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手にしているのは、出演申し込み用紙。
飛び入りバンドの元気いっぱいな音楽を耳にしながら、
花厳 望春
は栗色の瞳を難し気に細める。
――楽器あります! お好きな楽器、お貸しできます! 大勢のひとの前で歌ってみませんか、奏でてみませんかー! お願いしまーす!
『ねこじまキャンプ』の会場に入った途端、必死な様子のイベントスタッフに握らされた用紙を見つめ、望春は背中を丸めるようにして考え込む。
(演奏はしたいけど)
ひとりで参加する勇気はない。
そもそも、知らない人に注目されるのは苦手だ。
(でも)
舞台に立ちたい。音楽を奏でたい。
唸り声さえひねり出す勢いで申し込み用紙と睨めっこをしていて、
「迷っているのでしたら私とご一緒しませんか」
迷いさえ吹き飛ばしそうな涼やかな声を掛けられた。用紙を握りしめるままに振り向けば、
(うわ、美形)
心中に咄嗟に呟いてしまうほど眼を惹く金髪の男性が柔らかな笑みを浮かべて立っている。
「今日は」
「こ、こんにちは」
痩身でありながらも薄い筋肉のついた身体の上、端正な顔が穏やかな笑みを浮かべている。
(あれ、この人どこかでみたような……?)
その笑みを向けられているのが間違いなく自分であると確かめて後、望春は思い至った。
(――『Sandalphon』!)
目の前に立っているのは、元アイドルデュオのその片割れ。しばらくの活動休止の後、最近活動再開したと噂に聞いていた、
フィンレイ・ランカスター
。
寝子島高校芸術科OBだとも聞いてはいたが、こんなところで出会えるとは思ってもいなかった。
いかがでしょう、と丁寧に問われ、望春は目を丸くする。
「わわ、プロの人じゃないですか」
「本職が紛れ込むのも面白いでしょう?」
秘密めいて微笑みつつ、元アイドルデュオの一人は名を告げてくれる。容姿と佇まいもあって目立つその癖、今も周囲からちらちらと視線を集めているその癖、本人にその自覚はないらしい。もしかしたら変装をしているつもりなのかもしれない。
「ええ、」
望春は言葉に詰まる。
(俺なんかとでいいのかな……)
迷いに迷う仕草を見せる望春に、フィンレイはふわり、笑いかける。緊張を解すような優しい笑みにつられ、望春は名を名乗る。寝子高生であることも告げる。
「此処は私の故郷」
フィンレイは笑みを深めた。
「母校の縁で一緒に音楽をやれる好機です」
午前中に仕事は終えている。トラブル防止のために事務所の許可も得ている。
音楽を真摯に愛するからこそ、芸能活動とは別にこのイベントへの私的な参加を決めた。音楽を奏でるためのこの手は、今日は自由だ。
ひとりで舞台に立つことも当初は考えていたが、会場に見つけた彼の背中が気になった。音を奏でたいと願いながら、迷う背中。
この背中を支え、押してやりたいと思った。
「キーターで参加しようと思っていたんです」
肩から掛けるタイプのキーボードを使うと緊張した声で伝えてくれる彼は、どうやら参加の決意をしたらしかった。
「私はこちらです」
背に負った亡き相方のクラシックギターを示しながら、フィンレイはそっと暴露する。実はまだ腕前が拙いのだと。
(これが相手の萎縮を解くものになればせめてもの幸いですね)
おどけた仕草で唇に人差し指をたててみる。驚いたように瞬いて後、望春は花が解けるように笑った。
ユニット名に悩む望春に、フィンレイは白い指先をつと伸ばす。示すのは、初夏の夕空に輝き始める宵の明星。そうしてから、望春が申し込み用紙に書き込んだ二人分の氏名のうち、望春の『望』とランカスターの『スター』を同じ指先に示す。
「『ホープスター』」
楽し気に囁くフィンレイの言葉に、望春は大きく頷いた。即席のユニット名の次に決めるのは、即席ユニットでも音を合わせられそうな楽曲。映画の主題歌や有名なタイアップ曲が良さそうだろうか。
「どのような曲がお好みですか? 花厳さんにお任せします」
「ゆったりとした曲調がありがたいです」
ふたりで決めてしまえば、後は早かった。
