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海と歌とキャンプと
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気づけば、賑わう人込みの中に立っていた。
晴れ渡った星空には聞き慣れぬ異郷の音楽が鳴り渡っている。重なり合う弦楽器と打楽器の響きは耳慣れぬものの、それでも心は知らず浮き立った。
(寝子島、ですよね)
星幽塔から思いがけず転移してきた
ペルラ・サナーレ
は咄嗟に頭をフードで隠す。結い上げた薄紅の間から覗く翼のかたちした耳は、伏せた貝殻のかたちした耳持つ人々の間にあってひどく目立つ。それは本意にない。
(お祭り――)
ぐるり、頭を巡らせる。
空の色は夜なのに、そこかしこに温かな光が満ちている。様々な屋台に挟まれた大通りにも、少し離れた天幕の林立する辺りにも。
道の果てには、銀色の巨大な籠のような額縁のような舞台が設けられている。心浮き立つ音楽は、あのステージに立つ人々が奏でているらしい。
くすり、ペルラは柔らかな笑みを零す。周りの誰も彼もが嬉しそうで楽しそうで、つられてペルラの心もふわふわと楽しくなってくる。
お祭りが催されているのなら楽しもう、そう思う心の裏には、急に己の立つ世界が変化したことに対する驚きがある。世界を渡ることは初めてではない。星幽塔にだって、元は別の世界からある日突然迷い込んだ。それでもやはり、急な景色や世界の変化に心は動揺してしまう。
(でも、まあ……)
そのうち、また帰るだろう。
長い時間を風や他人に流されるままに生きてきた彼女は、焦ることもなく結論付ける。
(時間とは、長いもの、ですから)
それに、ここは。寝子島は、己が今生きている星幽塔のために戦ってくれた人々の住む島。そう思えば、感謝の念が湧きこそすれ、怖がることは何一つとしてない。
フードに隠した翼のかたちの耳に届く音楽に唇を綻ばせ、ペルラは歩き始める。
お祭りがどれだけ続くのかは分からないが、整地された野原には野営をしている人々も多くいる様子。
(本当は)
初めての世界では、目立たないように人のいないところに隠れ住むべきなのだろう。理解はしているけれど、今日はお祭り。周囲の人々と同じように楽しんでみたい。それでも人の密集する舞台や屋台付近はほとんど本能的に避け、様々な色したテントが賑やかに並ぶ野営地の端に今夜の寝床を整えることにする。
(この世界では、野営ではテントを使うのですね)
ありがたいことに、『運営本部』の紙が貼りだされた大きなテントに居る人々に頼んでお金を払えば、テントや火を焚くための道具も借りることもできるようだった。
本部でペルラが借りたのは、毛布と敷物に焚き火台一式。それだけあれば、夜への備えは事足りる。これでも、野宿の経験は多い。それに、
(空、風を観た感じ)
今日の天気は崩れない。
旅人は星空を瞳に映して判断する。空気も十分に温かい。毛布さえあれば十分に眠れるだろう。
今は夜に閉じた黄色い花と真っ白な綿帽子をのんきに揺らすたんぽぽの傍らに敷物と毛布を置く。
「ここ、お借りしますね」
「あっ、はーい、どうぞですー!」
蒲公英のように明るい声は、隣のスペースにひとりでテントとBBQコンロを設置していた現地の黒髪の少女のもの。
「おひとりですか?」
「はい、ソロ参加ですよ」
黒い瞳を人懐っこく笑ませ、
椿 美咲紀
は自分の周囲に置いた食べ物を示してみせる。
おやつのミニカステラ、たこ焼き、焼肉と焼き野菜のセット。寝子島産のキャベツも玉葱もアスパラガスも、春のものは柔らかくて甘くてとっても美味しいのだ。お肉だって寝子島産の寝子牛は柔らかくてジューシーで脂が甘い。とにもかくにも美味しいのだ。何といっても美味しいのだ。
(BBQに釣られただなんて、……そんな)
本当は寝子高新聞部として取材に来たはずが、気づけばソロキャンプを始めてしまっていた美咲紀はじゅうじゅう美味しそうに焼けるお肉からちょっぴり視線を逸らす。
それに、キャンプ道具はレンタルできる。宿泊に必要なものは海浜公園の外にあるコンビニで何でも揃う。野営も簡単、素晴らしき哉、文明。
(乙女は誘惑に弱いのです)
言い訳しつつも、お肉や野菜の食べ頃は逃さない。
「良かったらご一緒にどうぞなのです!」
カステラにたこ焼きに、焼き立てのお肉や野菜。たくさん用意した食べ物をお隣さんにもおすすめしつつ、美咲紀はコンロの網の上で甘く焼けてくる野菜を次々に口へ運ぶ。
(美味しいは正義なのです!)
