this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
くうねるところに ねこいるところ
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
「ッ!?」
タイラ・トラントゥール
は唐突に覚醒する。
見開いた瞳に血の色した月を映す。知らぬ間に立ち尽くしていた足を動かし、宵闇に塗り潰された窓辺に立つ。
(夢だ)
こんなところは知らない。知らない間に知らない場所に佇んでいるなんて、
(あるわけがない)
だからこれは、全部夢だ。
ここのところ、続けざまにおかしな夢ばかりを見ている。
(夢なら早く覚めろ!)
暗闇に閉ざされた場所も、冷たい煉瓦造りの壁も、その壁に囲まれた狭い部屋も。今にも人ならざるものがふわりと降り立って襲い掛かってきそうな重苦しい空気も、たくさんあるだろう部屋のどれかから漏れ聞こえてくる狂気じみた笑い声も。今の己を取り囲む何もかもが夢であると信じたかった。
夢だ、と思えば思うほど、身体が震えた。指先が凍えるほどに体温が失せた。
(そうだ、窓……)
見た限り洋館らしい建物の二階部分しくはあるけれど、窓を開ければ外に脱出する手段が見つかるかもしれない。
一刻も早くこの閉鎖空間から逃れたかった。そうしなくては、早晩悲鳴を上げてしまう。うずくまって泣き出してしまう。
震える指先で冷たい窓硝子に触れかけて、藍色の硝子に映り込む白い影を見た。
「ッ!」
声にならぬ悲鳴を上げ、背後を振り返る。
「ブキミ~、ここでネコ探すの大変だ」
のんきに言い放ちながら物珍し気に周囲を見回していたのは、
源 竜世
だった。そのあっけらかんとした顔を目にして、タイラは思わずその場に座り込みたくなる。でも、
(コイツにだけは)
無様な姿を見せたくない。
「ネコを探すと言ったな」
「だってここ、『ぬっこ育て』の魔女の洋館じゃん? ってことはネコ集めたらきっと家に帰れるんだぜ」
「……そうか」
スマホのゲームアプリの中に竜世と共に入り込んでいる、という話は俄かには信じがたいが、こんな恐ろし気な場所で小さくて可愛い猫たちが怯えているかもしれないというのは気になった。たとえ夢だとしても、猫たちは助けてやりたい。
冷たい指先を拳にする。狭い部屋を埋め尽くす闇に、心臓は今も激しく轟いているけれど、
(救ってやらなくては)
「タイラ?」
不意に竜世が顔を覗き込んできた。琥珀の瞳を不思議そうに細め、かと思うと何の躊躇もなく両腕を背中に回して来る。
「大丈夫だって、オレがいるから」
いつかの夢の中でされたように全身で抱きしめられ、同じ言葉を言い聞かせられ、思わず頬に熱が上る。
「余計なお世話だ!」
怯える己自身を払いのけるように、竜世の腕を振り解く。
「これくらいどうとでもなる」
「えー、いらねえの? まあそっか、抱きついてちゃ歩けねえもんな!」
どれだけ邪険にしてもあっけらかんと笑い、代わりにと手を差し伸べてくる。無視して先に歩き出そうとして、出来なかった。
膝に力が入らず震える。平気な顔をして歩きたいのに身体が先へ進むことを拒絶する。
「……お前は一人でふらふら動くからな」
差し出され続ける掌の、この手の温かさを、心強さを、知っている。
「はぐれて迷子にならないように繋いでおいてやる!」
「よーし出発だ!」
竜世の声を聞けば、強張っていた身体が動いた。冷たかった指先に竜世の熱がしみ込んだ。
(ボクとコイツは真逆の存在だ)
どんなことも真直ぐに受け止め、全身でぶつかりに行く。その真直ぐな本質が、その言葉や行動が、
(ボクのこれまでを、根底を崩そうとしてくる……)
竜世と一緒にいると、仕方がないのだと思い込もうとしていたことを覆したくなる。傷つくのも構わず前へ前へ進もうとする眩しい背中を追いかけたくなる。
考えなしの馬鹿者なのだと思っていた。その時の感情だけで突き進みたがるトリ頭なのだと。だから嫌いだった。今までは。
(今……は?)
