行ってー! じゃなきゃ猫たちが居なくなってしまう……!」
「それは一大事なのです!」
ゲームと同じシステムであるのなら、餌皿が空っぽになってしまうと同時、どれだけたくさん猫が居ようと一瞬でみんな居なくなってしまう。夏朝の言葉に美咲紀と流が大慌てでもう一度餌の補充に向かった。
「まんぷくさん! 止まってー!」
呼びかけるなり、夏朝は熊ほどの大きさの白猫へ突進する。小柄な身体ぜんぶでその背中に抱きつく。もふもふもっふり、つやつやふかふかの脇腹や背中を撫でて足止めにかかるも、まんぷくさんはそれだけではまんぞくしなかった。夏朝を背中に乗せたまま、のしのしと貫禄ある足取りで刀に歩み寄る。
「来い!」
両足を開いて腰を落とし、がっしり受け止める体勢に入る刀を、うにゃあ! という気合いの猫ぱんちならぬ猫張り手ひとつで吹き飛ばす。あれ?、という顔で宙に舞う刀を一瞥したかと思えば、まんぷくさんはその場にどしんと巨体を横にした。その場にまん丸お腹を無防備にさらしてお昼寝時間に入る。
「……寝た?」
瞬きの間に眠りについた巨大猫の背中に抱きついたまま、夏朝がそっと呟く。
「おー、寝た寝た」
「一瞬でしたねー」
庭を駆けまわって他の餌皿を満たし、戻ってきた美咲紀と流がまんぷくさんの満足そうな寝顔を覗き込んで笑う。お腹いっぱい、力いっぱい遊んだのもあって、しばらくは起きなさそうだ。
安堵の息を吐き、夏朝はまんぷくさんのふかふかでぬくぬくな背中に顔を埋めた。ついでに身体ももっふり埋めてしまおう。
もふもふに埋もれる夏朝に続き、美咲紀と流もまんぷくさんのお腹を枕にひとやすみ。
「……くっはー!」
猫のお腹の中毒性のあるにおいに、流がたまらず酔っぱらったような声をあげる。
「やるしかねぇ! もふりまくるしかねぇずら!」
「幸せです。おっきい猫に抱き着くの、幸せです。もふもふするです」
幸福この上なさそうな友達の声を聞きつつ、夏朝はもふもふ背中から顔を上げる。気が付けば、他の猫たちも周りに集まり、思い思いの格好でうたた寝をしようとしている。
「可愛いなぁ、猫さん……」
寛ぐ猫も、じゃれる猫も。猫はどんな姿をしていたって可愛い。
可愛い猫をのんびり眺めていられるのはとても幸せな上に、今日はまんぷくさんの毛並みにも埋もれていられるから、
「……もっと幸せ!」
夏朝は瞼を閉じる。次に目が覚めたときには、たぶんきっと、寝子島に戻っている。
「それじゃ……またね、猫さん達」
ふわふわとした夢に埋もれていく膝の上で小さな猫が丸くなる。別の猫たちも寄り添ってくる。それがとってもくすぐったくて嬉しくて、夏朝は眠りながら笑った。
「これからも皆で仲良くね……!」
「……あれ?」
ぎゅっと閉ざした瞼をそっと開く。
まんぷくさんに吹き飛ばされて宙に舞い、きっとどこかしら傷めるだろうと固くしていた身体から力をぬく。どこもそんなに痛くない。
肩肘をついて起き上がってみれば、身体の下にはたくさんのカリカリの袋。流と美咲紀が畳を上げて出していた山盛りカリカリ袋の上に落っこちたために、怪我をせずに済んだらしい。
「刀君!」
猫たちを引きつれて座敷に上がってきた千歳に無事を問われ、刀はひらひらと手を振る。
「問題ない」
「そ、そう……良かった」
ふわりと和む千歳の顔を見ようとした途端、千歳について来ていた猫たちが一斉に刀に、刀が下敷きにしたカリカリに向けて飛びかかった。たくさんのもふもふに襲い掛かられ悲鳴を上げる刀の様子に、千歳はちょっと笑う。
「さぁ皆、ご飯の時間にぁ……」
甘く言いかけて、刀に聞かれては堪らないとばかり唇をきゅっと引き締め言い直す。
「……ですよ」
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年05月21日
参加申し込みの期限
2018年05月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年05月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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