旺盛な食欲で幸せそうに色々なものを口にする美咲紀のため、網の上に野菜や肉をのせてやりながら、ペルラは遠いステージに聞こえる音楽に耳を澄ませる。今聞こえてきているのは、切ない恋の歌。
(この世界でも、いろいろな音楽があるんですね)
色々な場所を旅してきた。どこに行っても、その土地なりの音楽があった。
今日の無事を祈る歌。
砂漠のオアシスの歌。
炭鉱の労働者の歌。
その土地土地て耳にし、教えてもらった音楽を思い出す。すごく前には、楽器の演奏を教えてもらったこともある。
(教えてくれた人は、もう……)
少女の姿で百年以上を旅の中に生きてきたペルラは、薄紅の睫毛を伏せる。
となりでのんびり揺れていたタンポポの綿帽子が、不意の風にふわっと飛んでいってしまうような気がした。とっさに風から守ろうと手を伸ばしかけて、やめる。まなざしを向けるうちに、小さな種は風にさらわれ、ペルラの手の届かないどこかの空へと旅立って行った。
星空に舞い上がる綿毛を見上げ、ペルラはそっと息を吐く。
(きっと、私は)
だから、今も旅をしている。
◇◇◇
小さな一人用テントと春夏用寝袋、簡易な焚き火台と薪。
運営本部で借りてきたキャンプ用品一式をキャンプサイトの芝生に並べ、
恵御納 夏朝
と
八神 修
はなんとなく嬉しくなって笑み交わす。
「男女テントを同じぅせず、だよ」
おどけて肩をすくめてみせる修にもう一度笑いかけ、夏朝はテントの設営に取り掛かった。テントは別々だけれど、隣同士で設置はできる。すぐ横でBBQもできる。折り畳み椅子とテーブルを置けば、眠る直前まで焚き火台の灯を頼りに話だってしていられる。
ポップアップテントを広げて地面に杭で固定しながら、修はステージからの歌声が響き渡る星空を見上げる。大勢の人々が楽しむ広々としたキャンプサイトを見渡す。言うなれば、
(この広場が俺達の部屋さ)
揃ってテントを設置した後は、お待ちかねのBBQ。日中、イベントスタッフとして存分に働いたお陰でお腹はひっきりなしに空腹を訴えている。
焚き火台に火を熾し、焼き網を置けば準備完了。
運営本部でキャンプ用品をレンタルするのと一緒に購入してきた焼肉用の牛肉と野菜、この時のために家で用意してクーラーボックスに入れて持参してきた魚介類。焼くものはたくさんある。
「どんどん焼いてどんどん食べよう」
楽し気に笑ってから、修は少し離れた場所でこちらもBBQをしていた美咲紀とペルラに気づいた。せっかくだからと声を掛け、紙コップに入れたジュースを配る。
「皆で乾杯しよう」
一人のキャンプも楽しいけれど、皆とわいわいするキャンプもやっぱり楽しい。声をあげて乾杯し、ジュースを干す。美咲紀がおすそ分けにと持って来たミニカステラやたこ焼きと、夏朝が用意していた魚介類を交換する。
(殻と背綿が取ってある……)
細やかな仕事に気づき、修はそっと感心する。
(恵御納らしい優しい心遣いだ)
「八神君も、どうぞ」
差し出された海老と烏賊をありがたく口にして、修は眼を細めた。
「美味しいよ」
空腹が満たされた後には、こちらもお待ちかねのデザートの時間。修が用意したのは、マシュマロとバナナを串に刺したもの。遠火で丁寧に炙り、女子たちに手渡して行く。
「マシュマロ……その手もあったか……!」
栗色の瞳を丸くする夏朝に、
「フルーツもどうぞ」
林檎にパイナップルに苺、切り分けてプラスチック容器に入れてきた果物も差し出す。
(デザートを用意する男とメインを用意する女性か)
なんだか逆だ、とふと思う。思って、くすりと笑う。
(でも、それも良い)
お腹いっぱいになってうつらうつらとし始める美咲紀の手を引き、ペルラがふたりに丁寧に頭を下げる。
「ありがとうございました」
「うにゃ、おやすみなさいなのですー」