「よーし、開けるぞー!」
竜世がドアを開く。
瞬間、廊下を彷徨っていた蒼白い顔に白いワンピース姿のお姉さんと目があった。
お姉さんの眼は白目のない真っ黒。痩せた身体は半分透けている。嬉しそうに笑った口の中は、光のない眼と同じに真っ黒け。首をあり得ぬ方向に捻じ曲げしゃがれた声でけたけたと笑うなり、幽霊女は少年ふたりに骨と皮ばかりの手を伸ばしてきた。
捕まればただでは済まない。
「うえっ」
反射的にそう感じ取り、竜生はタイラの手を引いて駆けだす。
「お化け襲ってくんのかよ!」
「に、逃げるのかっ」
「武器持ってねえじゃん! たたかえねえ!」
お化けと行き会ったことで息さえ忘れ、それでもタイラは半ば竜世への意地と自身の矜持でどうにか強い言葉を口にする。
「なんか、最強の武器ねーか!?」
「そんなものあるわけが――」
「あっ、宝箱!」
悲鳴じみた言葉は、先を走る竜世の弾んだ声に遮られた。廊下の暗闇に目を凝らせば、三方を壁に囲まれた行き止まりの路の果て、如何にもなかたちした『宝箱』が置かれている。
「なん、だと……」
そう言えばこの夢はゲームという設定だったな、と妙に醒めた感覚で思うタイラには構わず、竜世は喜び勇んで迷うことなく宝箱を押し開ける。
「ネコ!」
宝箱の中には怯えて震える猫二匹と、
「と、スターライトナイト!?」
「バルティーグル……?」
竜世の持つカプセルギア、炎竜型の『スターライトナイト』と白虎型の『バルティーグル』。
「何でここにとかは今はどうでもいいや!」
「まあ、夢、だろうからな……」
少年たちは各々のギアを手にする。やっと追いつめたとばかり背後に立ち、気味悪く笑う幽霊女と対峙する。
「ゲームの中ならきっとやれる!」
パーカーのポケットに突っ込んでいたスマホを取り出し、アプリを起動させる。紅い翼を羽ばたかせ、スターライトナイトは生き物のように動き始めた。
「ドラゴンクロー!」
幽霊女に向けて飛びかかる紅焔の竜の脇、白虎が弾丸の如き速さで跳躍する。霊獣を模した白虎のギアの動きに翻弄され、顔を覆う幽霊女の透けた身体を竜の爪が引き裂くも、
「効いていない……!?」
すぐに元に戻る半透明な幽霊女の姿に、タイラは息を呑んだ。恐怖のあまり次の攻撃指示を忘れる。
幽霊女の背後、バルティーグルが動きを止めた。
「じゃあ次は必殺のメテオキャノンだ!」
強張るタイラの手をきつく握り、竜世は懸命に声を張る。マスターの指示を得、スターライトナイトは翼を翻した。凶暴そうな牙の覗く顎から、燃え盛る炎弾を吐き出す。
炎の眩しさにか、それとも炎という性質にか、幽霊女がたじろぎ後退する。続けざまにメテオキャノンの攻撃を受け、幽霊女は恨めし気な声ひとつ残して退散した。
「ネコ、もう大丈夫だぞ!」
竜世は宝箱の中から猫たちを抱き上げる。一匹をタイラに抱えさせ、もう一匹を自分のパーカーのフードにひょいと入れる。
「よし! じゃあ次だ!」
行こうぜ、と屈託なく笑う竜世が、タイラにはひどく眩しかった。怖い、とすら感じている己に思い至り、タイラは俯く。
(このままコイツの傍にいたら)
自分は自分のままでいられなくなってしまわないだろうか。この明るい光に呑みこまれてしまうのではないだろうか――
繋いでいたはずのタイラの指がない。
「あれ?」
まだどこかに隠れているだろう猫を見つけようと勇んで歩き始めてすぐそのことに気づいて、竜世は足を止めた。紅い月光が床に落ちる廊下の央、慌てて周囲を見回す。
「やっべタイラどこいった!? 迷子か!?」
焦って声を上げても、無闇に辺りを駆けずり回ってみても、不気味な洋館でただ一人一緒だった友達は見つけられない。耳を澄ましてみても、聞こえるのはどこかで鳴く猫の声と、どこかから聞こえる壊れたような笑い声と、誰かが暴れて走り回るような、タイラよりも重たそうな足音。
「タイラ! ……」
声が詰まった。
(……いきなりいなくなるなんて)
兄ちゃんと一緒だ。
ある日突然姿を消してそれきり音沙汰のない兄と、突如として姿を消したタイラが重なる。
もう二度と会えないのではないか。そう思ってしまった途端、足元が揺らいだ。けれど、にゃあ、という抗議の声と共、後頭部に猫パンチを喰らった。掌にスターライトナイトの爪が柔く刺さった。
――挫けるな
スターライトナイトの声を聞いた、気がした。
折ってしまいそうになった膝を拳で叩き、唇を噛んで顔を上げる。
(そうだよ、オレにはスターライトナイトがいる)
スターライトナイトとなら、屋敷の中も外も、きっとどこにだって行ける。
「大丈夫」
自分を鼓舞して声を放つ。
「絶対、見つける!」
音が聞こえる。
人なのかも判らぬ笑い声、何かが続けて落下する音、竜世のものではない大人の足音。
いつの間にか迷い込んだ暗闇の中、タイラは身動ぎも出来なくなる。両腕の中の猫を必死に抱きしめる。その場にへたり込む。泣き叫びそうになるのはなんとか堪えたものの、もう一歩も動けない。
(これは夢だ!)
