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月明りだけを頼りに舞台の央に音もなく並び立つ。
眼差しを交わした瞬間、ステージに光と音が溢れた。華やかで攻撃的な音の渦の最中、オルカと悠月――『Re』のふたりは細かいステップから動きを重ねる。
(やっぱり)
視線を向けずとも、悠月と己の動きがシンクロしていることが感じられて、オルカは歌う唇に笑みを滲ませる。
(悠月と歌うのは最高に気持ちがいい)
明るめの曲調に合わせ、ライトの色が鮮やかな青を帯びて瞬く。
動きを重ねたターンの一瞬に夜の海の暗さを見、悠月は闇に慣れぬ瞳を僅かに細める。夜の海は闇と同じ色をしていたけれど、青を基調とした照明の下はまるで己が今海の中にいるよう。
瞬きの刹那に胸を掠めたのは、いつか水底の不可思議な白い舞台から見た景色と、――それから、あの時に見た水の青。心を満たしてゆく、青く碧い想い。
あの時は一人で歌ったけれど、今はあの水底と同じ色の光の中、オルカと共に歌っている。
たとえ海の底に沈んでいてもオルカと声を重ねる度に呼吸が叶う、そんな気がした。
(歌える)
真っ暗な夜を越え眩しいほどの青空の中へ、どこまでも飛んで行ける、そんな気がした。
それは今までと同じ。オルカと歌う度に覚えた感覚。
今まででも、ふたりで歌ってきた。その都度、様々な賛辞も向けられた。送られる賛辞を受け取れるだけの自信も持っている。
(でも)
今日はそれだけではない別の感覚がしている。何かが、変わった気がする。
そのナニカは、何なのだろう。
オルカに導かれるように全身から声を放つ。己を楽器のように響かせる。そのためには真直ぐに顔を上げなくてはならない。前を向き背筋を伸ばし、――そうして悠月は、見た。
最前列、今にも感情が昂るままに泣き出しそうな顔をした先ほど指先にキスを贈った女性を。その後ろの列からも、その更に後ろの列やずっと奥からも、まっすぐにこちらを見ていてくれる顔を知らぬ観客を。その中には、知った顔もいくつもあった。
海の色した光と音楽の只中にあって眩しいはずなのに、同じ光景を何度も見てきているはずなのに、今までよりも鮮明に観客の姿が瞳に捉えられた。自分たちに向けられる歓声が耳に届いた。
(ああ、)
今までは歌える、というだけで良かった。それだけで喜びで胸が弾んだ。
けれど今は、それだけではない喜びが胸に湧き上がっている。
(そうか)
こんなに大勢の人が、自分たちの歌を聞いてくれている。
(こんな顔で聞いてくれているのか)
絶え間なく踊る動きの中、悠月の瞳が今までになく強い光を宿した。奇跡にも似たその瞬間を確かに目にして、オルカは口の端を上げる。
(今、)
悠月が確かに、『見た』。
(今までだってちゃんと観客を意識してたみたいだけど)
誰よりも近くで見つめ続けてきた己が、相棒の変化を見落とすはずがない。
悠月は確かに、見たのだ。
自分たちに向けられる視線を、歌を聞いてくれている人を、光を宿し金色にさえ輝く瞳に映しとった。それは瞳の色だけではなく、一段増した声量と声の表情でも確実だ。
一種凄みさえ纏った相棒の歌に合わせる。共に歌う。
(置いて行かれる気なんて更々ない)
一曲目が終わる。
一瞬の静けさの後、打って変わって優しいピアノのイントロが流れ始めた。
ホワイトデーイベントの音楽ステージに歌ったそのスローバラードは、悠月のソロパートから始まる。
光を求めて光に溺れるような悠月の高く澄んだ声に、オルカの低く甘い声が寄り添う。支え、絡まり、終にはひとつとなる。
静かに優しく熱を秘めた恋の歌を、悠月はオルカと歌い上げる。
ホワイトデーのあの時より、
(……きっと、俺は)
この歌を理解できるようになっている。そう思うからこそ、悠月はホワイトデーのときよりも深く、オルカと音を重ね響かせる。オルカの瞳と歌に沈むことができる。
バラードに続いての最後の曲は、アップテンポに激しく、切ないまでに光を求めて闇を切り裂く歌。どれだけ血を流しても傷が増えても進み続ける矜持を歌い上げるその歌は、一番に『Re』らしさを詰めた曲。
鏡映しの如く、魂の双子の如くシンメトリーにステップを刻む。身体の動きから心の動きまで合わせるように、深く深く、重なり合わせて踊る。傷を負っても先へ先へと突き進もうとする歌詞で、誘うほどに激しい動きで、『Re』のふたりは観客を煽る。最後尾の人まで最前列と同じ顔になるよう、激しく深く――
ステージを眩しく輝かせていたライトが落ちる。
巻き起こる拍手と歓声の中、月光だけを白銀に纏い、『Re』のふたりは乱れた息もそのままにステージを去った。
舞台袖の短い階段を下りる。スタッフたちの邪魔にならぬ端、人気のない隅で、肩が触れ合うほど近くに立つ。
ステージを入れ替えるためにスタッフたちが駆けだして行く。騒がしいはずのその音でさえ、体中を占める鼓動と息に聞こえない。
先に手を伸ばしたのはどちらだったか。
気づけば、オルカの白い頬が頬に触れていた。
気づけば、悠月の熱い耳が首筋に触れていた。
相棒ときつく抱き合ったまま、悠月は冷静を装う胸の内どうしようもなく渦巻く喜びを持て余す。今なら、
(挨拶のキスくらい許されるだろうか)
それほどに嬉しかった。ステージが楽しかった。ふたりで歌い踊ることが、歌を届け観客を熱狂させることが、こんなにも心を躍らせてくれるものだと、ここまで深く思い知ったのは今日が初めてだった。
嬉しかった。こんな気持ちにさせてくれた相棒に喜びを伝えたかった。
「オルカ」
相棒の名を呼ぶ。それと同時にすぐ傍にある頬に感謝のキスを贈ろうとして、己をまっすぐに見つめるオルカの蒼い瞳と瞳が重なった。頬に触れるはずだった唇を掠めた、頬よりも柔らかく熱を帯びたものが何なのか、きちんと認識しようと頭を働かせるより先、
「悠月」
頭を両手でとらえられた。熱を帯びた掌が両耳を塞ぐ。聞こえる激しい鼓動が己のものなのかオルカのものなのか、もう分からなくなる。
唇で唇を塞がれ、呼吸を奪われる。軽く伏せた蒼い瞳は、本能的なまでに蠱惑的な色を孕ませていた。己の琥珀の瞳だけが映っている。
抵抗さえ忘れる悠月の髪を乱したオルカの手が離れる。唇が離れる。息を取り戻し苦し気に胸を抑えてその場にへたり込む悠月から、オルカは後退るようにして数歩離れた。
「えー……と」
勢い余っちゃった、と笑い飛ばそうとして失敗する。重ねた甘さの残る唇を掌で抑え、
「あ、クールダウンする為に飲み物とってくるね~」
薄暗い舞台裏の隅であっても分かるほどに赤い悠月の頬を視界の端に見つつ、たぶん同じほどに熱い自分の頬を掌で擦る。背を向けて離れる足取りが知らず早くなる。(……待っててあげるって、言ったのになぁ)
胸に僅かな痛みが疼く。けれど、己の行為に後悔はない。悠月への想いに、何一つとして嘘はない。
唇へのキスが意味するところは、――真直ぐな、愛。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年03月05日
参加申し込みの期限
2018年03月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年03月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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