必要事項を書き込みんで運営本部に提出すれば、飛び込みの演奏者を探していたというスタッフに大歓迎された。あっという間に舞台裏に引きずり込まれ、
「こちらもよろしければ!」
『サプライズ・キス』の参加用紙の『可』にマルをつけさせられていた。
スタッフの勢いに呆然とする望春の肩を、誰かがぱたりと誰かが叩く。深海の色した短髪が目に入って、望春は小さく笑った。
「神嶋先輩」
望春も所属している寝子島クラシック同好会の先輩、
神嶋 征一郎
は元より舞台に立つ手筈であったらしい。
「お前らしくやれ」
短く低く、的確な言葉をくれる征一郎の長身の向こう、
「『ホープスター』さん、こちらに!」
イベントスタッフが一足早い登壇を促す。飛び入りがなければ演奏順番が狂うか穴が開いていた、助かります、と手を合わせるスタッフに送り出され、望春とフィンレイはぶっつけ本番の舞台に立つ。
望春にとっては眩しいライトの光も、フィンレイにとっては慣れたもの。
棒立ちになってしまいそうになる望春の背を優しく押して舞台の央に立たせ、フィンレイはスタッフに用意してもらった椅子にゆったりと腰を下ろす。
振り返る望春の不安げな眼差しに淡い笑みを返し、弾き語りのスタイルで楽曲の始めの一節をそっと奏でる。
初めは手を引き導くように、望春のキーターの音が迷わないように。
次第に先に立ち、追いかけてくるのを待つように。けれど置き去りにはせず、時に手を取り時に共におどけてくるりと舞う。
ゆったりとした曲調のお陰で、相棒が弾いていたようには弾けぬまでも演奏として成り立つのがフィンレイにはありがたかった。余裕をもってリードができる。
フィンレイの音によく聞きついてくるのがやっとだった望春の音が次第に弾み始める。ふとからかうように跳ねた望春の音に、フィンレイは知らず華やいだ笑みを零した。緊張に蕾んでいた花が段々に開いてゆく。咲き初めの花のように鮮やかに色づいてゆく。
――すごく、……楽しいかも!
こちらに背を向けて演奏しているはずの望春の声を聞いた気がして、フィンレイは笑みを深める。誰かと音楽をやっていて楽しくなるのは、正にこういう時だ――
「フィンレイさん、今日はどうもありがとうございました!」
拍手に深く一礼を返し、舞台袖に戻った途端、望春はフィンレイのもとへと駆け寄った。
「お礼に今度俺の作ったお菓子……」
言いかけて、望春は口をつぐむ。大慌ての様子で首を横に振る。
「って、芸能活動してる人に手作りのものなんてだめですよね」
ええと他に何か、とお礼をしたくてたまらず、けれどどうすればいいのか分からずわたわたとするばかりの望春に、フィンレイはそっと首を横に振る。
彼のおかげで、とても楽しかった。だからお礼など不要ではあるのだけれど、彼は彼の奏でる音の通りに純粋な人柄のようだ。
「では、こうしませんか」
己が胸にギターを弾いた手を当て、音楽を愛するがゆえに音楽そのものの布教者であるフィンレイは祈るように乞う。
「何処かで私の関わった作品を買って聴いてください」
一曲でも、CD一枚でも良い。ただそれだけが、彼がこの先も音楽そのものを愛してくれるそれだけが、
「私にとってはそれが無上の喜びです」
音楽に仕える天使の声を聞いたかの如く、望春は一瞬言葉を忘れて後、大きく頷いた。
「もちろんです。絶対買います!」
スラリと伸びた背にギターを負い、急がぬ足取りで舞台裏から去るフィンレイにめいっぱい手を振りながら、望春は知らず瞳を潤ませる。
素敵な人だ、心底からそう思う。
そのひとと共に音楽を奏でられたことは、一生の思い出になる。
(うん……これはわりと、本気でファンになりそうだ)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年03月05日
参加申し込みの期限
2018年03月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年03月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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