きつく瞼を閉ざし、何度も自分に言い聞かせるけれど、カタカタと鳴る奥歯も耳を弄するほど轟く心臓の音も鎮められない。
(夢だ、夢……)
どれだけ言い聞かせても、夢は覚めない。
冷たい闇が背中に圧し掛かる。身体全部を押し包み、身体の自由を奪う。
闇に呑みこまれてしまう。
「ッ――!」
放ちそうになった悲鳴は、
「タイラ!」
背後に聞こえた声に、力強く駆けてくる軽い足音に、竜世のもつ眩しい光に溶けて消えた。
「りゅ、うせい……?」
暗闇に竜世の姿が浮かび上がる。
「行き止まりの脇にドアがあったんだな、暗くて見えなかった」
照れくさそうに笑う竜世の顔が涙にぼやけた。
光が近づいてくる。体当たりするようにすがりついてくる。
竜世に力いっぱい抱きしめられて、途端、今まで恐怖を抑え込んでいた理性の蓋が弾け飛んだ。
「ボクに無断でどこに行っていた、このバカっ!」
抱きしめられるまま自分からも縋りつき、感情のまま昂る声で友達を詰る。
「どこって……迷子はタイラじゃん」
「お前がはぐれたんだ!」
「オレ、いっぱい探したんだぞ」
竜世の顎が肩に押し付けられる。むくれたような声と共、
「痛っ!?」
背中に爪を立てられた。
猫かお前は、と喚きかけて、竜世が抱きしめてくる力の強さに、乱れたままの息に、竜世の必死さを感じ取ってしまった。
(探してくれた)
息が切れるまで、身体が熱を持つまで探してくれた。見つけ出して抱きしめてくれた。
「もうはぐれないようにはさんじゃえ! スターライトナイト!」
膨らませた頬をタイラの耳に押し付け、竜世は掌にずっと握りしめ続けていたギアをろっこんでひとの姿に変化させる。
瞬きの間に鋭い目つきの青年の姿へと変身したスターライトナイトは、抱き合うタイラと竜世を無言で眺めた。タイラの背中に回された竜世の両手をちらりと見遣り、気にくわなさそうに唇を曲げたかと思うと、少年ふたりを引き剥がす。左右の肩に俵のように担ぎ上げる。
「うわ、そうじゃねーって!」
喚く竜世を軽くあしらい、褐色の肌に黄金の紋様を持つ青年は驚きのあまり口を噤むタイラに耳打ちする。
「運んでやるから今の内に泣き止め頭でっかち」
武士の情け、とまで言われ、タイラは眉間に皺を寄せた。
「ボクは泣いてなどいないっ」
涙を感じさせぬ凛とした声で抗う少年に、人のかたち取ったギアは快活に笑う。
ばたばた暴れても動かないスターライトナイトの腕の逞しさに、竜世はぐぬぬと顔をしかめるも、それは少しの間。しょーがねえ、とすぐに立ち直る。
「このまま脱出だ!」
元気いっぱいの掛け声に頷き、助けた猫たちをお供に引きつれ青年は力強く駆けだした。暗闇の部屋から飛び出し、廊下をひた走る。
途中、
「おー、ちわーっすー」
廊下の端っこで猫たちに背中にたかられていた幽と、
「……ふ、ふふ。良きダンスが踊れました……」
大満足の顔で廊下の並びのドアから出てきたアケーチとも合流する。少年たちに囲まれ、白翼の変態もとい博愛者は歓喜に声を震わせた。
「さあ、さあさあ、にゃんこたんは他にも居るようです。お迎えに上がりましょう! さあ、ぜひとも! ご一緒に!」
少年たちの猫あつめは、もうちょっとだけ、続きそうだ。
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
ねこをあつめたり一緒に過ごしたりするお話、お届けにあがりました。
おおきいにゃんこも小さいにゃんこも、可愛いですねえ。
色んなねこと過ごすみなさまのお話、とても楽しく書かせていただきました。
あなたのことをあなたらしく描けておりましたらいいのですが……。
少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。
ご参加くださいまして、読んでくださいましてありがとうございました!
またいつか、お会いできますことを楽しみにしておりますー!
……わたしも、みなさまが迷い込んだねこいるところに行ってみたいのでした。もふもふしたいです。もふもふふかふか。
ねこあつめVRがとても気になる今日この頃でした。
ではではっ、重ねてになってしまいますが、ありがとうございましたー!
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
くうねるところに ねこいるところ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年05月21日
参加申し込みの期限
2018年05月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年05月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!