眠たいけど眠りたくないとむにゃむにゃ呟く美咲紀を宥めつつ去るペルラに手を振り、夏朝は猫じみて伸びをする。手早く周囲を片付け、あとは焚き火台の前に置いた椅子に掛けて眠たくなるまでのんびりしようとかと修に声を掛けようとして、
「……八神君? 何を読んでいるの?」
「愛読書だ」
テーブルに置いたランプの光を頼りに本を広げる姿に気づいた。どんな本を読んでいるのかと覗き込んでみれば、書いてあるのは数式とその解、及びその解説。愛読書とは参考書のことらしい。
「愛読書?」
咎めるような眼差しを受けて、修はきょとんと瞬いた。
「いや、好きだし。テストも近いし?」
どうしてそんな顔をされるのか分からない、と素で返され、夏朝はそっと手を伸ばす。参考書は没収する。うっかりまた取り出して開いたりしないよう、自分のテントの中に隠してしまおう。
「テストの事は、帰ってから考えよう……ね?」
少ししょんぼりした顔を見せる修に、夏朝は笑いかける。
「今はキャンプを楽しもう」
「まあ……そうだね、楽しむか」
笑み返す修の足元、あちこちに漂うBBQの匂いに釣られたのか、海浜公園を住処としているらしい野良猫がにゃあにゃあと寄ってきた。
「お前も音楽を聴きに来たのかい?」
優しく問う修の脛に頭を寄せ、しゃがみこむ夏朝の手に頭を寄せる。
「猫さんも……楽しんでる?」
月と星の光にも艶やかな猫の体を撫でながら、夏朝は声を掛けた。
にゃあ、と笑う猫に、修は鞄から出したカリカリを与える。慎ましい仕草で貰った餌を食べ始める野良猫に瞳を細めながら、思うのは自宅で留守番中の愛猫たち。
「うちの子たちも、今頃ごはんの時間かな」
「八神君ちの猫さん達、良い子でお留守番してるかな」
「悪戯もしているかもしれないなあ」
くすくすと悪戯っぽく笑う修に微笑み、夏朝も桜花寮で内緒で飼っている自分の猫を思って空を仰ぐ。
(……良い子にしてるかな)
◇◇◇
焚き火台に火が燃えている。
少し肌寒いだけなのに、例えばテントで毛布にくるまってしまえば何と言うこともない寒さなのに、火にあたりたくなるのはどうしてだろう。
「いい星空ですね」
「ここは空が開けてるもんねー」
薄野 九月
と並んで座りながら、
屋敷野 梢
は空を仰ぐ。ステージや屋台の光は眩しいけれど、キャンプサイトからは距離がある。星空も問題なく楽しめる。
「夏を先取りって感じです」
でも、と梢は挑戦的な眼差しを向かいでだらだらと寛ぐ
如月 庚
と
新田 亮
と
鴻上 彰尋
の男子三人へと向けた。
「線香花火をどれだけ長持ちさせるかの勝負は、また今度ですねー」
望むところだ、と笑う男子を置いて、梢はそろそろ寝ようかと九月と女子用テントに引っ込んだ。
「こずこず先輩と一緒だねー」
えへへー、と嬉しそうに笑う可愛い後輩を思わずぎゅっと抱きしめてから、梢は背後に気を配る。星幽塔の野営とは違って危険はないだろうが、
(奥のほうが何かあったときは安全かなー)
「九月ちゃんは奥でねてくださいねー。私、よく外に出ると思いますし!」
ぼんやり思ったことは一切表には出さず、梢は後輩をテントの奥に寝かせる。シート一枚挟んで聞こえてくる遠い音楽や潮騒や誰かの話声や笑い声は、ともすれば子守唄にも聞こえてしまいそうに眠たくはあるけれど、
「もうちょっと何かお話しましょうか」
このまま眠ってしまうのはもったいないような気がするのは、キャンプの夜だからだろうか。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年03月05日
参加申し込みの期限
2018年03月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年03月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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