【星幽塔】第一階層　ツインズ・ノット・デッド｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ツインズ・ノット・デッド

【開戦前・５　城内避難所】

「……と、いうのが私の推理だ」
　旅鴉は、同時刻でフランチェスカが説明した内容とほぼ同じ推理を披露していた。
（ただし、先の大戦部分についてまでは説明できなかったが、充分な推理内容といえよう）
　断片的な情報から、ここまでよくぞ想像力で補ったと言えよう。
「それが本当なら、城下町を守るどころか、この塔の存亡にかかわる重大な事件という事に……！」
　鴻上の表情が険しくなり、無意識に奥歯を噛み締める。
「まぁ、真相は小犬丸が戻ってくれば分かることだ。そうだろう、小犬丸？」
「ふらん殿から、一切合切、この事件のあらましを聞いてきたで御座候！」
　ろっこんで志波の背後に瞬間移動してきた小犬丸が顔を出す。
「アイエエエ……！？」
　許可をしたのは頭で理解はしていたが、実際に体験した志波は腰を抜かし、再びニンジャの原初の恐怖に苛まれていた。
　ここで小犬丸はフランチェスカ並びに同席していた面々にろっこんの『許可』を貰えたことと、旅鴉の推理の裏付けに成功したのだ。
「我ながら、ここまで推理通りだったとは、意外だったな」
　ふむ、と興味深げに小犬丸の話に耳を傾ける旅鴉。
「では、拙者は他の方角の有志の方々から許可を得て参る！」
「あ、だったら、俺のペガサスに乗っていくといい。急いでるならなおさらだ。俺も、ここの事を周知しなきゃいけないし」
「なんと！　かたじけない！　天馬に乗れるとは、胸が躍りますな！　お願い致す！」
　鴻上の提案に礼儀正しく頭を垂れる小犬丸。
「それに……」
　鴻上は張り詰めた口調で語る。
「星幽塔の精霊であるステラが、自分を傷つけるような、星幽塔に対して攻撃をするとは思えない。俺は、ステラを信じてるよ。それに指名手配のステラは俺達の知る彼女じゃない、別のステラだ。アルターエゴ、ステラオルタ……。色々と考えても、これ以上被害が増えれば人々のステラへの負の感情が増すばかり。そしたら、アルターエゴの力も増してしまうかも。だからまずは、竜牙兵による街や人々の被害を出来るだけ食い止めなきゃな」
「その通りでござる！　ささ、善は急げと申すでござる。出発致しましょうぞ！」
「頑張ろう、小犬丸さん！」
　２人はペガサスに乗り込むと、一路、東へ向かっていった。
　残る志波、弥逢、旅鴉も、避難民の受け入れに奔走することとなる。
　戦闘開始は、すぐそこだ。